今まで読んだ本の中でもかなり読みごたえのある本です。
第二次世界大戦時の日本軍を組織論の観点から研究したものです。
開戦当初を除き、連敗を続けた日本軍は物質的、人的資源の差だけで
敗れたのではなく、組織としてのシステムからして負けるべくして
負けたようです。
ガダルカナル島、ミッドウェー作戦など重要なポイントとなった戦いの詳細な
記録をもとに日米両軍の差を導き出します。
企業などの大きな組織はもちろん、個人に照らし合わせても
なるほどね~と思わされます。
日本軍は作戦の場面場面において目的があいまいだったようです。
日本軍が初めて大敗したミッドウェー作戦における目的は
「真珠湾攻撃で打ち逃した敵の空母を殲滅させるため」だったのか
「ミッドウェー島を占領するため」だったのか
あいまいな目的設定が作戦を失敗に導いたようです。
一枚岩かと思っていた日本軍ですが
陸軍の仮想敵国は中国を主戦場にした「ソ連」だった。
海軍の仮想敵国は太平洋を主戦場にした「アメリカ」だった。
しかし実際の敵は東南アジアを主戦場にした「連合軍」だった。
陸軍、海軍は一体化されることなく時に対立しあったそうです。
日本軍の訓練、学習は第二次世界大戦の約30年前にあった
日露戦争での勝利をベースにしたものであったようです。そのときの
成功例から30年たっても「白兵主義」「艦隊決戦主義」から抜け出せず
航空機の発達、兵器の発達といった環境の変化に対応する
力を失ってしまったそうです。
絶えず自己否定(学習の棄却)し環境の変化に対応できる組織
それでも目的は明確に・・・。
難しいですね。個人におきかえても同じ事がいえますね。
勉強になりました。
