《中国が支配する世界》  パクス・シニカへの未来年表 | にゃんころりんのらくがき

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   中国が支配する世界 

     パクス・シニカへの未来年表

    米中貿易戦争の考えたくない結末

             単行本(ソフトカバー) – 2018/10/3

            

内容紹介

・櫻井よしこ先生、推薦! 「習政権の対米逆転計画を、ここまで確証した書物はなかった。2020年東京五輪を狙い撃ちした〝勝利宣言の衝撃″に備えよ」

中国への覇権交代を年表形式で平易に解説!
・2019年 研究開発費がアメリカを抜き世界一に

・2025年 台湾統一、ハイテク強国の実現、国防費がアメリカを上回る

・2027年 中国のGDPアメリカを逆転

・2030年 中国の海軍力、米軍と拮抗・伯仲

・2035年 軍事力・経済力いずれもアメリカを突き放す

・2040年 中国のGDP、アメリカの3倍の規模に

・「私にとって、『アメリカに未来はあるか』『覇権国家の正体』に続く戦略論であり、ようやく納得のいく本ができた思いです。」(著者からのメッセージ)

世界は大中華の序列に臣従する、新たな国際秩序に耐えられるか? 「私は孫たちに中国の支配する世界で暮らすことになってほしくない」

  (ヒラリー・クリントン氏)

・「西側は何を間違えたか…ソフトパワーに対し、中国は圧力や工作で外国の意見を操る鋭利な刃“シャープパワー"を駆使している」(英エコノミスト誌)

米国の「地政学的先細り」とともに、グローバル経済は中国のパワーに委ねられた。中国を支配する共産党が、自らに合わせて世界の姿すら変えようとしていく事態に、日本は海洋国家として、どう対処すればよいか、踏み込んだ政策提言を行う。

 

内容(「BOOK」データベースより)

覇権交代は2030年前後。西側は何を間違えたのか…共産党支配は世界の姿すら変えようとしている。

著者について

湯浅 博(ゆあさ ひろし)

国家基本問題研究所主任研究員、産経新聞客員論説委員。1948年、東京生まれ。中央大学法学部卒、プリンストン大学公共政策大学院Mid-Career Program修了。
産経新聞入社後に政治部、経済部を経てワシントン特派員、外信部次長、ワシントン支局長、シンガポール支局長、産経新聞特別記者・論説委員を歴任。2018年6月より現職。
主な著書に『覇権国家の正体』(海竜社)、『歴史に消えた参謀 吉田茂の軍事顧問 辰巳栄一』(文春文庫)、『全体主義と闘った男 河合栄治郎』(産経新聞出版)ほか多数。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

湯浅/博
国家基本問題研究所主任研究員、産経新聞客員論説委員。1948年、東京生まれ。中央大学法学部卒、プリンストン大学公共政策大学院Mid‐Career Program修了。産経新聞入社後に政治部、経済部を経てワシントン特派員、外信部次長、ワシントン支局長、シンガポール支局長、産経新聞特別記者・論説委員を歴任。2018年6月より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

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中国が世界経済を支配することはできない理由とは?

 


世界第2位の経済大国になった中国は、2032年にアメリカを抜いて世界一になるという予想が出されるなど、中国が世界経済を支配するのではないかという警戒感がアメリカで出てきています。しかし、2009年以来中国に滞在し、北京大学で教鞭をとるクリストファー・バルディング教授は、「中国は世界を支配することはできない」という見解を明らかにしています。その原因は、中国固有の事情の存在という構造的な問題だとのこと。

Maybe China Can't Take Over the World - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/view/articles/2017-12-03/maybe-china-can-t-take-over-the-world

社会経済主義をとる中国では、資本主義諸国では各種規制が原因で困難なことも政府主導で行われることがあり、経済や科学の分野で他国を圧倒するスピードで物事が進むことがあります。例えば、自動運転カーの社会実験や倫理面での問題を抱えるゲノム編集やクローン技術の研究などは分かりやすい例です。

Baidu開発の全自動運転カーが北京市内の公道走行試験に成功 - GIGAZINE


ゲノム編集技術「CRISPR/Cas9」を用いて中国ではすでに86人の遺伝子改変が行われたことが判明 - GIGAZINE


中国で全く同じ遺伝子を持つ2匹の「クローン猿」がついに誕生 - GIGAZINE


世界最大の人口を抱え経済大国としての存在感を日増しに強める中国が「世界を経済的に支配する日は近い」という声も聞こえてきますが、北京大学のバルディング教授は「そうならないだろう」と、中国支配説に懐疑的な見解を持っています。バルディング氏によると、経済学者や経済評論家が中国企業の業績を喧伝して中国脅威論を唱えるときに、それを生み出した中国固有ともいうべき「構造的な要素」を見過ごしているとのこと。

例えば、中国では他の国を圧倒する規模で携帯電話・スマートフォンを利用したモバイル決済サービスが普及しています。このモバイル決済サービスの充実ぶりは中国固有のものであり、巨大なサービスが生まれた原因について、バルディング氏は2つの「構造的な要素」があると考えています。

一つ目の構造的要素は、中国では銀行システムなどの金融インフラが整わず、小売商の多くが現金決済を好み、クレジットカードが普及していなかったこと。

二つ目は、中国にはテンセントの「微信(WeChat)」とアリババの「Alipay」という市場を二分する巨大なサービスがあること。モバイル決済サービス市場を2社が二分しており他のサービスは事実上、存在しない状態という他国には見られない独特の世界です。

このような中国固有の事情のもと、メッセージを送りあうだけでなく、物を売買したり、サービスを利用したり、お金を貸し借りしたりするときに、現金の代わりにこれらのモバイル決済サービスを日常的に利用する行動様式が生まれました。世界で最も進んでモバイル決済サービス網が築かれている中国では、2016年に携帯電話を通じて決済された額は5兆ドル(約540兆円)以上で、アメリカの50倍以上というぶっちぎりの世界一の規模になっています。


しかし、バルディング氏は、欧米や東アジアの経済的に豊かな国では、クレジットカード、デビットカード、小切手、PayPal、Apple Payなどのモバイル決済サービスなど多様な決済手段が用意されており、それぞれがデジタル化して便利になっているという違いがあると指摘しています。中国のような決済システムでは、決済の選択肢が奪われるというデメリットがあるため、普及しないというわけです。

モバイル決済サービス以外にも、中国では小売の実店舗ビジネスが難しいという事情もバルディング氏は指摘しています。世界の「人口50万人を超える都市」のうち4分の1を占める中国ですが、不動産(土地)を所有することはできないため、店舗の規模拡大が制限されているとのこと。そのため、商品を保管する倉庫から直接、消費者に商品を届けるオンライン通販が盛んになり、AlibabaやJD.comなどが発展したという独自性があるそうです。

物流が貧弱だった中国で、AlibabaやJD.comは独自の効率的な物流網を構築し、中国全土のオンライン通販を支配することに成功しています。


バルディング氏は中国企業が注目すべき技術を生み出していることを否定してはいません。しかし、中国で生み出されたものが、異なる環境で移植して成功できるかといえば、構造的な要素を無視すれば不可能だろうと考えています。中国で成功したことが、ただちに他国で通用することにはならないというわけです。中国と同じ環境であれば中国で成功した方式を応用することは可能ですが、中国企業が世界進出に苦戦することを見れば、単なる当てはめが困難なことは明らかです。

 

人工知能などの革新的な技術の研究・開発を国家的な規模で行う中国が、今後も革新的なものを生み出す可能性は高くとも、まったく異なる条件の下で生活する顧客のニーズに応用できない限り、著しい進歩も中国の海岸線にとどめられるだろうとバルディング氏は指摘しています。

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独裁政権の統率の下、巨額の不良債権はロールオーバーされながらさらに膨らんでいるようです。それがどの時点下で臨界点を迎えるのだとは思いますが、それは決して中国の終わりを意味しない。

 

もし中共を終わらせることができたとしても、中国という国が民主国家に生まれ変わることも絶対にない。

横暴さはさらに増し、その標的は日本となる。

世界覇権を握るためには海への出口が必要だから。

 

中国のバブル崩壊による混乱で中国が分裂することを期待していたけれど、あの厳しい管理体制では無理かもしれない。

 

アメリカの衰退も決まったわけではないとしても栄枯盛衰、いつか必ず弱体化は始まる。

このままいくとアメリカの分裂の方が先にならないとも限らない。

 

アメリカも、中国の価値観による支配や華夷秩序に組み込まれる恐怖を予感しているのかも知れない。

 

そうはならないにしても、日本人のように楽観的に無防備に、中国を侮っていていいはずはないと思う。