四月から寮生活をしている高1Cちゃんが夏休みで帰省したばかりのころ、退屈しないかな、などと余計なことを考えたばあちゃんが、夏休みの間、どこか行こうか、と言ってみた。

すぐ乗ってきた。

わたしたちが時々いっている、熱海のホテルに行ったことがないのでいきたい、と。

でも、そのとき部屋が空いているのはお盆も過ぎた20日。

その日を予約した。

そのうち、彼女は中学時代の友人やお世話になった大人たちとか毎日のように出歩いていた。退屈なんてどこ？

今夏、ほかの孫たちと会う機会がないので、「HちゃんやSちゃんも誘おうか」と言ってみたら、「ばあちゃまと二人で行くの楽しみにしてたんだけどな・・・」と。

おお、そうか、そうか、それなら二人で行こう、と。

（Hちゃん、Sちゃん、また今度ね）

誘ったものの、私の運転で行くのが心配。

夫（無免許）を乗せて遠出するときは、事故のことはあまり考えないのだが、やはり、孫のこととなると心配。

大事な大事な預かりもの。なにかあったら、どうしよう・・・、と。

ほかの孫も、塾に送って行って、と言われれば、言う通りするけど、毎回事故のことが気になる。（繰り返すが夫を送るときなど、まったく気にならない）

しかし、言い出したからにはやるしかない。

無事にホテルに着いた。

夜、私は彼女に借りた本を読みながら寝てしまった。

11時過ぎふと目をさました。

Cちゃんがいない。

さっき散らかっていた部屋はきちんと片付いている。

トイレにもいない。

こんな遅くどこに行ったんだろう。

履物をみた。靴とサンダルがきちんとそろえてある。

そうだ、お風呂は12時までだと言ってたな、お風呂に行ったんだろう。

（さっきもずいぶん長く入っていたのに）

と思いながら、ベッドに入って寝ようとしたが、やはり気になる。

起きてお風呂に行ってみた。

ホテル全体は夜中だけど、そこはまだ活気があった。

いくつかあるお風呂を覗いてみたが見つからなかった。

階段を降りるとサウナがあるがそれはさすがに浴衣姿では行けなかった。

脱衣所のかごを見て回ったら、彼女のものがあった。

やっぱりここにいるんだな、と部屋に戻った。

12時をぐっと回った頃、やっと帰ってきた。

「こんな夜中にいなくなったので、心配したよ」と言ったら、「あら、どうして？」と。

「だって大事な大事な預かりものが夜中にいなくなったら心配するよ」と言ったら、「ふ～ん」って。

そして、すぐ眠ってしまった。

ばあちゃん一人、目が冴えて。

さっき借りた本を読もうとしたけど、なんたってきちんと片づけられて、見つからなかった。

翌朝。

絵に関心があるCちゃん。

熱海といえば、MOA美術館なのに、箱根のポーラ美術館へ行きたいという。

山越えは嫌だなあ、と一応はいうんだけど、断れないばあさん。

もちろん、熱海から箱根には何度もいっているが、やはり、大事な預かりものだから。

フロントで箱根にはどの道が一番楽でしょうね、と聞くと、楽なのは小田原まで戻ってから行くのがいいですが、十国峠の道が早いでしょう、と。

でも、二回ほどものすごい霧にあって、怖い思いをしたからなあ、と言ったら、今日は晴れていますから、霧はぜったいでません、というので、十国峠を越えました。

ありがたいことに無事着きました。

私には関心のない展示だったので、入らないでお茶して待つことができますか、と係の人に聴くと、下には行けませんが、そこのレストランで休んでらしたらどうでしょう、と。

いわれた通りアイスコーヒーを飲みながら本を読んでいたのだが、だんだん混んできて、いづらくなり、外へ。

遊歩道に行き、ベンチに座って本を読んで孫を待つばあさんであった。

かくて、孫孝行の二日が終わった。

高1Cちゃんと熱海＆箱根へ