令和6年第1回日野市議会定例会の一般質問の内容です。

 

 地域協働型交通の導入に向けて

 

●馬場けんじ

 それでは通告に従いまして、質問をさせていただきます。
 令和5年第2回定例会の一般質問に引き続き、京王バス立66路線の実質路線廃止に伴う今後の対策について取り上げていきたいと思います。
 この路線については、昨年4月の大幅なダイヤ改正により、実質路線廃止となり、現在日野市の東部地域である第二日野万、万願荘、日野第四小学校周辺地域、さらに東町や日野本町地域などにお住まいの、特に高齢者の皆様から、日野駅方面等への交通手段がなくなってしまい、大変に不便であるなど、多くのお声をいただいております。
 そうした中、昨年、令和5年5月2日に、市内の老人クラブである寿老会と長寿会の両会長を代表者として、1,560名の皆様から署名をいただいた京王バス立66路線運行終了に伴うミニバス運行を求める要望書を市長に提出、また昨年の一般質問では、この要望書提出を踏まえ、ミニバス市内路線のルートの増設などを強く求めました。
 前回の質問でまちづくり部長からは、立66系統の実質廃止は、新たな地域公共交通の課題と認識をしていると。沿線の利用者の皆様からのお声を受け止め、ミニバスルートの増設を含め、課題解決に向けて、運行事業者と今まで以上に連携を図りながら取り組んでいきたいという答弁でありました。
 そこで、まず1点目として、令和5年5月2日の要望書提出以降、及び、令和5年の第2回定例会の一般質問以降の運行事業者との連携など、その後の状況について、まずお聞きしたいと思います。

●まちづくり部長(岡田正和君)

 京王バスでは、日野市を含めた多摩地区において、令和5年4月1日より、減便、経路変更や運行の廃止などを含めた大規模なダイヤ改正を実施いたしました。
 このダイヤ改正により、市内で最も大きく影響を受けた路線としては、日野駅と立川駅北口を万願荘や市民の森ふれあいホールを経由し結んでいる立66系統となります。
 立66系統は、平日及び土日祝日において、7時から19時の時間帯で、おおよそ1時間に1本程度運行しておりましたが、ダイヤ改正後は、土曜日の午前中に1往復のみの運行となり、実質廃止状態となってしまいました。
 この立66系統の実質路線廃止は、新たな交通空白地域を生み出す結果となり、ミニバス路線の増設など、多くの公共交通に関する御要望をいただいており、市としても地域公共交通の新たな課題として受け止め、交通空白地域の解消に向けて検討を進めてまいりました。
 具体的な取組といたしましては、日野市地域公共交通総合連携計画の計画目標の一つとして位置づけている交通空白地域対策スキームの構築と運用に基づき策定した地域協働型交通導入ガイドラインに沿って検討を進めております。
 このガイドラインでは、地域協働型交通導入検討の流れを定めており、まず地域協働型交通導入に向けた地域の機運の高まりに伴い、既存交通を活用しての対応の可否の検討を行うこととなっております。
 立66系統の代替を既存交通活用で考えた場合、最も近接して運行している日野市ミニバスの市内路線の一部を経路変更し、増便することが最も有効な方法となります。
 そのため令和5年7月14日の日野市地域公共交通会議において、ミニバスの経路増設案について協議事項として取り上げ、承認が得られましたので、運行事業者である京王バスと協議を進めてまいりました。
 しかしながら、京王バスより立66系統の実績から、採算性が見込めないことは明白であり、市からの補助金による補填があったとしても、運転手不足の深刻化に歯止めがかからない現状では、ミニバスの経路増設は対応できないとの回答を令和5年12月に受けております。
 以上でございます。

●馬場けんじ
 ありがとうございました。
 この間、京王バスと協議を進めていただきましたが、運転手不足の深刻化に歯止めがかからないという現状の中で、ミニバスの経路増設は対応できないと回答を受けたということでありました。今、その後の状況について確認をさせていただきました。
 しかし、昨年1,560名という多くの皆様から署名をいただいた要望書に対して、沿道地域の皆様が安心をしていただくためには、他の公共交通での取組が必要と考えます。
 次に2点目として、立66系統の実質廃止は、新たな地域公共交通の課題となっている中で、今後新たな手法などを含めて、課題解決をどのように考えているか、お聞きしたいと思います。

●まちづくり部長(岡田正和君)

 京王バスからミニバスの運転手が確保できない等の理由により、経路増設ができない旨の回答を受け、既存交通を活用しての対応が不可能という結論に至ったため、現在、地域協働型公共交通の導入検討段階に進んでいるところでございます。
 市が定義する地域協働型交通とは、交通空白地域に居住する方々の移動手段の確保を目的としており、地域住民、交通事業者、行政が3者共同でつくり、守り、育てる地域公共交通となります。また、市のガイドラインでは、導入に当たっては地域が自ら中心となって検討し、取り組んでいくという意思を持っていることが必須の条件となっております。
 そのため、まず実際に経路の検討や運行事業者への協力を行う組織として、地域組織を形成することが必要となっておりますが、バスの代替となる公共交通を求められている方々により、令和5年12月に地域組織が結成されております。
 現在の地域組織の活動状況といたしましては、今後、市に提出する予定の地域協働型交通導入検討申請書に必要な運行計画案の作成に取り組んでおられ、市はその作成のサポートをさせていただいているところでございます。
 なお、運行計画案は現時点で作成途中の段階ではありますが、令和5年12月14日付で、高齢者団体、寿老会より、デマンド型交通の整備を求める要望書も提出されていることから、運行形態については、効率性や利便性などを踏まえ、デマンド型交通で作成を進めている状況でございます。

●馬場けんじ
 ありがとうございました。
 この間、新たな手法として地域協働型公共交通の導入検討、また運行形態については、デマンド型交通を検討いただいているということで、確認をさせていただきました。
 それでは、次に3点目として、改めてこのデマンド交通というのはどういうものなのか、運行形態、概要、特徴などについてお伺いしたいと思います。

●まちづくり部長(岡田正和君)

 デマンド型交通ですが、路線バスとタクシーの中間的な位置にある交通機関でございます。事前予約により運行するという特徴があり、運行方式や運行ダイヤ、さらには、発着地の自由度の組合せにより、多様な運行方式が存在いたします。
 最も一般的な運行方式といたしましては、交通空白地域などの一定の運行区域を設定し、運行ルートは定めず、予約に応じ、所定の停留所間を最短経路で結ぶ乗り合いタクシーの形態となります。最短経路の選択により所要時間を短縮するとともに、停留所等を多数設置することによって、バス停等までの歩行距離を短縮することが可能となる公共交通でございます。

●馬場けんじ
 ありがとうございました。
 今、御説明をいただきましたデマンド型交通については、これまでも公明党として、毎年の予算要望や、また一般質問等で実現を求めてまいりました。
 また、昨年の令和5年第1回日野市議会定例会での市長の所信表明に対する質疑でも取り上げまして、そのとき市長からは、令和5年度から、バスやタクシー事業者との共存共栄を目指し、実証実験に向けて具体的な協議を行い、検討していきたいという答弁でありました。
 また昨年、令和5年第2回定例会の一般質問では、まちづくり部長より、デマンド型交通等の導入に向けては、他の自治体の先進事例の調査研究を行い、地域公共交通会議に諮りながら、実証実験の実施に向け、調整を進めているという、そういう答弁をいただいております。
 既に令和5年度、今年度よりですね、様々な調査や検討がされているかと思います。
 そのことを踏まえて、次に4点目として、この間の先進事例の調査状況、また地域公共交通会議での検討状況などについて伺います。

●まちづくり部長(岡田正和君)

 デマンド型交通の導入検討については、地域公共交通総合連携計画で、交通空白地域対策の具体的事業として位置づけられていることから、令和4年度に、周辺自治体2市の先進事例を調査し、その内容を地域公共交通会議へ報告し、デマンド型交通導入に向けての方向性を確認しております。
 先進事例の一つである東久留米市では、福祉的な観点で利用対象者を限定し、デマンド型交通の実証実験を実施しております。具体的には、利用可能な地域を市内全域とし、対象者は70歳以上の方、妊婦の方、ゼロから3歳児及びそれぞれの同乗者としており、料金は1回500円となっております。
 また、あきる野市では、令和4年度からデマンド型交通の実証実験を開始しておりますが、こちらは交通空白地域の解消を目的としており、対象区域と駅などの、あらかじめ決まっている幾つかの停留所まで送迎するもので、料金は1回200円となっております。
 市では、令和5年1月に開催した日野市地域公共交通会議で、この2市の事例の調査結果を報告するとともに、デマンド型交通導入に向けて、今後の方向性を確認しております。
 一つ目が、目的を交通空白地域の解消とし、利用者の対象を限定せずに運行すること。二つ目は、料金については、バス運賃以上、タクシー料金以下とするなど、既存交通に配慮すること。三つ目は地域南側の丘陵地域が、交通空白地域の割合が高く、地形による高低差もあることから、実証実験の場として具体的に検討すること。四つ目は、既存のバス事業者やタクシー事業者の理解と協力を得ながら、共存共栄を図ること、以上の四つが公共交通会議での意見を踏まえた方向性となります。
 なお、対象地域については、直近の令和6年2月に開催した地域公共交通会議にて、立66系統の実質廃止に伴い、新たに発生した交通空白地域の対策についての検討状況を報告し、丘陵地域ではなく、当該地域を先行して、デマンド型交通等の手法を用いて実施する地域協働型交通の導入について承認をいただいております。
 また、デマンド型交通の導入検討を進めていくに当たり、市内を運行している主要なタクシー事業者やバス事業者との意見交換を令和4年度末に個別で実施し、また、令和5年10月には、全事業者にお集まりいただき、実施しております。現段階では大きな反対等の御意見はいただいておりませんが、今後も適宜意見交換の場を設けさせていただき、既存の交通事業者の御理解と御協力を得ながら、共存共栄の道を探っていきたいと考えております。
 なお、令和5年5月2日付で、市内の老人クラブである寿老会と長寿会の両会長代表者とした、先ほど議員からも紹介がありましたけれども、1,560名の方々からの要望書も提出されていることから、御期待に応えられるよう、鋭意検討及び調整を進めてまいりたいと考えております。

●馬場けんじ
 ありがとうございました。
 直近で開催されました地域公共交通会議にて、デマンド型交通等の手法を用いて実施をする地域協働型交通の導入について承認をされているということを確認をさせていただきました。どうか、今後引き続き進めていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 私は先月1月16日、千葉県袖ケ浦市の健康増進のための乗り合い送迎サービス、「チョイソコがうら」について行政調査に出かけてきました。
 袖ケ浦市では、現在、高齢者らの移動を支援するワンボックスカーを利用したデマンド交通の実証実験を行っており、好評を得ているということでございます。
 これについては会員登録制で、この同市の袖ケ浦市の長浦地区という地区を2台で運行、電話やインターネットで受付をして、自宅付近の商店や、また病院など、約150か所の停留所から、行き先の停留所までを乗り合わせで送迎をするという、そういう交通システムでありました。運行時間は平日の午前9時から午後4時までで、料金は1人1回300円ということでありました。この行政調査を通し、伺います。
 次に5点目として、このようなICTを活用した乗合型のデマンド交通、こういうシステムについても、今後御検討いただきたいと思いますが、お考えをお伺いいたします。

●まちづくり部長(岡田正和君)

 デマンド型交通については、現在、全国各地で実証実験や本格運行が始まっており、予約や運行管理のシステムは様々な会社が手がけるようになってきております。
 その結果、システム開発などが急速に進み、多くのシステムが一定程度の品質を確保できる状況となっております。システムの選定については、コストや使いやすさなどを考慮しながら検討していきたいと考えておりますが、恐らくICTを活用した乗合型のデマンド型交通のシステムになるだろうというふうに考えております。
 以上です。

●馬場けんじ
 ありがとうございました。ぜひ、今後検討いただければと思います。
 最後に6点目の質問であります。
 今回の質問でのこれまでの答弁を伺い、デマンド型について、かなり協議を進めていただいてるということが分かりました。多くの皆様から署名をいただいた立66路線運行終了に伴う対策は、もう本当に急務でありまして、沿道地域の皆様が安心をしていただくためには、まず、この地域から、デマンド型交通の実証実験に向けて、ぜひ取り組んでいただきたいと強く要望いたします。
 この間の検討や今後について伺います。

●まちづくり部長(岡田正和君)

 市といたしましても、立66系統の実質路線廃止は、新たな交通空白地域を生み出し、喫緊に取り組むべき公共交通の課題として認識しているところでございます。引き続き地域協働型交通の実証運行の実現に向けて、地域組織との連携を密に取り、なるべく早い時期にスピード感を持って対応していきたいと考えております。
 実証運行の開始時期のめどといたしましては、地元調整をはじめ、やはり交通管理者や関東運輸局等、各種関係機関との調整や諸手続もございますので、そういった期間などを踏まえ、令和6年度後半を目指して準備を進めていきたいというふうに考えております。
 以上です。

●馬場けんじ
 ありがとうございました。デマンド型交通の実証運行の開始の目途として、令和6年度の後半を目指し、準備を進めていただくということでありました。
 多くの皆様からの署名、要望いただいた立66路線の沿道地域にお住まいの皆様、これまでこの路線を利用されていた皆様が安心していただけるように、どうか実現に向けて力強く取り組んでいただくことを求めておきたいと思います。
 今回の質問での答弁いただきましたように、今、バス会社の採算性の問題でありますとか、また運転手の運転手不足の深刻化などを踏まえますと、今後は、より、これまでの路線バスなどの定時定路線型からデマンド型というのをしっかり考えていかなければいけないというふうに強く感じています。
 また、高齢者の皆様もですね、こうした公共交通があれば、外出できることにもつながります。実際に袖ケ浦市のデマンド交通も、健康増進のための乗り合い送迎サービスという、そういう取組でありましたが、こういった新たな交通システムの導入によって、確実にお一人お一人の健康増進ということにもつながっていくかと思います。
 今後の実証運行に向けて、どうか着実に進めていただくことを最後に強く要望したいと思います。
 それでは、ここで市長より御所見をいただければと思います。

●市長(大坪冬彦君)

 馬場賢司議員より、地域協働型交通の導入に向けてということで御質問いただきました。立66号線の実質廃止ということの事態を受けてということであります。
 かねてより日野市では交通空白地域をどう埋め合わせるかということで、ミニバス、それからワゴンタクシーを中心にということで、既存の交通事業者に市が補助金を出す形で、交通空白地域を埋めるということで市民の移動の足を確保するということをやってきました。それと、いわゆる正規路線であるバス路線を組合せということで、地域の公共交通を成り立たせるということでありました。しかし、それがだんだん厳しくなってきている。とりわけ人口減少の時代を迎えて、そしてコロナがあって各交通事業者、かなりもとに、コロナ以前に戻らないような収益状況で苦戦をしております。そこに加えて、もともと、特にバス業界の運転手の賃金、そんなに高くない、そんなこともあって運転手不足が苦しくなってきている。そこに2024年問題ということで、今年の4月から働き方改革ということでありますから、余計に運転手不足というのは、拍車がかかってくるだろうということが予想されている。
 そんな状況の中で、今までのような行政が既存の交通事業者に補助金を出して、ミニバス等を走らせるというだけでは、交通空白地域を埋め合わせることができない時代がやってきたかなというふうに思っております。
 そのために、今回の立66号線の実質廃止を受けて、デマンド型交通の導入に向けて今、日野市としては部長答弁のとおり、実証実験をし、その実現のために努力をしているところでございます。当然、これを成り立たせるためには、行政だけではなくて、住民の方々の強い意志と御協力、そして既存の交通事業者の御理解と御協力も必要であります。
 議員が引用されました袖ケ浦市のチョイソコがうらでございますが、これにつきましても複数の事業者、東京カローラ千葉株式会社であるとか房総タクシー株式会社であるとか、連携主体として、株式会社アイシン、損保ジャパン株式会社、千葉銀行など、そして行政がということで、こういう民間の力も合わせて共同の形でワンボックスカー2台を運用しているということであります。
 こういう先進事例も学びながら、日野市においても、民の力を使いながら、そして、既存の交通事業者との共存も図りながらということで、今回のデマンド交通を実現していかなければならないと思っております。
 そうすることによって、交通空白地域を埋めていくということが必要でありますし、まずは立66号線の廃止によって、非常に交通の足を奪われた方々に対する補填といいますか、その移動の手段の復活ということで、しっかりやっていきたいと思っておりますし、今後の日野市全体を見据えた場合にさらに人口減少が進み、交通空白地域が既にある、それに拍車がかかることがありますので、それに向けても同じような努力をしていかなければならないと思っております。
 まずは立66号線廃止を受けての今回のこのデマンド交通の実証実験をしっかり行っていき、それを受けてしっかり実現を図っていきたいと思っております。
 以上です。

●馬場けんじ
 ありがとうございました。
 以上でこの質問を終わります。

 

 

行政調査に出かけた千葉県袖ケ浦市のデマンド型交通「チョイソコがうら」