ストーマ・ソング・ライターの日常♪-130831_192906.jpg

このRFLを通じて知り合った方に、詩人のS先生という方がいます。

S先生は双葉出身の元教諭で、現役の頃に血液のがん「悪性リンパ腫」を発症。
何度かの余命宣告、何度かの移植を経て、現在も壮絶な闘病が続いています。
そんな闘病生活の中にあって、強い抗がん剤で頭髪も眉毛まで抜けた姿で、無菌室からビデオを使い子供たちに命の大切さを説く「命の授業」という活動をされてきた方です。
また、震災によりお住まいが立ち入り禁止区域となり、現在も郡山の借り上げ住宅に奥さまとお母さまと避難生活の中にありながら、闘病も続けていらっしゃいます。

僕はそのS先生から、ご自身のブログに載せた詩をまとめた二冊目の詩集「向日葵」から、一遍の詩を選び曲をつけて欲しい…という依頼をうけており、このRFLで発表することを約束していたのでした。

実は先生は今、自分の血液を自分の体が上手く作れない、予断の許されないような状態にあります。
入院し、輸血によって命を保っています。
度重なる輸血は、時に体が拒否反応を起こすことがあります。
そんな時はとんでもない高熱に苛まれます…。

しかし先生は、RFLに参加することを支えに、辛い治療に耐えて来られました。
そして、奇跡的に入院先から外泊許可をもらい、奥さまに車椅子を押してもらってRFLにおいでになったのです。(実は当日の朝も熱があり、強いステロイド剤を投与しながらの外泊だったそうです)

僕は先生の作品の中から「たんぽぽ」という詩を選びました。
全てを受け入れ地べたに健気に咲く野の花に、ご自身を重ね合わせた詩です。
春に咲くこの花の明るく爽やかなイメージが、なるべく重い暗い歌にしたくなかった僕の想いにリンクしたのでした‥。

RFL二日目。
先生との約束通り、僕らのバンドのミニライブの最後に「たんぽぽ」を演奏しました。
演奏前に曲が出来た経緯を説明し、先生を紹介しました。
すると奥さまが先生の車椅子を押して、僕らのすぐ前に進んで来られました。
そしてキーボードのイントロが始まりました…

‥先生も奥さまも曲を気に入ってくれたのはすぐ分かりました。
1番のサビの辺りで既に目を真っ赤にされていたからです。
2番が過ぎ、曲の終わりが近づく頃には、もう先生も奥さまもイベントのスタッフも、S先生を知る他の参加者もみんなハンカチで涙を拭っていました。
そして、こらえきれずにボーカルのTの声が途切れてしまいました。
そしてついに、僕の涙腺も崩壊しました。

演奏が終わり、長い拍手の中先生と奥さまは何度も何度も「ありがとう」と頭を下げてくれました。
駆けよった僕は、泣きながら何度も先生と握手をしました‥。

イベントが終わりバンドメンバー全員で挨拶に行った際、奥さまが「たんぽぽを聴いて元気になったみたい!全然顔色が違うでしょう!?」と言ってくれました。僕らはもう、この言葉と笑顔だけで十分でした。

そして今度は、「たんぽぽをレコーディングしてCDにして届ける」ことを先生と約束しました。
レコーディングには時間がかかります。
先生にはそれまで元気でいて、僕らの宿題を受け取ってもらわなくてはなりません。

先生、僕らは必ずこの宿題を提出しに参ります。
その時は絶対に笑顔で受け取って下さい!
約束ですよ‥。