親友Sさんに贈る言葉 | 愛と光と忍耐を求めて

愛と光と忍耐を求めて

プルーストの「失われた時を求めて」を真似てるわけではありませんが、悠久の時の流れの中での一瞬の人生。しかし、それを知っている魂には永遠の命があるのかも知れません。テーマは「修業の場としての魂の人生」

昨日、渋谷の「なだ万茶寮」で

今年の7月に急逝した親友の「偲ぶ会」がありました。

出席者から一人ひとり故人のエピソードが語られて

同席されていた奥様、お二人のお子様と一緒に

親友Sさんを懐かしく思い出し、

ご供養する機会になりました。

 

その時、話をさせて頂いたエピソードを以下に記録とし残し、

親友sさんの笑顔がいつまでも心の中で生き続けるよう

願っている次第です。

 

Sさんは、入社同期の親友でした。

昭和49年に入社した104名の中で、当時の事業部に配属されたのは7名。

その内で渉外担当になったのは男性3名、女性1名の計4名でした。

今から48年前のことです。

以来、Sさんとは親密な関係がずっと続いていましたので、

姿を見ることが出来なくなったことは、全く信じられないお思いです。

想い出は一杯あり過ぎて語り尽くせませんので、

印象深かったことを3つお話したいと思います。

 

先ず一つ目は、キャラバンです。

入社早々、5月の連休明けからスタートした、

高校生対象の「進路指導映画上映会」の仕事を、

Sさんと新人二人で担当することになったのです。

OJTもなく、東北6県の高校での上映会に出発しました。

器材と資料を積んだ車には専任ドライバーがいましたが、

映画上映後の進路指導ガイダンスでは、にわか勉強をした新人二人が、

講師気取りで進路情報についてのレクチャーをして回りました。

全く、冷や汗ものでした。

そのキャラバンを通して、新人ながらも手際の良いSさんには、

大いに助けられ、今でも深く感謝している次第です。

6月までは仮配属で、7月1日付で正式配属が決定した訳ですが、

Sさんと私は、キャラバン出張先の旅館で、

担当課長から一緒に電話で辞令を受けました。

二人とも同じ事業部事業課だね、宜しく!

と笑顔で見つめ合ったことを鮮明に覚えています。

 

二つ目は、社内懸賞論文のことです。

当時は皆さんご存知のように、正月休みを利用して、

「社内懸賞論文」を書くのが恒例になっていました。

Sさんも、私も、ある意味では真面目でしたので、

「私の仕事」というテーマで正月休み返上で執筆し提出しました。

そうしたら、何と、新人の部で予選を通過したのです。

部長のTさんは、そのことを大層喜んでいただき、

当時住まわれていた六本木のご自宅に二人を招いて、

恐れ多くも大変な御馳走をしてくれました。

今は、六本木ヒルズに様変わりした辺りでしたが、

Sさんと一緒に事業部長から褒めて頂いたことが大変嬉しく、

懐かしい想い出として残っています。

 

最後の3つ目は、Sさんのご結婚のことです。

奥様は、私と同じ事業部で仕事をされていたのですが、

Sさんは、既に広報企画部で営業を担当されていました。

奥様が別の拠点にあった進路情報資料室の受付

の仕事を担当していたということもあり、

二人がお付き合いしていたことを親友である私は、

迂闊にも知りませんでした。

Sさんから結婚相手を知らされた時、大変驚いたのを覚えています。

「いつから付き合っていたんだ」「君にはもったいないだろう!」

そんなやり取りをしながら、祝福したことを覚えています。

T部長の仲人で、ホテルデン晴海での結婚披露宴では、

友人代表としてそんな祝辞をしたように思います。

まだまだ、語り尽くせない思い出が多いSさんですが、

素敵なお嬢さんと頼もしい息子さんという子宝に恵まれて、

幸せな人生を生きられたと思っています。

 

昨年の秋に、奥様と二人で「しまなみ海道」を旅されたことを、

見事な寅の版画で作成した年賀状で知らせてくれました。

「しまなみ海道に行ってきました。」

「四国は全く素晴らしいところでした。」と。



 

 

今年の春、電話で話をしたとき、

その四国への旅が話題になりました。

予讃線で観音寺駅を通過している時、車中から外の景色を眺めながら、

「ここはHの母校、観音寺第一高等学校があるところだよ」

と、奥様に語って聞かせたそうです。

それを聞いて私は嬉しくなり、

思わず涙が出そうになりました。

 

明るく話好きで歌まで上手だったSさん、

「真室川音頭」を聴くことができないのは寂しい限りですが、

私の心の中には、いつまでもあなたの笑顔が生き続けています。

 

縁あって、同じ会社同じ部署で知り合うことが出来たSさんに、

心から感謝しています。

 

Sさん、有難うございました。

Sさん、どうか安らかにお眠り下さい。

 

友偲ぶ過客の版画師走来る   如空