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           ダバオ通信  ヤン爺のラストライフ・ダバオ 
              Last Life Shift In Davao Philippine 

              
            フィリピン社会に戸惑う ダバオ隠居物語
                  「団塊 百年の孤独 老いの抗い」  
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何もない 水平線から昇る 朝日を見
何もない 水平線に沈む 夕日を眺め
夜は 満天の星を 見上げる



 

人間は 生 性 病 死の恣意(しい)から
何人も 逃れることは できない

生命としての 身体は
自分自身の 所有物に 見えて
これを 自らの制御下に
置くことは できない

いつ生まれ どこで病を得
どのように 死ぬか
知ることも 選(え)り好み
することも できない

普段 都市の中にいる 人間たちは
すっかり そのことを 忘れて
計画どおりに 規則正しく 効率よく
予定に したがって 成果を上げ
自らの意志で 生きている ように
思い込んでいる

ここに 本来の自然と
脳が 作り出した自然の
本質的な 対立が ある

人間以外の生物は みな
約束も 契約も せず
自由に 気まぐれに
ただ一回の まったき 生を 生き
ときが 来れば 去る
生命を論理で 決定する ことは
できない

人間の生命も 同じ はず



 

21グラムは 魂の重さ
人間が 死んだ ときに 
軽くなる その重さ

その重さを 時間として
はかったら どうなる か
そう 思って つくられた

 

「21グラム」という名の 砂時計

21グラムの砂が 入って いる
だから 何分かは わから ない

魂の重さ と いうのは
人 それぞれに
重い人も いれば
軽い人も いるかも 知れない

そこを 想像する
この砂時計を 見た ときに

「あなたは どうなの だろう」

 


◇◆◇ ─────────────────────
ヤクザにも 医者にも 定年は ない

会社員の定年 日本で なくなった
「ハッピー リタイア」「余生」
この言葉 世間から 消された 

このビールの 旨さと きたひにゃあ
もう知らネー! って 感じ だなあ~

それが さぁ

ビールも ねえ
余生も ねえ
♪オラ そんなのイヤだ~
♬オラ そんなのイヤだ~

旨いツマミが あって
気の合う仲間との 酒が 飲めない 

禁酒令 勘弁して くれよ
ホント 明日からの 活力を 失うヨ



 

年金支給も 70に したいん だろ

人は 老い
健康な状態では 
生きられ なく なるんだよ
それを 無視している 点で
この政策は 残酷

こんな こと
政府が 言い出したのは
高齢に なっても
働かなければ 暮らせない 人々を
たくさん つくり出して しまった

そう なんだろ

アタクシ風情が
ああだ こうだ
云えるモン じゃ ないんだ けど

後輩の面々が 人生最後に 
辛酸を なめさせられて しまう

コツ コツ やっていくしか ネーヨな
生きてりゃ いい事も あるさ
なんて まあ そんな 慰め・・

エエーイ! 腹の立つ! こと!

余生は『老い人のアヘン』

かつて「楽隠居」という
快楽的 老後の過ごし方が あった

年老いて 体力の衰えを 感じたら
長男に 家督を譲って
第一線から 引退
仕事だけで なく
身の回りの 世話なども
若い世代に まかせて いた

何の心配も 無く
悠々自適な 余生

自分の やりたいこと だけ やって

何が 悪い

 

好きな こと やりつくしても

時間は 全然 足りない のに
 

我が儘に 好き三昧しての 余生

そんな「ご隠居さん」
近所に 何人も いた もんだ

今では そうは いかねえ か

最後に 家に残るは ひとり
家事も 身体が 動く限りは
自分で するしか ない

自分も そう・・

シニアに なったら
これまで以上に 自分を 大切に
自分を 困らせ ない ように しないと

今や 自分ひとり!
誰に 遠慮も 気遣いも ない
これからが 短くても 永くても

ナニが 起きても
元気 出さないで どうする え!

高齢者の本音は 隠居
「働きたくない ゆっくり したい」
だが そうも いかない 老後の事情

「生涯働き続けで 死ね」
そう言ってるのに 等しい 政府 
定年廃止の 改悪法令

さて どうした もんかね~

ふん こんな国に 住める かよ 

おや! 怒りまし たね・・

高齢の国に なる こと
50年前 既に 分かって いたのに
この間 国は 何を してきたのか!

介護保険は 破綻寸前
医療負担の 増額
年金支給年齢の 引き上げ



 

高齢化 根本対策を 
失政してきた 50年 
無駄な 時間を 
浪費してきた 政府 

今に なって 国政の怠慢を 
高齢者に 押し付け 逃げる
平凡な結論を 導き出した

 

家族介護で 自宅で死ね
低次元な レベルでの 誤摩化し 
とても 妥協など できない

働き方改悪 死ぬまで 働け

たまった もんじゃ ない

高齢者は 国の為にも 働いてきた
少しは 敬意を はらったら どうだ
余生 好きに 過ごしたいん だよ

老後を 
ないものに して しまう 大問題

老後 自分が 何を すれば 
幸せで いられるかを 知り
その経験に 惜しまず 金を使う

それは 人によって 違う
活発で 冒険的な行動を
好む人も いれば

自宅で 静かに過ごしたい人も いる

自分や 家族 友人の ために
何かを することに
喜びを覚える人も いれば

恵まれない 他人への 支援に
生きがいを 感じる人も いる

自分を 幸せにしたい 老後

菅さん あなた だって 団塊
仲間の気持ち 分かる よな

医者にも かかれない 食えない 
高齢者を いたわれない 国は 
国とは 呼べない よ

自己責任とは 言わないが
生活保護が ある だって!
バカな事 言うもんじゃ ない
 
菅さん あなたは 
高齢者から 目を そらし たいんだ

高齢者を いじめるんじゃ なく
大企業の法人税率を 引き上げ
その財源で ゆるやかに 高齢化を 
しのいで いけば やって いける

大企業が 定年廃止で
労働者の賃金を 下げる
投資も 増やさず 配当も控え
浮いた金を 内部留保として
ためこんで いる
たっぷりある から 大丈夫

道で 転んじゃった 時
『恥ずかしいから さっさと 立てよ』
菅さん あなた 手も貸さない のか?

「ハッピー リタイア」「隠居」
老い人の『余生は アヘン』
快楽三昧に 過ごせた かが 老後

去年は 元気そう だった のに
なんて いう 話
この年に なると あてに なら ない

だから 余生の毎日が 貴重 
心配事 無く 過ごさせて おくれ

限界寿命は 120歳
「運動六分」「腹八分」
「睡眠十分」「気持ち十二分」
それで 完璧では ないだろうか

フィリピンって 隠居は 
当たり前田の クラッカー

こうやって いち いち
まぜっ かえして いるうちに
日が 暮れた

 


 ◇◆◇ ─────────────────────
「人を 見た目で 判断しては いけないよ」

人の世は 
勘違いで 成り立って いるんだから
それほどに 人が 人の心を よむ
むずかしいの だよ だからネ
己が心を つつしんでいる だけでも
世の中 少しは 真っ当に なる

子供時分 母親から 諭された

ホテルマンは 靴を見て 客を 判断

己の頭脳は 
初めて会った 人 
第一印象 2秒で 
勝手に 相手を 値踏み してた

「好き」とか「嫌い」とは
また 別にある 人の景色
「海のある色」の 人間なら
性に 合っている



 

ドン詰まった 老いヤクザ
人生の 午後9時を 過ぎて
男は なぜ いま 

放浪の道を 選び取らねば 
ならなかった のか

体力は 衰えた
経済的な余裕からは ほど遠い
家族は いない
南の島 移動しての 放浪生活

ヤクザ世界の 
黒いしがらみ から 解き放たれ
心の平安を 得ている ように
見えても とんでもない ヤツ

事態は 単純では ない
社会学や 心理学で 裁断できない

「人の営み」世の中に 多くある

人間は 孤独で いるかぎり

男は 男自身で いられる

孤独を 愛さない 人間は

自由を 愛せない 人間

孤独と 渉(わた)り 合える
自由の匂いが 漂う
南国の ゴージャスな 孤独

そんなこと 言われたら
下を向いて 苦笑して しまう

「心の体幹」が 

並外れて 強い男
愚痴は こぼさない 
強がりは いわない
自分を 冷酷に 突き放せる

後に 偶然出会った 女に
「ホームレスじゃ なくて」
「ホームタウンレス なのだ」
「単騎の放浪者」だと 告げる

男に 小さなサインを 送る 女

軽い うなずきで
さざなみの ように
控え目な しぐさ

かつて 男を取り巻く 空気には
圧倒的に 酸素が 足りなかった

そこから 飛び出した ところで
酸素を 吸える 場所など ない
死にたくは ない
けれど 生きたくも ない

嫌でも 生き物と いうのは
生きる ことに 
喜びを 求めるように
セット されてしまって いる

こんな 男は
どこかで もがき 苦しんで
窒息死する くらいで 丁度いい

生きていくこと そのものを
男は 追求して いない

 

生きづらいだ ふん ふざけるな

不安定だが 強靱で
孤独だが 自由になった 男


苛烈だが 

寛容な人々が 暮らす地
フィリピン ダバオとは
もと もと そういう土地
 
フィリピンを 

知りた ければ
 

そこで 生きてる 人々を 

知りた ければ
深みまで 降りて いけ

男は 呵責なんて 持っちゃ いない
疲れ はてて ほとんど 喋らない
食べも しない タバコを 吹かし
酒を 吞むだけ 細い目が 険しい

ボコボコに ブン殴られて
包丁で ザクザクに 刺されて
何発も 銃で 撃たれて

「絶対 死ぬだろ」
大出血 しながら
根性見せて 生き延びて きた 

都市の暗部を 泳いだ 男
金持ちの 形成外科医
銀座 高級クラブのパトロン
それらを 手玉に 取って きた

運よく 捕まらなかった だけ
闇の生活を してきた 男には
安住な場所など ない はず

普通の 家庭の姿を 知らず
普通の暮らしを 知らない

抑えられない 暴力性は
心にあいた 空虚な穴から 飛び出す 

だから と いって
人を 殺して いいはずは ない

そこじゃない 世界に 逃れ でた

「故郷」という 言葉に
憧れを抱き 同時に 男は
「故郷が ない」と いう
欠落感を 持って いた

堕落した 行状
後に 悔悟する 自身の人生

凶暴な行動は 
老いて 削ぎ落と され
南国 ダバオに 
男は 穏やかに 隠棲した

人間 生まれて きたとき
みんな ゼロ
死んでいくときも 
再び ゼロ
浮き 沈みが あったと しても だ

結局
ゼロで 生まれて
ゼロで 死んでいく
男は そう 都合良く 考え
気持ちを 楽に していた

田舎町の「つまらない 住宅地」
平凡な 住民にも 当たり前 だが 
それぞれに 背景が あり
秘密や 事情を 抱えている

犯罪の 一歩手前にいた 者が
危うく 踏みとどまったり する

住宅地の隣人は 
老ヤクザの 心の揺れなど 

無関心

暴れ狂い 体力を 使い はたし 
役に立たない 70と なった 
人生を 振り返った とき
悪いこと ばかりでは なかった が
激しい過去を 南国に懺悔する 男

自分を 守っていた もの

捨てて 一人に なった
世界が 違って 見えてくる
『良い人』に なれる か
自分勝手な 都合 ヤクザな男

世の中の 言うこと 
否定して 生きてきた

定職に つきなさい
結婚 しなさい
子どもを 持ちなさい 
家を 買いなさい

そんな こと
男には ちっとも
幸せでは なかった

世の中が 言うことに すべて
反逆して みせた 異端のヤクザ
すると 初めて
幸せに なれた 気がした ものだ

いまは 死に 怯えないで すむ

人生を 祝わない と いけない
ただ 生きてるだけ そのことを

一汁一菜の 食生活
鍋で炊く ごはん
出汁を とらず
味噌だけ 溶きいれる 味噌汁
焼くだけ 煮るだけの おかず
それに 漬物を 添える



 

炊いた ごはん
1日目は 炊き立てを
2日目は 焼き飯
3日目は おじやにして 食べきる

自分で 自分のための ごはん
生活を 崩さず 死なずに すむ

腹いっぱい 食べて 寝れば
大概のことは 何とか なる

それが 三流ヤクザの 流儀 か

 

お金が 無いなら 無いなりに
生きていけば いい



 

10分に 1回くらいの 頻度で
「あなた この歌 好き」 
女は 通行人に 呼び かける

ある日の ダバオの繁華街
夕闇のサンペドロ・ストリート
足早に 通り過ぎていく 群衆の中
男だけが 足を 止めた

艶のある 伸びる歌声を 聴いた

ひとり路上 ビルを 背にして 
無伴奏で タガログの歌を
唄う女 物乞いでは ない

コロナで
酒場が 閉まった ため
歌手は 路上で 歌い
僅かな 生活費を 稼いで いた

路上の暮らしには 存在しません
競争心が 存在しません から
誰も 人から 奪い取ろうと しません
助け合いの 暮らしが 始まり
気持ちも 考え方も がらりと変わる

私達の コミュニティーは
人と人の つながり なのと
女は 説明する が 

そんな こと どうでも いい と 男

でも それは 男の
これまでの心境とは 真逆の心情
心 そぎ落して いくような 感覚

全てを 使い果たし
男は 野垂れ死にに 向かって
疾走してる
惨めな ことじゃ ない
それが 男の 最高の死に方 

歌手は 30に 届いていない だろう
長い黒髪 身なりは 質素だが
膝上の 清潔なワンピースを 
身に つけていた 足が 長い

小さな顔に 大きな瞳が 
卑屈にならない 意志の強さを
光らせて いた

男は 路上を 動かず
最後まで 女の歌を 聴いた

まま ならない現実との 狭間で
もがき ながら 汗滲ませ 歌う 女

そんな女を 偶然 見とめた 男
女の 疲れた もの憂げな 佇まい
不思議な魅力を 男は女に 感じた

歌い終わった 女に 近付き
男は 通じない言葉で 声を かけた

女は 黙って 
男の後ろを ついて きた 



 

通りの食堂 クシナに 入った
女は 歌手で マエと 名乗った
34歳 美しい容姿を 生かし
モデルの仕事も している ようだ
そこまで 言って・・あとは 喋らず 
黙々と ロミとトーストを 食べる



 

男は 女の食べっぷり
じっと 見ていた

望むものが 手に入らない 
女の中で「空っぽ」の 部分が
コロナで 日に 日に
大きくなっていた

女の震える手 揺れる瞳
不器用な手つきで 拭われた涙
ぎこちない ふるまい

美しい輝きを 秘めた瞳
全く違う道を 歩んできた 男と女
苦境の立場に置かれる ことで しか
出会うことの なかった 二人

この ことを
ただ「不幸」という 言葉に
放り込むことが できたら
よかったの だろう か

男と女 運命共同体
距離感 少し 近づき
また 距離を とって
過去を 知り 今を 交わすことで
互いの存在が 大きくなって いく

絡まり 合っていった 手は
あのとき 放すべき だった?

言葉が 通じず ぎこちない
それでも 次第に意志を 深めていく
男の家で 食卓を 囲みながら
闇で買った ビールを 飲み
互いを いたわり合って いた

音の無かった 家に
歌声が 響き始めた
人を 癒し 
親切心みたいな もの
かき立てる 歌

いい 歌だな 

好意を 持って くれとは 
言って いない
親切は 残る
親切心に 救われる 

いいな いい 歌詞だ

血が 通った 人の温もり
感じさせられ たのは
いつ以来 だろう

男が 好きだと いった歌
女が もう その歌を
口ずさむことは なかった

懺悔と ともに やさしさを
滲ませるように なった女は
もう 過去の中に しか いない

朝食の時間に 口ずさむ
キラキラした 美しい歌

眠れぬ夜に
鼻歌で 歌うことが 習慣に なった

男だけが 覚えている 女
男が 忘れたら
永遠に 消え去って しまう

誰にも 理解されない 二人
ともに 生きる 批判も非難も
祝福ですら 二人には 必要ない

生きていく 二人で ともに
ただ それだけしか 望まない

暮らしの合間
何度も 深く息を 
つかなければ ならない

そうする ことで しか
生まれた感情を
上手く 飲み込む ことが
できなかった

感情の大波に 襲われ
しまい込んだ 孤独が 露呈
溺れている みたいに
うまく 呼吸が できない

思わず 見上げた空は 青く
どこまでも どこまでも
透き通って いた

そこには より いっそう
美しさを増した 自然が
ただ 広がって いた

たった これだけの ことに
視界は 滲み
剥き出しに なった 心が
震えて やまない 感激

痛くて 怖くて 愛しくて
少し うれしいと
思ってしまう 男は
素直に なりすぎて いた

孤独や絶望を
内に秘めた 二人
暗闇の中から
必死に 光に 手を伸ばす

でも 届かなくて
光は 弱々しく
微笑んでいる ばかり

男は 周りの者たちとは 違う
違う道を 進んできた 過去
強固な仮面を 被り
己を ひた隠しに してきた

なのに 暴かれて しまった
男は 抱える傷 熱を 帯び続ける

傷に 癒される なんて
夢物語は もう 語られ ない
傷を 抱えた ままの
「二人」が 語れる はずも ないこと

だから このまま そっと
仄暗い ままで
仄暗い世界を ともに

生きて いっても いいですか?

女に
『この男に なにか してあげたい』
そう 思わせる 能力が 
異常に 発達している
老いぼれた ヤクザな男

他人から どうこう 
言われる筋合いは ない

いかさま

移住なんて もんじゃ ない

男は エマに 話しかけた

闇から 逃れて 来た者
異国は 誰をも 受け入れる

初めは 楽しくて 始める だろう 
けれど 失敗しないを 目指そう
すると アスリートのように 

なってしまう 瞬間が 来る

失敗しない 
移住の成功を 競う
競技のように なる

そこを 乗り越え
移住生活 己の流儀を 手に入れる
新しい世界の扉が なんなく 開く

みんなが その境地に
たどり着く 必要なんて ない

移住は 楽しいのが 一番
温泉でやる 卓球が 
妙に 楽しいように 

「複雑で難しい歌」よりも
「シンプルに 歌える歌」
マエは 持ち歌に している
客から 支持されて いたのだろう

歌を 聴いて いると・・ 
自然に それが 分かる

「いいえ あなた」

誰が 見ても 歌手として 
成功か 失敗か わかる ことを
目標に しているの
そして「いつまで」という
期限も 持たせる の・・

誰から 見ても
自分から 見ても 明らかに
成功か 失敗かが 分かる 目標

目の前に 目標が ある と
ワタシは 元気に なれる から



 

フィリピンでは 他人に 
迷惑さえ かけな ければ
露見されず 潜伏できる

怒っている 人や
イライラしている 人を
あまり 見かけ ない

適度な 距離を 保てば
男に 干渉してくる者は ない

この 何とも いえない
独特の ゆるりとした 怠惰
男は 安心を 覚え 
この街に 留まって いた

「放浪する 旅の暮らし」
男は そう感じて いた 
その中で 一番大きな 理由は
「期間限定だと わかって いた」

旅するような 南国の暮らしには
遠からず 終わりが 来ることを
この男は 知って いた

『さよなら フィリピン
   さよなら ニッポン』

だから こそ 風と酒が 好きで
目の前の海が 美しく青く 見える
南国の 濃いめな女 マエと 
瞬間 目を 触れ合わす

一瞬 一瞬を
脳裏に 焼き付けて おきたく なる
ずっと 続くように思える 暮らしも
永遠なんか じゃ ない

現地のヤツと 目が あったら
自分を 悟られない よう
笑顔で お辞儀を する
できれば 合掌も 併せて する

『敬意を 示してる』意図は 伝わる
安全じゃないが 安心して いられる

楽しいです!と いう 気持ち
持って いれば 怪しまれ ない

「見た通りの 人間は
   ほとんど いる もんじゃ ない」

見た目に 欺かれては いけない
母親の言葉を 想い出す

とんでも なく 
この男 普通じゃ ないって

じゃ ナニが 普通なんだ
普通とは 一体 
誰が 決める もんだ

誰かの 視点から みた 世界が
世の中の普通に なるの か!

おかしいだろ コノヤロウ

自分の選択に 誇りを 持って
その選択の 積み重ねが
自分を 作ってきた

オレと お前が 
違うことは 当たり前

そこに 普通と特別の区別は
何も ないだろ

人としての 価値を
他人が 図ろうと する
もう やめに しろ

逃げてきた者に
ここは 生きやす かった

   遥か隔つ 海の彼方
 波風静かに
 四時花咲き 香りは満つ
 哀れ この 南の島よ
 希望の島 希望の島
 物みな足り満ち
 日は落ちず 花散らぬ
 歓びの 常世辺

地球は 同じ軌道を 回り続ける 

 

けれど

人間は その場所に しばし停止

変わって いく
◇◆◇ ─────────────────────
日差しは 強くなり「風光る」
吹く風も まばゆく 感じられる

4月も下旬
日の出が 早くなって きた

実際の夜で あれば
明ける時刻は あらかじめ
暦で 知ることが できる

暗い時間が 
あと このくらい と 分かる なら
耐える力も 湧き やすい

実際の苦境は と いえば
いつまで 待てば 抜け出せる のか
見通せ ない

ウイルスが まさしく そう
フィリピン 感染爆発の 色彩が 濃い
「緊急事態」の 様相なの だ が
なす すべが なくなった お手上げ
ワクチンも 手持ちは ほんの僅か

感染しない ため
一層 身を 律する だけ

そうは 言っても
いつまで 耐えろと いうの か

「腐れ かかって 気違いに なりそう」

それでも からりと 晴れて
目にしみるような 青空に
白い雲が 沸き上がって くるのを
見た だけでも 
人々は 元気を 取り戻していた



 

吹き抜けて来る 風
もったいない ほどに 涼しい

もう しばらく 行動を 慎まねば 

ならば「いつまで?」と 聞いて みたい

そんな事 言っても 空しく 詮無いな
◇◆◇ ─────────────────────
西太平洋にある パラオ共和国

戦前 日本の委任統治下に あり
1万1千人の 日本人が 住んだ
4割は 沖縄県人

1944年
パラオ諸島 ペリリュー島の
日米両軍の戦闘で 
兵隊 民間人が 犠牲に なった

この島々 では
コロナ感染者ゼロを 保ち
封じ込めに 成功して いた

早い段階から
海外との往来を 制限し
水際対策を 徹底した

全住民対象の
ワクチン接種も 1月に 始まった

感染予防対策に 成功した
台湾とパラオ間で ツアーが 解禁

「経済か 感染防止か」を
てんびんに 掛けてきた 
日本を よそに
先手 先手の 取り組みで
マスクなしの 生活が 始まった

四半世紀に わたり
日本の統治下に あったパラオ
日本語由来の言葉が 多くある

「ダイジョーブ」
マスクなしでも「大丈夫」

そう言える 日本 フィリピン
いつ くるの だろう か ネ

 


◇◆◇ ─────────────────────