金持ち学校で有名な遙華学園は海の近くにある。幼稚園から大学院まであるこの学園は学力はもちろんのこと金もだいぶかかる。
わりとお高くとまってる奴が多くてオレは嫌いだ。
市内から15分程走り最寄りのバス停に止まった。
降りて行く奴を追ってオレもバスを降りた。
「まだ少し時間あるかな」
凛とした声が聞こえた。思っていたより高い声は耳に心地よかった。
そいつは学校への道とは反対の道へ歩いていく。
(どこ行くんだ?)
気付かれないよう気を付けながら後をついて行く。
着いた先は自然公園の奥。
「こんにちは」
「みゃ~」
(猫?)
誰に声かけてるのかと思ったら野良猫が何匹か繁みから出てきた。
「昨日はこれなくてすみません。さ、ご飯持ってきましたよ」
柔らかく微笑みながら猫達に餌をやるそいつを見てオレは一瞬ドキッとした。
バスの中で見た表情は無表情で気難しい奴かと思ったがこんな表情も出来るのか。
(…相手は男なのに可愛いとか思ったじゃねぇか…)
自己嫌悪に陥っていると急に男が立ち上がった。
「もう行かないと。また来るよ」
(ヤバッ!?)
こっちに走ってくるのが見えオレは慌てて繁みに隠れた。
通りすぎる奴を見ていると夢の中で見た奴とやっぱり似ていると思った。
