眼瞼下垂手術のADM手術は眼瞼痙攣に対するミュラー筋の感度を下げる手術となります。
*信州大学の松尾教授が開発した手術
ミュラー筋の緊張を取ることになりまして、ミュラー筋の過収縮によって痙攣が起きている事例で行われることがあります。
ADM手術は4人中1人は良くならないと指摘もあり、一発勝負的な術式でもあるので、むやみにやるような手技ではないわけです。
まだ痙攣が回復した事例でも、完全に100%治るケースは少なく、以前よりも症状が改善したというようなイメージです。
ADMの処置は難しいオペです。挙筋腱膜とミュラー筋の剥離を行って、ミュラー筋の切除をします。眉毛の位置を確認して左右を揃えてその後は挙筋を前転して固定。二重幅に食い込みがないように、筋膜断端に皮膚が引き込まないように固定する。
美的センスや形成外科的なスキルも併せて求められる手術です。
引きこみが強いと食い込んだ目になるので、デザイン的には失敗です。
眼瞼下垂のADM手術は脳生理学の知識が求められる難しい手術なので、若いドクターが眼瞼下垂に手を出せないのはこうした理由があります。下手に研修医が眼瞼下垂をいじって取り返しのつかないことになると修正出来ない致命的なトラブルを引き起こしかねません。
眼瞼痙攣による眼瞼下垂症の人は、元々は眼輪筋を切除する大きな侵襲を伴った手術を行われることがあったわけですが、ADM手術ではミュラー筋を切除して感度を下げることで改善を図ることができます。
通常の眼瞼下垂手術の主義に加えてミュラー筋を追加切除する方法なので、その適応を含めて正確に治療を提案できる専門性の高い外科医のもとで診断を受けられることをお勧めいたします。