令和6年第1回日野市議会定例会の一般質問の内容です。


 今後の不登校対策について

 



●馬場けんじ

 既に市長の所信表明の中でも主要な不登校の支援についてお聞きしているところではありますが、新たな支援の提案なども含めて、より詳しくお聞きしたいと思います。
 それでは、まず1点目として、日野市においての不登校の児童・生徒の状況について、お伺いしたいと思います。

●教育部参事(長崎将幸君)

 不登校児童・生徒の現状についてお答えいたします。
 市立小・中学校の不登校児童・生徒の人数は、令和2年度は小学生103名、中学生189名、計292名、3年度は小学生126名、中学生258名、計384名、4年度は小学生166名、中学生287名、計453名となっております。
 令和5年度につきましては、11月末現在での人数が小学生165名、中学生273名、計438名となっており、4年度の同時期の人数を上回っております。近年の推移から市立小・中学校の不登校児童・生徒の人数は増加傾向にあると言えます。
 次に、わかば教室に通う児童・生徒の人数です。令和2年度は小学生15名、中学生52名、計67名、3年度は小学生23名、中学生56名、計79名、4年度は小学生35名、中学生62名、計97名です。
 令和5年度につきましては、11月末現在での人数が、小学生51名、中学生69名、計120名となっており、4年度末の人数を上回っている状況でございます。
 以上でございます。

●馬場けんじ
 ありがとうございました。日野市においても増加傾向ということで、状況について確認をさせていただきました。
 それでは、次に2点目として、具体的な今後の支援について伺います。
 公明党として、令和6年度の予算要望では、スクールソーシャルワーカーを中学校全校に早期配置、また校内別室指導支援員の全校配置等を要望しています。そのことも踏まえて、今後の不登校の支援強化についてお伺いしたいと思います。

●教育部参事(長崎将幸君)

 不登校に関わるスクールソーシャルワーカー、校内別室登校指導支援員、教育支援コーディネーターなどの配置についてお答えいたします。
 初めにスクールソーシャルワーカーの配置でございます。スクールソーシャルワーカーは、令和5年度2月現在、正規職員2名、会計年度任用職員3名の計5名をエールに配置し、それぞれ担当校を決めて、学校と連携を取りながら活動しています。
 第6次日野市特別支援教育推進計画及び子どもの貧困対策に関する基本方針でも、1中学校区に1名の配置を掲げております。令和6年度は会計年度任用職員1名の増員を図る予定です。また正規職員の配置につきましては、市として正規職員の配置の必要性を認識しているところから、今後も担当部門として継続して要望及び協議を行ってまいります。
 次に、校内登校支援教室の支援員等の配置について、校内登校支援教室の設置状況と併せてお答えいたします。
 市立小・中学校が独自に設置している校内登校支援教室は、中学校を中心に年々取り組む学校が増えております。令和5年度は小学校でもその取組がスタートし、現在、小学校1校、中学校7校で開設されております。
 校内登校支援教室の設置当初は、学級担任や専科教員等が授業を担当していない時間に生徒への指導支援を行ってまいりました。
 教育委員会事務局では、令和3年度から不登校生徒等への指導支援をするために、東京都の事業を活用し、家庭と子どもの支援員を中学校全校に配置いたしました。令和5年度には、さらに中学校2校に不登校対応加配教員を配置し、中学校6校、小学校1校に、校内別室指導支援員を配置しました。これらの取組により、様々な理由により不登校となった児童・生徒一人ひとりへの支援の充実が期待されているところです。
 令和6年度には小学校5校に新たに校内別室指導支援員を配置し、これらの学校における登校支援教室の新規開設を見込んでおります。教育委員会事務局は引き続き様々な事業等を活用しながら、不登校児童・生徒への指導支援を行う学校の取組を支えてまいります。
 最後に、教育センターにおける職員配置の拡充についてでございます。
 まず、不登校支援の充実を図るために、教育支援コーディネーターを新たに配置します。教育支援コーディネーターは、各学校から教育委員会に毎月提出される出席状況調査を分析し、各学校へ助言を行います。また、庁内の関係部署や校内登校支援教室、チャレンジクラス、フリースクール等との連携を進める役割を担います。
 次に、わかば教室におきましては、カウンセラーの勤務時間を延長し、週のうち2日を2人体制とするとともに、主にオンラインでの対応を中心に行う登校支援員を増員いたします。
 わかば教室は、不登校児童・生徒が安心して過ごせる居場所として、学習支援や相談等の個に応じた指導の充実を目指してまいります。
 以上でございます。

●馬場けんじ
 ありがとうございました。特に令和6年度以降は、小学校5校に新たに校内別室指導支援員を配置、及び登校支援教室の新規開設、また教育支援コーディネーターを新たに配置、また、わかば教室の運営強化など、今後もかなり力を入れていただく一つ一つの取組について確認をさせていただきました。
 これら不登校支援強化の取組に対し、関係部署の御協力にも敬意を表する次第であります。今後の不登校の児童・生徒一人ひとりへの支援に大いに期待をさせていただきます。
 次に、いただいた答弁も踏まえ、3点目として、三沢中のがんばルームの今後ということについてお聞きしたいと思います。
 令和2年度からスタートをした三沢中のがんばルームについては、これまでも峯岸議員をはじめ、公明党として、人的予算確保などを要望してまいりました。そうした中で三沢中では令和6年度からチャレンジクラスを開設をする予定と伺っておりますが、がんばルームの機能についてはどのような形になっていくのか、お聞きしたいと思います。

●教育部参事(長崎将幸君)

 三沢中学校のがんばルームの今後についてお答えいたします。
 現在、三沢中学校が登校支援教室として独自に開設しているがんばルームは、様々な理由から学校の教室に登校できない生徒の居場所として、大切な役割を担っております。
 今般、三沢中学校は東京都教育委員会の指定を受け、令和6年度からチャレンジクラスを開設する予定でございます。チャレンジクラスは、正規の教員が配置された学級として設置され、担当教員が授業や支援を行います。チャレンジクラスでの授業等を希望する生徒は、入級審査会を経て三沢中学校に転籍し、授業を受けることができます。
 一方、三沢中学校に在籍する生徒にとって、気軽に安心して登校できる校内の居場所は引き続き必要であると考え、チャレンジクラス開設後もがんばルームの機能を継続することにいたしました。
 教育委員会事務局では、チャレンジクラスの開設及びがんばルームの機能の継続等について必要な支援や対応を行ってまいります。
 以上でございます

●馬場けんじ
 ありがとうございました。がんばルームの機能は継続ということで確認をさせていただきました。今後新たなチャレンジクラスの取組にも大いに期待をしたいと思います。
 次に4点目として、メタバースを活用した不登校の支援についてお聞きしたいと思います。
 メタバースとは、インターネット上に構築された仮想空間のことであります。教育や医療など幅広い分野で応用が期待される、画期的な技術と言われています。
 私は昨年11月10日、不登校の小・中学生を支援する、メタバースを活用した居場所づくりについて、大阪府八尾市へ行政調査にも出かけてきました。この取組は教員経験のある職員によって運営されておりまして、令和5年度の2学期から本格的にスタートをしているということでありました。
 児童・生徒はタブレット端末などから、自分自身の分身、これはアバターと言いますけれども、このアバターとなる動物のキャラクターで、仮想空間に参加、顔を出さずに参加者同士でコミュニケーションを取ったり、学習したり、また個別相談もできるシステムでありました。
 専用のタブレット端末で実際に実施されている画面を見させていただきながら説明を受けましたが、この仮想空間には大学生の方々もアバターとして入っていらっしゃり、上手に子どもたちをリードしている、そんな姿がとても印象的でありました。
 現在、東京都においても不登校の増加を踏まえ、子どもたちにとって親しみやすいメタバースの活用で、居場所や学びの場を広げる方針であると聞いておりますが、このような支援について、市のお考えを伺っておきたいと思います。

●教育部参事(長崎将幸君)

 メタバースではありませんが、オンラインを活用した、オンラインわかば教室の取組を紹介させていただきます。
 令和5年度の2学期から火、水、木曜日の一部時間において、オンラインわかば教室を新たに開始いたしました。
 オンラインを活用し、わかば教室の指導員等とやり取りを行うものです。学校の校内登校支援教室等に登校することができず、学校外の施設に通うことを希望しても、外出することが困難であるなど、これまではわかば教室につなぐことができなかった児童・生徒を対象としています。
 令和6年度には、オンラインわかば教室の実施日を拡大する予定であり、子どもたちの学びの保障につなげてまいります。
 メタバースを活用した居場所づくりについては、先行市の事例を基に、調査研究を今後も進めてまいります。
 以上でございます。

●馬場けんじ
 ありがとうございました。今後の不登校支援について、いろいろな選択肢を用意しておくということも大事であると思います。ぜひ今後、検討いただきたいと思います。
 次に最後の質問に移ります。
 令和3年第4回定例会では、子どもの生活実態調査結果のアンケートを踏まえた、今後の学びへの対応について質問いたしました。
 子どもたちの期待に応えることができる先生になっていただくためには、先生たちの指導力を高めることが大切であり、教育委員会や学校がどのようにして子どもたちの声に応えようとしているのか、そうしたことについて教員の指導力向上の支援等についての答弁をいただきました。
 そのことにも関連し、5点目として、この不登校の問題について、教育の現場の最前線で安心して学べる学校づくりに向け、取り組んでいただいている教員の皆様の取組を、最後に伺っておきたいと思います。

●教育部参事(長崎将幸君)

 不登校対策の学校、教員の取組についてお答えいたします。
 教育委員会事務局は各学校に対し、不登校対策について、未然防止、早期対応、長期化への対応という三つの視点と捉え、適切な対応を取るよう、指導、助言を行っています。
 未然防止については、不登校が生じない魅力ある学校づくりを行うことが大切です。ある中学校では、全教員が日頃から児童・生徒と積極的にコミュニケーションを取るよう心がけ、休み時間や廊下で擦れ違ったときには、声をかけたり、挨拶を交わしたりするなどして、生徒との関わりを積極的に持つように心がけておりました。
 また、教員間でも互いに意思疎通を図り、生徒とのささいな日常会話の中で気になったことがあった際には、職員室の中で話題にしながら小まめに情報共有を図るようにしているとのことです。
 早期対応につきましては、3日程度欠席が続いた児童・生徒がいる場合には、家庭訪問等を行うなどし、迅速な状況把握を行うことが大切です。
 ある中学校では、理由の分からない体調不良などの欠席があった場合には、担任が授業を担当しない時間に家庭訪問を行っております。この学校では同一の学級に複数の欠席者がいた場合、担任が放課後の時間等を使っても、その日のうちに家庭訪問ができなくなることが懸念されました。現在では家庭訪問等の支援の機会を逃さず、生徒への支援を1日でも途切れさせないようにするため、副担任も家庭訪問等の支援ができるように検討しているとのことです。早期対応においても支援方法について学校が組織的に協議し、適切な対応に向けて改善を図る様子が分かりました。
 長期化への支援としては、担任による家庭訪問や定期的な連絡に加え、不登校児童・生徒に寄り添った、組織的かつ柔軟な対応が大切です。
 ある小学校では、1人の児童に対し、教職員が一丸となって支援を行っておりました。学校は登校できなくなった児童に対し、登校復帰のきっかけづくりとして、まずは給食だけの登校を提案しました。児童が安心して給食を食べに登校できるよう、登校する昇降口を、通常使用する昇降口ではなく、別棟にある昇降口を利用できるようにしました。給食を食べる教室も別室を用意し、担任だけでなく、特別支援教室の教員や専科教員等が見守りを行っています。児童が食器を返却する先をあえて職員室とすることで、返却時に校長や副校長と話ができるようにしました。また、栄養士も定期的に児童と関わり、様々な大人が見守っていることを児童に体感的に伝えていくことができておりました。
 そのほか、各学校は学習者用端末を活用した学習支援や、授業を担当しない時間や放課後等におけるオンライン面談、個別指導などを継続的に行い、学校と児童・生徒、保護者とのつながりを途絶えさせない取組を行っております。
 児童・生徒がわかば教室やそのほかフリースクール等を利用している場合には、担任が定期的にわかば教室やフリースクールの担当者と連絡を取り、学習状況や生活状況の把握に努め、学校ができる支援について、常に模索をしております。
 以上のように、各学校は、様々な取組により、不登校児童・生徒が安心して学べる学校づくりを行っております。
 以上でございます。

●馬場けんじ
 ありがとうございました。教育現場で児童・生徒一人ひとりに対し、本当に真摯に取り組んでいただいている学校の取組、教職員の皆様の取組がよく分かりました。
 今後も各学校が安心して学べる学校づくりを行っていけるように、教育部としても今後も応援をいただきますよう、お願いしたいと思います。
 今回、2問目では不登校対策について質問し、今後の力強い支援の強化と、また学校現場での教職員一丸となった取組等について御答弁をいただきました。どうか、未来を担う子どもたち一人ひとりに寄り添った、日野市の教育行政を、さらに力強く、進めていただきたいと思います。
 それでは、ここで教育長より御所見をいただければと思います。

●教育長(堀川拓郎君)

 今後の不登校対策についての御質問をいただきました。
 不登校の児童・生徒の数が年々増加する中にあって、子どもたち一人ひとりの学びへのアクセスを保障するための取組を進めていくことは、教育委員会の最も大切な仕事の一つであるというふうに考えております。
 教育部参事の答弁にもありましたけれども、これまでの取組に加えて、令和6年度には、東京型不登校特例校であるチャレンジクラスを新たに開設をすることとしております。チャレンジクラスでは東京都から教員の追加の配置を受けて、生徒が安心して学び、生活できる、そんな学級をつくっていきたいというふうに考えております。
 また、校内登校支援教室を5校、拡充をいたします。これによって、小・中合わせて13校に校内登校支援教室が開設される形になり、半分以上の市内の学校で登校支援教室が立ち上がるということになります。
 また、教育センターの体制を強化をいたします。教育支援コーディネーターを新たに配置をすることで、一人ひとりの子どもを見取る機能を強化するとともに、フリースクールを含めた関係機関との連携も進めていく予定であります。
 また、わかばの体制も強化をいたします。カウンセラーによる対応、そしてオンラインでの対応を充実してまいります。
 また、地域の視点でございます。地域の視点でも、学校に通いづらい子ども等を対象とした居場所と学びの場づくりを、多摩市との連携事業として新たに実施していく予定であります。これは生涯学習の事業として実施していく予定であります。
 そして、5月にオープンする、みらいくとの連携であります。1人1台端末を活用した子どもなんでも相談を含めて取組を進めていきたいというふうに考えております。
 また、学校での教員の取組についても御質問いただきました。学校では子どもたち一人ひとりのケースに応じて様々な対応をしております。ある学校では登校支援教室を私自身が見させていただいた際に、彼は門に入れなかったんですと。別室に来れるようになって、給食が食べれるようになって、最近では1こま、授業に出られるようになったんですよということで、うれしそうに教えてくれました。
 また、別の学校では、子どもを笑顔にするプロジェクトとして、ゲストを呼んで体験活動を行っていて、こういう取組をするときには、不登校の子どもたち一人ひとりに声をかけるようにしているんですと。そうすると、ふだんは来ることが難しい子どもも来てくれて、輪には入れないんだけれども、少し離れて見に来てくれたんですということを話してくれました。
 こういった学校の取組というのは、学校は子どもと直接関わる立場として、家庭訪問をはじめとして様々な形でコミュニケーションを子どもと直接取りながら、一人ひとりの子どもを大切に見取り、対応をしております。これらは時に働き方改革とは逆行する部分も大いにあるというのが現実だというふうに認識しております。そして、教育委員会はそんな学校を支えるということが立場だというふうに考えております。教育委員会の中でも、指導課、教育センター、エール、施設を所管している庶務課、生涯学習、そして子ども部門みらいく、福祉部門も含めて行政の横串の連携の中で、全ての子どもにとってのよりよい環境をつくるための努力をしていきたい、そのように考えております。
 以上です。

●馬場けんじ
 教育長、ありがとうございました。
 不登校の支援として、令和6年度、本当に重点的に予算を確保していただきました。
 最後に、市長より御所見をいただければと思います。

●市長(大坪冬彦君)

 馬場賢司議員より、今後の不登校対策についてということでの御質問をいただきました。
 不登校対策、様々なこと、これまでと、それから令和6年度にやろうとしていること、先ほど教育部参事及び教育長のほうからお話をさせていただいたというふうに思います。午前中、こども基本法の話、こどもまんなか社会という話で、窪田議員から質問をいただきました。
 子どもの在り方、そして学校を中心にどうしていくのかということ。まあ、不登校対策ですね。不登校の原因は様々であります。当然学校の在り方も問われますし、また、子どもの居場所ということも大きなテーマがあるというふうに思います。必ずしも学校に通うことを強制するものではないけど、しかし学校が、必然的に居場所になっている、学校の居場所の在り方をどう変えていくか、当然、普通に通える子はいいです。そうじゃない形で別の教室に通っていただくこともあるし、またチャレンジクラスのように全市から応募できるような、言わば完全な不登校特例校的な扱いもつくる、一つのフリースクール的なものを公としてやっていくという、そんなことも出てきたかなというふうに思っております。
 そういう意味での、こどもまんなか社会における子どもの不登校、様々な原因があると思います。その原因を解明するためには、当然、福祉部門、それから教育委員会が連携しながらやっていかなければならないし、新たに開設するみらいくにおいても、教育部門と連携しながら、子どもなんでも相談を含めてやっていくわけでございます。
 その上で、不登校対策についてもしっかりとその視野に入れながら、また、その解決のために市長部局としても全力を挙げて取り組んでいく、こどもまんなか社会を見据えて、しっかり取り組んでいくということで、教育委員会を支援していきたいと思っております。
 以上です。

●馬場けんじ
 ありがとうございました。
 以上で質問を終わります。