母は歩けなくなり、言葉を発しなくなって退院した。
手も足もピンと固まって動かなかった。
これは「拘縮」だと思い、治らないかもしれないと絶望した。
でも訪問リハビリは運良く素晴らしい所と契約することができて希望も持っていた。
母はギュッと握って固まった手も少しずつ開いてきて、何より足が動くようになってきたのだ。
私の手で膝を立てる事もできるようになった。
そして今はベッドから立ち上がるリハビリをしているが足首が固まっているので自力で立つことができない。
先生が支えて立たせていると母は足を前に出そうとする。
「歩きたいの?」先生がそう言って母を支えて後向きに進むと母は右、左と足を前に出して歩いたのだ。
まだ自力で地に足を付けて歩くわけではないが支えられて歩いている。
立てないのに歩くと言う妙な感じだけど母は歩こうとしているんだ。
ちゃんと歩き方を覚えている。
私は号泣しそうになった。
時間はかかるだろうけど母は歩けるようになる、きっと。
車椅子に乗って家の中を見て歩いたら色々思い出すかもしれない。
話をしていたことも思い出すかもしれない。
母の中の何かが覚醒したらいいな…
ベッドの上で自力でひっくり返らないでずっと座っていられたら立つチカラがついてくるんだそうだ。
よし!自主リハビリ頑張ろ!
熱中症の危険な季節だ、焦らずのんびり頑張ってみよう。
秋になったら母はどうなっているかな?
車椅子でスーパーにお買い物は行けるな。
言葉はどのくらい言えるようになるだろう?
楽しみしかない。
