3月17日(ブルームバーグ):キプロス支援の条件として銀行預金への課税という前例のない措置が盛り込まれたことに同国民が強く反発し、欧州による同国救済に狂いが生じかねず、債務危機の新たな局面を迎える恐れが出てきた。
キプロスのアナスタシアディス大統領は、国内の全銀行預金に課税して58億ユーロ(約7100億円)を徴収するとしたユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の要求を受け入れ、国民向け演説でこの措置への支持を訴えた。課税の仕組みの変更が検討されていると伝えられるなか、大統領は同措置に関する議会の採決を18日まで延期した。
モルガン・スタンレーのチーフエコノミスト、ヨアヒム・フェルズ氏(ロンドン在勤)は顧客向けリポートで、「同様の措置が将来取られると他の周辺国の預金者が懸念すればシステム全体へ影響が広がる恐れがあるだけに、憂慮される前例となった」と指摘した。
キプロスの街ではATM(現金自動預払機)の前に行列ができ、他国への資金流出の観測が浮上している。ECBが昨年9月に財政難の国を支える方針を表明して以来落ち着いていた市場は再び混乱する恐れがある。イタリアではまだ新政権が発足せず、スペインは政治スキャンダルの渦中にあり、ギリシャは救済条件の順守に苦戦する状況でのキプロスの新たな混乱は、域内の債務危機収拾に向けた取り組みを妨げる可能性がある。
ユーロはフランクフルト時間午後9時25分(日本時間18日午前5時25分)時点で1.5%安い1ユーロ=1.2926ドル。世界最大の債券ファンドを運用する米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース氏はツイッターで、キプロス不安で「リスクオンの取引は影を潜める」と予想し、「ユーロも売りだ」と付け加えた。
■預金課税
アナスタシアディス大統領は預金課税について、キプロスのユーロ圏離脱につながりかねない金融システム崩壊を回避するための1回限りの措置だとして各政党に支持を呼び掛けた。
就任から3週間足らずの大統領はテレビ中継された演説で「銀行が破綻すれば筆舌に尽くし難い不幸を招く」と述べ、1974年のトルコによる派兵で国が分断されて以来最悪の危機だと強調。救済合意がなければ、欧州中央銀行(ECB)が3月19日にキプロスの銀行1行に対して流動性供給を停止する事態になっていたと説明した。
大統領は銀行の取り付け騒ぎを抑さえるため、資金を2年間口座に保持する預金者には天然ガス収入による将来の利益に裏付けられた証券を付与することを明らかにし、預金者への影響を緩和する措置も目指すと述べた。
銀行課税の税率は現時点で、10万ユーロ(約1200万円)以下の預金が6.75%、それを上回る預金は9.9%となる。この徴税により、キプロス救済策の規模は当初の約170億ユーロから100億ユーロに縮小した。預金の送金は既に凍結されている。18日は銀行休業日のため、政府は19日の銀行の営業再開前に徴税する準備を整えている。
欧州当局者によると、キプロスは課税を大口預金者に多く、小口の預金者に少なくする体系に見直すことを検討中。欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会と国際通貨基金(IMF)、ECBは、徴税額が同じである限り、見直しを支持すると同当局者は述べた。
大統領は18日午後4時に始まる議会での審議に先立ち議員らと会談する。与党民主運動党(DISY)は56議席中20議席、2月の選挙でアナスタシアディス大統領を支持した第3党の民主党(DIKO)は8議席をそれぞれ有する。19議席を持つ労働人民進歩党(AKEL)は反対票を投じる計画。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJTODB6TTDS201.html
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メルケルは間違っている!
ユーロ崩壊はキプロスから始まる。。。な~んちゃって