米国に見捨てられたら、韓国は北朝鮮より先に「崩壊」する可能性 | にゃんころりんのらくがき

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米国に見捨てられたら、韓国は北朝鮮より先に「崩壊」する可能性

「サイゴン陥落」への道を振り返ると…

大原 浩

国際投資アナリスト
人間経済科学研究所・執行パートナー

プロフィール

◇現代の戦争は情報戦である

自称・元徴用工問題における韓国最高裁の理不尽な判決は、これまでも悪化の一途をたどってきた日本人の対韓感情にとどめの一撃を与えたといえる。文政権も、これまでにない世論を背景にした強硬な日本の対応と、自らが学校教育などで「洗脳」してきた国民の反日感情の板挟みにあって右往左往している。

 

また、米中貿易戦争から第二次冷戦へと移る中での、ファーウェイの副会長の逮捕は、米国の対中姿勢の厳しさを如実に示すとともに、共産主義国家としての中国の「スパイ活動」の恐ろしさを身にしみて感じさせたはずである。

 

北朝鮮については多くを語る必要が無いだろう。朝鮮半島や中国大陸の国々の一線を越えた行いについてのエピソードは、ほぼ無限にあり、筆者もその事実に腹を立てている「怒れる日本人」の1人である。

 

しかし、国際政治の力学が決してきれいごとばかりでは無いのも事実である。主権を持っているのは国家だけであり、国連や国際組織は良く言っても同業組合にしかすぎず、何の力も持たないことは、国連の悲惨な現状を見ればすぐにわかる。
 
国際社会というのは、西部開拓時代の無法地帯のようなものであり、「水戸黄門」や「大岡越前」は決して存在しない。その無法地帯の国際政治の力学で見ると「北朝鮮よりも韓国が先に崩壊する」というシナリオが見えてくる。

◇朝鮮半島の情勢はかつてのベトナムに似ている

まず、朝鮮半島の現状とかつてのベトナムとを比較してみよう。

ベトナム戦争は、当時のソ連邦を中心とする共産主義陣営と米国を中心とする自由主義陣営との代理戦争で、共産主義陣営の北ベトナムと自由主義陣営の南ベトナムに分かれて戦った。

 

当初米国は、アジアのちっぽけな共産主義の国など簡単にひねりつぶせると思っていた。ところが、その予想に反しいくら物量作戦で北ベトナムを攻撃しても、彼らを降伏させることはできず、戦争は長期化し、最後には1975年のサイゴン陥落で実質的な敗戦を迎えた。

 

このベトナム戦争敗戦は米国国民の心にトラウマを残し、フランシス・フォード・コッポラ氏の「地獄の黙示録」(1979年)、オリバー・ストーン監督の「プラトーン」(1986年)、さらにはスタンリー・キューブリック監督の「フルメタル・ジャケット」(1987年)をはじめ多くの作品が映画化されているので改めて語る必要は無いだろう。

 

米国がこの戦争において敗北した理由はいくつかある。例えば、当時米国人記者の戦争取材は基本的に自由であったので、戦場の悲惨な写真や映像が、新聞・雑誌テレビなど繰り返し報道され国民の反戦意識をあおった。

 

もちろん、この反戦運動においては、ベトナムだけでは無く、旧ソ連邦などの工作員(スパイ)がデモなどの先頭に立って活躍したのは言うまでも無い。米国内の反戦運動で一番得をするのは、共産主義の北ベトナム政府である。

 

これに懲りて、米国では湾岸戦争以降、戦場での取材に厳しい規制が行われている。最近の戦争で、ベトナム戦争当時のような悲惨な写真や映像が見られないのは、この規制のためで、戦争が今も悲惨であることには変わりない。

 

また、現在は一時停止されているが当時は徴兵制が敷かれ、議員の息子も徴兵されたため、議会でも反戦気分が高まり、これも北ベトナムを利することになった。

 

しかし、最大の原因は、南ベトナムにおける米国の傀儡であるゴ・ディン・ジェムのサイゴン政権が腐敗しているだけでは無く役立たずで、ベトナム国民の支持を得ることができない点にあった。

 

筆者自身は、共産主義は「邪悪なお花畑理論」にしか過ぎないと考えているし、共産主義国家での虐殺・リンチ・監禁を含む悪行を見ている限り、そのような国に住みたいとは思わない。

 

しかしサイゴン政権の現実と共産主義者たちが語るファンタジーを比べたときに、ベトナムの民衆たちが共産主義ファンタジーに望みを託した心情はよくわかる。

 

韓国の現状も非常によく似ている。韓国の政治の腐敗については多くを語る必要が無いかと思うが、歴代大統領が退任後に、反対勢力からの圧力によって逮捕、処刑、自殺などの悲惨な運命をたどっているのは、南米の軍事独裁政権と同じであり、韓国の本質は軍事独裁といえる。

 

また、文政権は特に、北朝鮮の言いなりにみえることもある。

このような共産主義的な腐敗した軍事独裁政権を米国民あるいは米国大統領が好んで支援すると考えるのはあまりにも浅はかである。

 

それが理解できずに、北朝鮮との融和をひたすらはかり、米国の最も重要な(少なくとも安倍-トランプコンビになってからはそうだと考える)同盟国である日本に対する理不尽な反日攻撃を続ける文政権の韓国が米国から見放されるのはむしろ当然といえる。

 

◇そこまで否定しはじめると…

「韓国は目覚ましい成長を遂げ、先進国まであと一歩であるし、北朝鮮とは比べ物にならないほど経済的に繁栄しているではないか」という意見が当然出てくるだろう。

 

その事実を否定はしない。しかし、その繁栄が韓国自身の力だけで成し遂げられたかどうかについては疑問がある。

 

朝鮮半島の日本統治時代の状況については、日韓双方から相反する情報が流されている。筆者は、韓国側の資料は捏造も多く日本側の資料の信ぴょう性が高いと思うが、筆者が「怒れる日本人」の1人であることは割り引いて考えなければならないだろう。

 

そこで第3者である、英国人の植民地研究の第一人者アレン・アイルランドの著書をとりあげたい。

 

アイルランド氏は、1871年生まれで1951年に没している。植民政策学、植民地統治研究の専門家であり、シカゴ大学委員、王立地理学会特別会員であった。また、コーネル大学、シカゴ大学などで教鞭を執っている。

日本による朝鮮統治も現地に滞在して分析し、その成果を1926年に『The New Korea』として出版している。

 

その著書の中で、彼は日本の統治は良好であると述べている。また、何人かの総督の手腕を高く評価している。

 

そのように、朝鮮半島の繁栄した時代が終わり、日本の敗戦により独立国となった。ところが、日本は高度成長によって早々と一流国の仲間入りをしたのに、朝鮮半島は混乱が続き長い間、「二流以下の国」のままであった。

 

もともと同じような国であったのに差をつけられたというコンプレックスが、執拗な反日の背景にあるのは確かだ。

コンプレックスは必ずしも悪いものでは無く、そもそも日本も欧米に対するコンプレックスをばねに発展してきた国だといえる。

 

しかし、韓国のコンプレックスは「反日」という非生産的方向に集中し、それが国家の重要戦略にまでなった今は、コントロール不能になりつつある。

2013年に「日本の統治はよいことだった」とソウル市内の公園でポロリと漏らし、若者に殴り殺された95歳の老人がいたが、現在の韓国の状況は「反日ファシズム」と呼んでもよい状況で、正論は、「王様の耳はロバの耳」の逸話のように、穴の底に向かってささやかなければならない……。

 

日本が戦後所有権を放棄したインフラや、多額の賠償金などで成長したという側面があるのに、それを否定したのでは、韓国の将来は無いに等しい。

 

米国は理想を掲げた冷徹な現実主義者

2015年にリッパ―ト駐韓大使が暴漢に襲われ、死につながるような重傷を負った。彼は入院先の病院で、「自分だけでなく米国への攻撃だ」と述べている。

当時オバマ政権であったので、比較的穏便な対応であったが、筆者はこの辺りから米国は韓国を見放したとみている。トランプ政権の現在、同じことが起これば米韓関係は決定的な事態に陥るだろう。

 

ちなみに、2010年に重家駐韓日本大使が襲撃された事件の犯人は、2015年と同じ金基宗(キム・ギジョン)とされる。このとき金被告は、大使に同行していた女性を負傷させたのに、執行猶予となり収監されなかった。この判決がリッパード事件を誘発したとも言える。

 

それでは、米国がベトナムのサイゴン政権のように、韓国を見捨てるとして、米国が共産主義独裁国家の北朝鮮と組むことがあり得るのか? 答えはイエスである。

 

実際、現在の米国のベトナムの窓口はかつて戦火を交えた北ベトナム政府である。米国は「自由と民主主義」を錦の御旗とし、世界中にそれを広げようとしているが、その究極的目的のための手段として、独裁政権を支援することはよくある。

 

要するに「毒には毒を!」の戦略である。

その点で考えると「米中冷戦」において、米国に役立つのは韓国よりも北朝鮮なのだ。

中国が朝鮮戦争で多くの犠牲を払って北を支援したのも、朝鮮半島が共産主義中国と国境を接するからである。

 

要するに、朝鮮半島は中国のアキレス腱であるのだが、米国がその朝鮮半島を確保するのには韓国では心もとない。おぞましい人権抑圧が行われてはいるが、大統領がころころ変わる韓国よりも、3代も続く金王朝を存続させている北朝鮮の方がよほど安定性があるともいえる。

 

朝鮮戦争でも、米国の陰に隠れてこそこそしていた韓国軍に対して、北朝鮮軍は中国人民解放軍とともに勇猛果敢に戦った。

 

南米での米国の行動を見る限り、手のひら返しで金王朝(あるいは首を挿げ替えた北朝鮮)を米国が支援することは十分あり得る。番犬は手なずけることができれば獰猛なほうが都合が良い。米国は北朝鮮を中国を牽制する番犬として取り込み始めているように見える。