実は初の森鴎外。
患者さんに進められて読みました。
明治の作品ですが、面白いですよ~。
視線を交わすだけだった男女がお互いを意識
しはじめ、近づく二人。
ただし、女は他人の妾である。
なかなかにくい設定です。目が合うだけで
きゅんとした、遠い昔が胸の中に浮かびました(笑)
それにしても、ヒロインお玉は年齢も若かった
もあり、成長していきます。そして当時は珍しかった
であろう積極的な女性になります。今風に言えば
草食系から肉食系へ・・・。
二人の行く末はひょんなことから・・・ほんとうに
ひょんなことから・・・。これ以上は言えません。
本筋とは離れますが、ヒロインお玉を囲う金貸し
末造の思考で印象に残ったもの。
「世間の奴等に附き合って見るに、目上に腰の低い奴は
目下にはつらく当たって、弱いものいじめをする。(中略)
己には目上も目下もない。己に金を儲けさせてくれる
ものの前には這いつくばる。」
これぞ商人魂。
オススメです。
