12月10日付公明新聞より転載


急速に普及が進むドローン(小型無人機)の用途が大きく広がる。安全性を確保しつつ、そのメリットを生かしたい。

市街地などの上空で、操縦者の目が届かない距離でもドローンを自動で飛ばすことを解禁する改正航空法が5日、施行された。

国が定めるドローンの飛行区分は4段階に分かれている。レベル1は目視しながら操縦するもので、レベル2は目視できる範囲での自動飛行のこと。レベル3は無人地帯に限り目視できない範囲でも飛行できる。最も高度なレベル4は、有人地帯の上空でも飛行できる。

今回のレベル4解禁により、ドローンによる都市部上空での荷物配送が可能になる。

物流分野でのトラックドライバーなどの人手不足解消や、過疎地の住民に対する買い物支援といった社会課題の解決につながるとの期待は大きい。

また、大規模災害が発生した際には、被災状況の把握や緊急物資の搬送などで、市街地の上空を飛行できるドローンは重要な役割を担う。

とはいえ、落下や不具合による事故などのリスクがある。人の上空を飛ぶようになる以上、安全性の確保が不可欠だ。

そこで改正法では「機体認証制度」と「操縦ライセンス制度」を新設。安全基準に適合した機体を有資格者が操縦し、国土交通省が運航を事前に許可・承認した場合に限り認めるとした。

さらに、落下事故が起きた場合に警察などへの通報を求める救護義務を盛り込み、違反に対する罰則も設けた。適切な運用に努めてほしい。

国交省によると、機体の認証や操縦資格の取得などに時間を要するため、実際に飛行が始まるのは来年3月以降になる見通しだ。当面は人口密度の低い地域での運用が見込まれ、都市部での本格導入はまだ先になるという。

レベル4解禁後の活用が円滑に進むよう国は万全を期してもらいたい。