日本版トマホーク、開発へ | にゃんころりんのらくがき

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日本版トマホーク、政府が開発の方向で検討

 

 政府は、地上の目標を攻撃できる巡航ミサイルを開発する方向で検討に入った。

                   

  トマホーク 米国の主力精密誘導型巡航ミサイル。射程は1250キロ・メートル以上で

  全地球測位システム(GPS)衛星の位置情報などを使ってピンポイントで目標を破壊する。

  1991年の湾岸戦争で実戦投入され、今年4月のシリア攻撃でも使用された。

 

 

 防衛省が2018年度から研究を始める予定の対艦ミサイルに対地攻撃能力の付加を計画しているもので、日本が対地巡航ミサイルを本格的に開発するのは初めてとなる。敵に占領された離島の奪還が主目的だが、敵基地攻撃も性能上は可能で、北朝鮮への抑止力向上にもつながる見通しだ。

 

 巡航ミサイルは搭載したレーダーなどによって攻撃目標に向かう精密誘導兵器で、弾道ミサイルが放物線を描いて上空から飛来するのに対し、飛行機のように翼とジェットエンジンで水平飛行する。米国の「トマホーク」と共通点が多いことから、防衛省内では開発するミサイルを「日本版トマホーク」と位置付けている。

 

 18年度予算の概算要求では「島嶼防衛用新対艦誘導弾」の研究費77億円を計上。新型対艦ミサイルの研究開始として公表しているが、技術的に共通点が多い対地ミサイルの機能も持たせる方向で検討を進める。22年度に試作品の完成を目指す。

 

 計画段階では射程は300㌔・㍍以上で、専用車両や護衛艦。P1哨戒機などから発射可能にする。全地球測位システム(GPS)などを利用しながら低空で飛行し、目標直前で搭載したレーダーに切り替え、破壊する方式を想定。ステルス機能を高めた形状とし、米国のトマホークより敵のレーダー網をかいくぐりやすくするほか、飛行途中で進路を変えるなど、より迎撃されにくくなる機能も検討する。

 

 政府が対地と対艦を兼ねる巡航ミサイル開発を検討するのは、中国軍が海洋進出と装備の近代化を同時並行で進めていることへの危機感からだ。ミサイルが実戦配備されれば、離島に接近する艦船や、上陸した地上部隊への攻撃能力が大幅に向上する。ミサイルがを搭載する艦船や航空機を敵地近くに展開すれば、敵基地攻撃での利用も可能となる。

 

 ただ、政府は敵基地攻撃能力について、憲法上認められているが、専守防衛の観点から政策判断として保有しないという立場だ。政府・自民党内には北朝鮮情勢を踏まえ、敵基地攻撃能力の保有を求める意見もあるが、まずは離島防衛に主眼を置いて開発を進める考えだ。

 

 日本が過去に開発した巡航ミサイルに分類できる装備は対艦用としてのもので、車両発射型の88式地対艦誘導弾や、これを改良した90式艦対艦誘導弾や93式空対艦誘導弾などがある。

 

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日本、国産巡航ミサイル開発に意欲

 

 

日本の防衛省は、陸上の敵部隊や敵艦を標的とした日本の巡航ミサイルを開発する方向で検討している。読売新聞が報じた。

 

2018年度の防衛省の概算要求において、島しょ防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究に77億円が計上されている。

読売新聞によると、米国の「トマホーク」と共通するところが多いため、防衛省では「日本版トマホーク」と呼んでいる。特色は、巡航ミサイルは海上だけでなく地上の標的にも攻撃可能で、発射車両や護衛艦、川崎重工の手がけた哨戒機「P1」など機体からも発射可能であることだ。

読売新聞の記事が詳細でなくても、いくつかの結論は出すことができる。

 

米国軍

© AFP 2017/ CHOI JAE-KU

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第1に、計上された予算は新型対艦ミサイルの開発ではなく、求められる性能まで現行のミサイルを改良するためのものだ。新型巡航ミサイルの開発なら、格段に多くの費用がかかるだろう。例えば、フランスは1998年度、新型巡航ミサイル「SCALP-EG」(ストーム・シャドウ)のために7億4500万ドルを費やした。ロシアとインドによる対艦ミサイル「ブラモス」の共同開発には2001年度、非公式の情報によると2億4000万ドルかかった。

 

日本はすでに、非常に迅速に改良できるであろう、将来性のある対艦ミサイルを数種類持っている。その1つには、三菱重工が手がけ、1988年から陸上自衛隊に配備されている地対艦ミサイル「88式地対艦誘導弾」(SSM-1)がある。艦対艦ミサイル「90式艦対艦誘導弾」(SSM-1B)は1990年から配備。2012年にはSSM-1の後継として12式地対艦誘導弾の調達が始まった。12式地対艦誘導弾の射程は250キロまで伸び(SSM-1は150キロ)、最高速度はマッハ3(およそ時速3672キロ)そして最大250キロまでの弾頭を搭載可能だ。ミサイルは複数の誘導システムを搭載し、弾道を修正できる上、低い高度を飛行する。

 

北朝鮮の脅威によって、日本の再軍備は正当化されるのか?

© AP PHOTO/ ITSUO INOUYE

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12式地対艦誘導弾は艦体だけでなく、地上の標的にも有効な完全な巡航ミサイルにできるまで改良が十分可能だ。こうしたミサイルによる空軍基地や連絡基地、司令部への攻撃は敵へ大打撃を与えると言える。飛行機からのこうした巡航ミサイルの発射は、エアボーンや地上部隊のサポートが可能だろう。

 

どうやら、改良されるのは12式地対艦誘導弾のようだ。2017年1月、横須賀基地で12式地対艦誘導弾と似たサイズの2発のミサイル用の新しい発射装置を搭載した海上自衛隊の試験艦「あすか」が目撃された。ミサイルは国際展示場「MAST Asia 2017」 (Maritime Air Systems & Technologies)で展示された。また、ウェブリソース「navyrecognition」が英Qinetiq社の代表の話を基に報じたところ、日本の防衛省は将来性のある艦対艦ミサイル「XSSM」の実験を行った。実験の実施日は不明だが、XSSMの試作型が「あすか」から、Qinetiq社のカナダ支社が作った標的用高速ボート「Barracuda」に向けて発射された。

 

クリル諸島

© SPUTNIK/ EKATERINA CHESNOKOVA

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第2に、最近の訪日でトランプ大統領は、日本がより多くの米国の兵器を買うよう迫った。しかし、日本の観点からは国内の企業で生産するほうが目的にかなっている。それに加えて、日本版トマホークという名称に関わらず、日本製の巡航ミサイルの性能は米国製を超える可能性がある。米国のRGM-109D Block IIIは340キロの弾頭を搭載可能で、射程は1250キロだ。

 

だが、速度は低く、最大で0.5マッハから0.7マッハ(時速880キロ)。そのため、重機関銃を含むどんな対空砲でも撃墜可能だ。日本のミサイルの飛距離はおよそ300キロだが、速度は非常に速い。わずか4分半で標的まで到着するのだ。一方で米国のミサイルは同じ300キロ到達に20分を要する。これほど短い時間ではいかなる防空システムやミサイル防衛(MD)システムでも撃退が困難で、高速で飛行するため敵による撃墜の可能性を大幅に減らす。

 

読売新聞の記事にある通り、巡航ミサイルの開発の主な目的は島しょ防衛にあるとは言え、北朝鮮への抑止力を高めることにもつながるだろう。