ロンドンではできるだけ後悔しないようにいろんな演劇を観ようとのことでimmersive theater(没入型演劇)のGreat gatsbyにも行ってきました。

 

 

今回のロンドンの観劇体験の中では一番楽しかったのは間違いなくこれでした。

 

まず、没入型演劇についてですが、調べてみたら歴史は私と同い年くらいで

「イマーシブシアターの始まりはイギリスの舞台監督フェリックス・バレットが2000年に立ち上げた劇団「パンチドランク」といわれている。パンチドランクは、当初からシェイクスピアやチェーホフといった古典演劇の作品を現代風にアレンジ。集まった観客に何かしらの役を演じる要求をしたり、会場は廃墟や街の広場で上演するプロムナード型の公演を行ったりしていた。その独特の演出手法がロンドンの演劇通の間で話題になり、観客と役者とのインタラクティブな演出やプロムナード型の公演を総じて「イマーシブシアター」と評されるようになっていく。」

 

引用元

 

 

有名なのはマクベスを元にしたsleep no more

海外ドラマ好きな方はもしかしたらピンとくるかもしれないんですけど、NYを舞台にしたドラマ「ゴシップガール」で登場してました。(シーズン5だったはず)

 

今回はフィッツジェラルドの「華麗なるギャツビー」。

 

予約時のチケット(ギャツビーからのパーティーの招待状)にはドレスコードがあるとのこと。

一人旅だった上にマチソワ予定だったので、ヒールもドレスも無理で、ワンピースでいきましたが。

ドレスコードにしっかり合わせた1920年代のパーティードレスの人、めちゃくちゃカジュアルなTシャツ・ジーンズ・スニーカーの人、ガッツリギャツビー仕様のドレスなんだけど、スニーカーっていう人、現代のドレスとスーツの人とか、結構いろいろいました。

 

会場に入る前に、キャストの1人から説明を受けます。

いくつかルールがあって。

1、携帯電話は使用禁止(発明されてないから)

2、写真も禁止(終演後ならいける範囲でOK)

3、他のお客さんのパーソナルスペースは守って行動

4、演技中は静かにする

あとは楽しんで!とのこと

 

 

劇場(厳密にはギャツビー邸)は通常の客席と舞台とは大きく違っていて、メインホール(バーやバンドあり)と各部屋がある感じ。

正直私が見に行けた部屋はギャツビーの書斎と寝室だけなので、他の部屋は何があったのかわからないです。

 

多分イメージしづらいと思うのでPR画像を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

形式としては全員が一緒にメインホールで鑑賞するシーンとグループに分かれて各部屋で鑑賞するシーンがあり、お客さんとキャストも移動があります。(割と頻繁に)

どのお客さんがどのキャラクターと行動を共にするのかはランダムだったので(部屋に近い人から呼ばれる感じだったので)、人によってどんな流れで鑑賞できるかはさまざまだと思います。

 

私の場合はこんな感じでした。(前半のみ)

 

1、パーティー

みんなでステップを習ってダンス

 

移動

 

2、ギャツビーの書斎

ギャツビーと商談

(ジンとギャツビーの名刺をもらいました。)

 

移動

 

3、パーティー

 

移動

 

4、ギャツビーの寝室

ギャツビーの恋愛相談

(デイジーへのアプローチのプランを教えてもらいます)

 

移動

 

5、お茶会

キャストとお客さんが協力して、お茶会の準備

 

このように私は基本ギャツビーと行動を共にしていました。その分他のキャラクターとはあまり行動していないですし、何が起きているのかも知らないです。

 

このシステムだと

全てのキャラクターとコミュニケーションを取ることも

全ての部屋に行くことも、

全てのシーンを体験することもできません。

 

映画やミュージカルだと全キャラクターも全セットも全シーンも見ることができますが、このimmersive theaterではできません。

捉え方によってはコスパが悪いです。

 

 

 

 

でもこの演劇の最大限の魅力は

「よりリアルに作品を感じ取ることができること。」

映画館での映画や劇場でのミュージカルとは違って、キャストと観客に仕切りがないので

物語の世界に物理的に入り込んでいる感覚で演劇を鑑賞することができます。

 

また、「余計な情報がないこと。」

例えば、私の場合だと、行動を共にしていたギャツビーの視点になるのですが。

私があの演劇を通して、知っている情報はギャツビーの考えやデイジーへの想いと、起きた出来事。

 

デイジーやトム、ジョーダンがギャツビーに対して、どう感じてとらているのかは全くわかりませんし、

実際にデイジーがどのような暮らしをしているのか、

また、トムとマートルの不倫も知りません。

 

つまり映画や舞台のように物語として全体をさらっと見るのではなく、

しっかりとキャラクターにフォーカスを置いて、その立場に(限りなく近いところに)たった上で鑑賞することができるのです。

 

どちらも今まで体験したことのない全く新しい演劇体験でした。

 

 

 

また、余談にはなりますが。

この演劇はめちゃくちゃキャストとコミュニケーションをとります。そして逃げられないです。

しかもお客さんとしてではなく、あくまでギャツビー氏のゲストとして扱われます。

 

例えば、各部屋に移動するときは各キャラに誘われるんですが、ただ「こっちきて!」って言われるのではなく。

「君のこと信じてもいいかい?」とか「〇〇が君を呼んでいるんだけど来てくれるかい?」と聞かれます。

だから、お客さんはしっかりと反応して、コミュニケーションを取らないとおいていかれちゃうので、慣れるとこっちもノリノリになって、色々セリフ調に反応するようになってめちゃくちゃ楽しいです。

 

 日本にもあるかなと思って調べてみたら、オリジナルで色んなimmersive theatreがありました!

でもコロナ禍や役者の確保の問題からロングランのものはなかなかなく、気軽にいけそうな感じではなかったのでアンテナ張っておこうと思います!