#山形県小国町ー政治、行政の怠慢、惰性の極まり その1

 

  荒れ放題の山々ー日本一の環境破壊町と化した町

 

執筆者:Dr H. Umetsu 政治学者

 

2021年夏、小生は山形県小国町では政治行政が機能不全に陥っているのではないかと錯覚を覚えました。それは、20年ぶりに神明山公園(地元名 県社山)ー健康の森ー横根山ルートをドライブしようと思い、出かけた折でした。

 

その時、眼前を埋め尽くしたものは荒れ放題の山道と山林でした。まず、神明山公園に登るにも、山肌が膨張し、その結果、道路が狭くなり、草がぼうぼうと生え、神明山公園に入る道や健康の森に入る道が草のたけが伸び放題となり、どこにあるのか全く分かりませんでした。また、途中の沼地のあるところは、森林の間伐が全く行われていないので、太陽光が全く入らず、ホラー映画に出てくるような真っ暗な世界で、今にも幽霊、亡霊が出てきそうな気味が悪い状態でした。まさに産業廃棄物の処分場、あるいは、核のゴムの最終処分場として小国町の政治行政当局が画策しているのではないかと疑いたくなる程、ずさんな管理状況でした。

 

 20年前やそれ以前、神明山公園健康の森ー横根山ー足の水ルートは東北でも有数の観光地であり、また、屈指のエコーツーリズムスポットであったはずです。実際、この時期に神明山公園や健康の森を訪れた時には、森林の管理、手入れがきちんとなされており、また、小国町に縁やゆかりのある町外の観光客が訪れ、神明山公園や健康尾の森では子供たちが声をたてて遊び、数家族がわきあいあいとしていました。また、数は多くないですが、著名人、有名人も訪れ、ラジオでも放送されたことがある場所でした。

 

 それなのに、一体、なぜ小国町政治行政当局は神明山を基点とする一帯を長年に渡って(実際は10年以上)一切手入れもせず、放置状態にし、産業廃棄物処理場同然の状態にしたのでしょうか。まして、小国町は自然環境保護を標榜し、同町の高校では日本の高校では珍しく「木育教育」を取り入れて森林の大切さを後世の人に教え諭している町なのではないのでしょうか。小国町政治行政当局のやっていることは、この教育とは真逆の行いであり、森林や山道を野ざらしにし、自然環境を棄損し破壊する行為です。例えは悪いですが、学校の先生が生徒に万引きはしないようにと諭しながら、一方では先生自ら万引きをしているのと同じ行いです。

 

小国町町民や同町出身者にとって、神明山公園は町の中でどの場所よりも特別な存在なはずです。戦時中に殉難死した小国町出身軍人の名前が刻まれた石碑があり、また、上杉謙信や山形県南西部の発展に偉大な貢献した上杉鷹山を祀る上杉神社の分社がある場所だからです。言わば、小国町の守護神が安置されている場所なのです。

 

これほどの文化的にも歴史的にも価値があり、小国町の観光名所の一丁目一番地であった神明山公園一帯をなぜ小国町町長をはじめ政治家や行政当局は10年以上も野ざらしにし、放置状態にし、荒れ放題にしてきたのでしょうか。

 

  神明山公園一帯は確かに、町有林、私有林、国有林が混在し、また、山道の管理は小国町、山林の管理は林野庁と管轄権が異なるとのことですが、しかし、これらのことは政治の力で容易に解決可能であり、永遠に神明山公園一帯を荒れ放題にし、観光名所としての地位を棄損する行動を正当化する理由にはならないはずです。また、小国町役場では山道の管理は民間業者に委託しているとのことですが、ずさんな仕事しかできない民間業者には委託停止の措置を講ずるべきですし、また、民間業者に委託した以上、定期的な報告とそれに基づく現場確認は不可欠なはずです。

 

  小国町は山形県内では、最大の森林面積を持ち、それに対する自負心を持っている町なはずです。であるならば、どんなことがあっても森林や山道の管理を怠ってはいけないはずです。一体、小国町の政治家や役場職員は何をやっているんでしょうか。惰性と怠慢の極まりです。「治山をろくにできない政治家は、政治家足りえず」という言葉を肝に銘じるべきです。町民の安全と安心に直結する山の管理をしっかりとできない人間は政治家になるべきではありません。みなさん、そう思いませんか。

 

山の荒れ放題の町にはもはや人は住めません。イノシシが出るわ、猿は出るわ、熊は出るわで、とても怖くて眠れません。まさに「苛政は虎よりも猛し」で町の政治家や事務方がしっかりしていない町はまっしぐらに滅亡の道を進み、もはや繁栄の道は絶対にありえません。

 

その後の展開

 

2022年3月、林野庁と小国町の間で、山道(林道)の整備、山林の管理に関してようやく協定が締結されました。この協定によって、本当に神明山公園ー横根山一帯の荒れ放題の山々がしっかりと整備、管理されることを切に願います。

 

この協定の成立には、僭越ながら、また、恐縮ながら、小生の貢献が極めて大きかったことを断言しておきたく思います。今にして思えば、ものすごく大変な仲介作業でした。全くの無料報酬で行いました。

 

上述しましたように、小生が神明山公園ー横根山一帯の山道に草がぼうぼうと生え、また、山林の間伐が全く行われず、暗闇の世界であると発見したのは、2021年夏のことでした。

 

その後、同年10月に現小国町長にこの山々の放置状態をはじめ、様々な問題に関して提言書を提出しました。しかし、政治を知らない現町長では全く埒が明かず、町役場に電話を入れ、山道、山林の野ざらし状態を説明しました。そのときの町役場の反応は、山林は林野庁の責任であり、管轄圏外で全く関係ないという態度であった。山道は小国町の責任で業者に整備を委託して行われているとのことであった。現場をしっかりと点検しているのかと尋ねると、言葉を濁すだけでした。

 

小生は町民の安全と安心を守ろうとしない、この小国町役場の姿勢に実に憤りを覚えました。全く仕事をやる気概を感じませんでした。これでは、小国町がどんどん衰退し、最後には滅亡するのも時間の問題だと確信しました。

 

その後、林野庁東北管理局に連絡を取り、山形県小国町の山々が野ざらし状態で大変な状況であると報告し、しっかりとした対策を早急に打つように依頼しました。東北管理局は早速、置賜支社に連絡をいれ、そこを介して、小生に連絡が入りました。しかし、置賜支社では、神明山公園がどこにあるのかや健康の森がどこにあるのかもなかなかわからず、また、町有林、私有林、国有林の判別がつかないので、まずは、調査に乗り出すことを承諾してくれた。

 

林野庁が調査を開始すると同時に、今度は山形県庁に連絡を入れ、もし、神明山公園が町有林であり、小国町がしっかりと管理できないのであれば、山形県が小国町に行政指導を行うように依頼しました。その後、神明山公園に関しては小国町に行政指導が下ったはずです。

 

その後、林野庁の置賜支社から連絡を受け、神明山公園ー横根山の山道、山林の荒れ放題は実に惨憺たるもので、このような事態に至ったのは小国町と林野庁との連携の欠如にあったことを認めてくれました。今後は小国町と協力しながら、山道、山林の管理と行っていく旨を約束してくれ、その後、2022年3月の林野庁ー小国町協定が成立しました。

 

不思議なのは、10年以上も神明山公園ー横根山一帯が野ざらしの状態になっていたことに小国町の町長、町会議員、役場職員、あるいは、小国町の観光局や「白い森株式会社」の職員は本当に気づかなかったのであろうか、ということです。神明山公園ー横根山一帯は依然として小国町の観光名所の一丁目一番地であるはずです。であるならば、見世物としての観光名所の絶えざる点検は規則的にやるのが当然ではないのでしょうか。小国町の政治行政当局はもちろん、観光に携わる人ももっとしっかりとした仕事をしてもらいたいものです。

 

加えて、小国町の森林の植栽、伐採、間伐の唯一の実働部隊である、小国町森林組合のだらしなさです。森林組合の建物の目と鼻に先にある神明山公園ー横根山一帯の作業をほとんど10年間行っていないことは十分に知っていたはずです。全くもってどうかしています。

 

全体として言えることは、小国町の政治行政は惰性と怠慢の極みに達しています。はじめて、県社山の山道、山林の荒れ放題の状況を見たとき、小生は、小国町の政治行政が崩壊しているのではないかと本当に思いました。町の寂れた状況とあいまって、とうとうここまできたのか、という思いでした。

 

また、小国町の観光局も白の森株式会社も小国町を売り物とするかぎりは、それぞれの観光名所の定期的な点検と調査を行い、政治、行政に改善点を提示するくらいの気概を持ってよかったのではないでしょうか。

 

投稿者 Dr H. Umetsuのプロフィール

政治学者  日本国際政治学会、日本オーストラリア学会所属。

【1】 誕生日:1958(昭和33)年 12月 山形県小国町生まれ 64歳

【2】学歴: 山形県立小国高校卒、東京国際大学教養学部卒、東京外国語大学外国学部卒、南オーストラリア州フリンダース大学大学院社会科学学部政治学研究科修士号(MA)取得【学術修士】、シドニー大学大学院政治行政学部政治学研究科博士号(Ph.D)取得【学術博士】。シドニー大学院時代にオーストラリア、フィジー政府政策顧問としてインターン勤務。

【3】職歴: 塾、予備校専任講師、大学教員。現在は、官公庁コンサルタント、塾、予備校経営。