前回のブログで,吉田育英会の学内選考に落ち,話す技術を練習すると書いた.そして,話す技術は話す内容と話し方に分けられるとした.

 

 

 これについて先週末母や友達と話して,私がまず取り組むべきは話す内容だという結論に至った.なぜなら,面接で私が休学までして「食を考える」を始めた理由を聞かれた時に,全く上手く説明できなかったからだ.

 

 スティーブ・ジョブズさんの有名なスピーチに「点と点を結ぶ」という話がある.

"If I had never dropped out, I would have never dropped in on that calligraphy class and personal computers might not have the wonderful typography that they do."

「もしも私が中退していなかったら、あのカリグラフィーの授業にもぐりこむことはなかったでしょうし、パソコンが現在のような素晴らしいタイポグラフィーを備えることもなかったかもしれません。」

引用:「Stay Hungry,Stay Foolish スティーブ・ジョブズ 伝説のスタンフォード大学スピーチ」, https://ee.asahipress.com/download/2004/pdf/2004%20jobs.pdf (2024/04/15 閲覧)

 

 それぞれの点は,その時自分がやりたいと思ったことで,必ずしも前後の点と直接つながるわけではない.しかし,数年前の点と今がつながって,一つに線になる.

 

 では,私の場合は?これまでの私と「食を考える」を始めたことや,大学で土粒子の粒径組成を調べ,大学院でダムの堆砂問題に取り組みたいことは線でつながるのだろうか?答えはイエス.母は,これからの点が「美味しいものが食べたい!」という線でつながっていると教えてくれた.確かにそうだ.

 

 思い返してみれば,小学生の頃から三条市の完全米飯給食で有機栽培米をモリモリ食べて育った.燕市の中高一貫校に進学して,給食センターが変わってからは,給食のまずさに嘆いていた.当時は,三条市が有機栽培米を使っていることを知らなくて,燕市の学校給食がまずいことと給食に使われている食材の違いがつながらなかった.

 

 しかし,大学に進学して,三条市の学校給食に有機栽培米が使われていることを知った.すると,有機栽培米と美味しかった記憶がつながり,農薬や化学肥料が使われていない農産物は美味しいという確信をもった.

 

 では,そうした農産物はどのようにして収穫を得ているのか調べると,自然が生み出す土壌の肥沃度という機能に出会った.土壌の肥沃度は自然の物質循環と人間が加える肥料などによって高まるが,化学肥料などを使用しない農業においては前者が重要となる.

 

 自然は物質循環の中で農地に土と養分を含んだ水を運び,土壌の肥沃度を形成する.水は河川の上流から海に流れているが,上流にあるダムは土や養分の質・量を変えている.そして,その変化は土壌の肥沃度にとってマイナスだ.つまり,ダムが物質循環を断ち切ることで,土壌の肥沃度が低下し,有機・自然栽培ができなくなったら,美味しいものが食べられなくなるのだ!これはいかん!だから,大学院でダムの堆砂問題に取り組みたいと志すようになったのだと思う.

 

 自分の点も線でつながった.「食を考える」もその中に含まれて,今へと続いている.