□□■─────────────────────■□□
           ダバオ通信  ヤン爺のラストライフ・ダバオ 
              Last Life Shift In Davao Philippines 
 
            フィリピン社会に戸惑う ダバオ隠居物語
                  「団塊 百年の孤独 老いの抗い」  
□□■─────────────────────■□□
ダバオに移住してみて どうです か
ライフスタイルの変化は 何です か?

「生活しづ らく あたた かい」
不便に もや もや させられ
地に慣れれば 街の不思議や
複雑さに つながる

自分で 自身を守れ 
日本人が アジアで
暮らす 困難さ 生きる 強さ

でも 後悔したことが ない

よく 同じ質問を 受ける
その度に 受け答えに 戸惑う
心境は 時の流れに 揺れている

舞台は 
フィリピン ミンダナオ島 ダバオ市

「自分が これまで 下して きた
   数々の 決断の中で
   『最も 正しかった』
   そう 言い 切れる 移住」

「リストラする側も つらい だって 
   そんな 言い訳は ズルい だろ!」

本当に つらいのは 
切り捨てられる 側だ

帰る ところも 失う
弱い立場にいる 高齢者の「現実」は
さりげなく そして 辛辣

日本で どれだけ
疑似生活に 慣らされて いた か
そこに 気付か される ほど 
ダバオの 静寂や 
僅かな 季節の 移ろい
ちゃんと 味わって いる



 

生活環境が 変わって
体の不調は 消えて いた

囲まれている 自然の 中で 
心身ともに 浄化 された

人生の ハンドルを 握る
能動的な 後半生を 生きる 移住地
心身の 豊かさに つながった

移住の 目的地を 決めるとき
動機は それぞれに ある

人生の先が はっきり 見えた
つるんと 取り繕われた 世間
調子外れの 男が
青く 広い空を 求めて
じたばた する

果たして 自分は 
ちゃんと 生きてるの か

移住しか 考えられ なく なった
思い悩む 経験を 持っている

追い込まれて いった
自分の心境に 近づいた 移住

移住 以外のことが 考え られない
この世の中で 自分だけ が
移住の ことで 深く 悩んでる
これしか ない 時間の長さ

 


◇◆◇ ──────────────────────
「他に もっと
   悪い奴は いるじゃ ないか」

小心者で ちょっと した 
異国への 浮気心だと 主張したい が 
許しては くれない

問題 なのは
ちっとも 幸せ じゃない 
家庭で あっても
それを 壊したくない 思い

移住しか 考えられない 
時が 静かに 通り過ぎていく

互いが
傷つくことを 前提に 進行する

「あなただけ ズルイわ」って

「オレだって 辛いんだ」
などと 言って みても

「私の 悲しみに 比べれば」
それが 出れば 黙る しかない

最初 バラバラで 起った 出来事
途中から 絶対不可欠の
説得力を 持って 結びついて いった

 


◇◆◇ ──────────────────────
そして 時代は
常に 新しい価値観を 生みだす
時代遅れと 時代錯誤の 価値観
うまく 共存 できる わけが ない

日本は 老人大国で 
やがて ゆるやかに 崩れていく
世代間の 価値観の 相違が
老人だけに 押し付け られる
長生き しても 喜ばれ ない 

たまった もん じゃない

そんな 社会が 嫌なら 
そこから 抜け出す しか ないだろ



 

ひとつの 人格の中に
狂気もあれば 弱さも 
家族に 対し 後悔の念が あった
僅かに 人間らしさ 詰まってる

人間の 複雑怪奇 
境界を 超える「逃げた」 感覚



 

移住者に とっての おいしい ことと
旅行者に とっての おいしい ことは
天と地ほどの 違い

自分の金で
自分の 暮らしが 成り立つなら
移住は どこの アジア でも・・

日本社会の綻びや 歪みを 乗り越え
前へ 進もうと する 移住

すべて 自分 ひとりの
意思で 自分を 変えていく

消費者と して 
モノを 買うこと が
企業支持の 表明
問題のある 企業から
モノを 買わない ことが 
すでに 一つの アクション

移住への動機も 似たり かな

そうした 意思表示と行動
行動すれば 年齢に 関係無く
自分が 輝く

自分に とって 
暮らしやすい 社会に入る 一歩
自分の 中の 静かな 革命



 

すばらしき ミンダナオ島
いい人も いるし
悪い人も いる
いいことも あるけど
悪いことも ある

この 時世下
自信を 取り戻す「機会の平等」
人生ゲームの ルールは 変わった 

自分が 誰かの ために
行動を 起こすための お金

自分の生活が できる上で
周囲に対し 何か できる ぐらいの
お金 持って いた かった

隠居した のだ
何かに 使えるぐらいの 金
持って いたかった が  無い

異文化に 触れたい とか
その土地の 生活の営みを 見たい
その事には 興味津々

ここで アパートや 一軒家を 借りる
保証人や 緊急連絡先など いらない

「住まうように ひとり 滞在する」
その フレーズが 生まれる 背景に
暮らしの モチベーションが あった
「自分を 喜ばせる方法」

野生的に 知って いた

不便でも ダバオは
捨てた もんでは 
ないん じゃ ない か
「ありの ままを 面白がる」
得意に している

この島 
誰かに 人生を いいものだ と
感じさせたり する

人生や よく生きるは
『悪くない な』と 思わせる 
南国の島

隠微な快感と ともに
ひそかに 充実して いる

幸せは 人間 一人に 対し ひとつ
それ以上 持ってる 者は
ズルイと いうことに なる

 


◇◆◇ ──────────────────────
恐ろしい 出来事
本能的に 感じると
そのことが あたかも 
今日に でも 起こるだろう と
不思議ない 想像を して しまう

ダバオは 安全なのか? 
時世下 あらゆる こと
危険に 囲まれている

ドキッ 頻発する
大きな 地震に 
家が 揺さぶられる
平屋が 大半で 
屋根はトタンで 軽い
家の壁は ブロックを 積み上げた 
非耐震 軟弱構造

屋根が 軽い ためか
庶民の家は 地震で 
ダメージを 受けない

金持ちの 二階屋 三階屋 
高層マンション では
亀裂被害を 被る 

自分の ショックを
少しでも 和らげる 
シミュレーション を し始める

病原体を 保持する
多くの 野生動物 が 
生息地から 追い立てられ
ウイルスや 細菌と ともに
都市に 逃げ込んで きた

都市という 過密社会が 拡大を 続け
高速の交通網が 張り巡ら された
病原体が 短時間で 広がっていく
好都合の環境を 人間が 整えた 

過去 100年間で
世界の都市人口は 
10倍以上に 膨れ上がり
人口密度は 12倍にも なった

過密社会は 
飛沫や 空気を 介して
感染を 広げる 
ウイルスに とって 絶好の培養器 

「科学技術の発展は
   病原体を 完全に 制御できる」

信じていた 人間の傲慢さ
完膚な までに うちのめ されて 1年

都市封鎖 時間の経過と ともに
楽観的な 雰囲気は 消えた

タヌキの坊やは
おなかに しもやけ

キリンのおばさんは 喉に湿布

象のおじさんは 鼻かぜ 用心

人間の 高齢者は コロナより
誤嚥性肺炎を 怖がる

そう なりゃぁ~「無心」
落ち着いて 静かな覚悟



 

近くの人が 突然 この世から
消えてしまう のでは ないか

希望を 体現して いた 
その ように 見えた 知人 
暗闇に 包まれて あの世に・・

くったくの ない 
笑顔と ユーモアで 
平和が 歩いていた ような 
人が 急死した 

若いとき には
見事な老人 と いう 
感じの人が いっぱい いた

おでん屋へ 行って
そういう 爺さんを 見ると
感服し 一瞬 そこから
なにかを 汲み取る

最近 おでん屋に 行っても
お客は だいたい が 
歳下に なっちゃった からな

世の中には あこがれの 老人
見事な老人と 形容したくなる 
そんな 人が いる
とうてい 辿り着けない 境地
そんな 老人 あまり 孤独では ない



 

有限で ある 命 
簡単に 死ぬことの 普通
今まで 以上に 頭で この体で
自分の ことも 含め
死を 察し 始めている


どんなに「自分は 元気」
思って いても
生と死は 表裏一体

今日も おぎゃー と 
新しい命が 生まれる

この世に 生を 受けた 瞬間から
死に 近づきながら 生きていく

赤ちゃんには 手が かかる
誕生した 大事な命を
家族で 力をあわせて 育てる

奇跡のような 大事な 命
育てるのも 大変なの だから
死ぬとき だって 大変で 当たり前

でも「死へ向かう」って ことが
もっと 温かいものに なる ように
そうやって 覚悟みたいな ものを
きちんと もてる 世のなかが いい

生まれた時から 死に向かい 
ゆるやかに 流れる 時間

あなたの 腕の
ロレックス ウォッチ
自分の 腕の カシオ
時の刻みは 平等に 変わらない
同じ 時を すすめて いる



 

毎朝 寝て起きて 1日の始まりに 思う
また 新しい1日が 待っていて くれた

今 あるもので
今日を 幸せに なろう
愛する 人たちと 病気なし

世界に 永続するものは ない
すべてが 変わる
すべてが 消え去る 

今 あるもので 楽しむ
自分の 人生に なる もの
全ては 借りもの...

これから どこに 向かって 生き
何に 希望を 見いだして いきたい?
明るい想像 こそ 誰にも 問われる

始まる 今日への 一瞬 一歩

 


◇◆◇ ──────────────────────
時代の案内人が 逝った
「昭和」の 歴史探偵を 名乗った
半藤 一利さん

なぜ 日本は 無謀な
太平洋戦争に 突入した か
どう 経済復興を 成し遂げた か
その 起承転結を 平易な文章で
大衆に 伝えた

軍人の 多くを 切って捨てた
組織を 守るために しか 動かず
組織の 論理のみに 従い
新しい 発想を 生まない

よって 
問題が 発生しても 後手に回る

バブル崩壊後の 
失われた10年を 招いた
官僚や政治家にも ダブらせた

半藤さんが 著したの が
「ノモンハンの夏」
あとがきに ある

ときに 怒りが 
鉛筆のさきに こもるのを
如何とも しがた かった

作家の 半藤一利さん(90)
1月12日 都内の自宅で 亡くなった

軽妙洒脱で 視野の広い
半藤さんの人柄 語り口
知を愉しみ 人生を 味わった
人間観 歴史眼を 
豊かにして くれた おじさん

死因は 老衰
数日前から 歩行困難に なった が
死の直前まで 妻の末利子さんと
30分 お喋りを していた

その後 部屋で倒れているのを 発見され
かかりつけ医が 駆け付けて 死亡確認

見事な 平穏死
ブッダのように 半藤さんは 死んだ
痛くない 死に方 

生きるは 束の間
死ぬは しばしの いとま なり

死を想う われらも 終には 仏なり

何よりも 奥様が 救急車では なく
かかりつけ医を 呼んだことが
賢明な 判断

救急車を 呼べば 救急隊員は
「心肺停止なら 蘇生が 義務」
管だらけに なり
意識の戻らぬ まま
延命治療に 至った かも しれない

半藤さんの死因は「老衰」

死亡診断書に「老衰」とは
病名では ないから
書いては いけない
他の病名を 書け と

一昔前 まで 
医師は そう 教育されて きた

それが 今や「老衰」は 
死因 第3位の 立派な病名

老衰死が
理想の死と 言われるの は
本人も 周囲の人も
命を 使い切った 生き切った
そう 思える から だろう

死を 受け入れ やすい



 

フィリピンにも 
葬祭互助会なる 会社が ある
ダバオでは セントペーター社 
6万円を 積み立てて おけば
葬儀の 一切合切を 取り仕切る 

なるように しか ならない
諦観が どこか 自分には ある

まあ 明日 死んでも
仕方ないか と 思ったり してる

家の大黒柱に 体を 縛り つけて
いやだ いやだと 言って みても
その時が 来れば 連れて ゆかれる

家族に 囲まれ
「おじいちゃん おじいちゃん」
とりすがる 孫に・・

死を 前にした 本人が

「ウルサイ! 静かに 死なせろ」

『一切 なりゆき』
死ぬる時節には 死ぬが よく候
良寛さんの 言葉に 落ち着く

半藤さん・・ 
死の間際 何を 思った ことでしょう
遺作は この程 発刊 発売された
この世に 未練は なかった 

自分 もう いつ 逝っても いいや
為すべきことは 為してきた

オウギョウな ことを 言う もんだ
やることは やった だと
何を やって きたんだ

バカをやった 家庭をもった
子供を育てた 仕事もやった・・
移住の 冒険も した

それは しかし
動物は 皆 やって いる事 だぜ

ちっとも 人間らしく ない
あんた 本能の ままに
この世で 息を してた 
ただ それだけじゃ ないの か

えらく コケにして 
くれる じゃ ないか

ほんとは な・・

最期は 封印解除で 飲みまくり
急性アルコール中毒で 逝く
と いうのは どうか・・と

ナニ おまえ 本物の バカだな

でも 死体が 
アルコールで 腐りにく くて
いいんじゃ ないか 現実的 だ

そうかな 死に損ない が

死ね なくて どじって 
緊急措置入院
精神科 急性期閉鎖病棟に
再び ぶち込まれる ぞ!

ナースや カウンセラーから
「あら 出戻り」久しぶり なんて
白い眼で 観られ たり してな

太宰 曰くだ
「悪い予感は よく当たる ぜ」

 


◇◆◇ ──────────────────────
「せきを・しても・ひとり」

自由律俳句で 知られる
尾崎 放哉(ほうさい)

「よき人の 机によりて 昼ねかな」

東京帝大を出て 
日本通信社を 一ヶ月で
酒が 原因で 退職
妻とも 別れ 
放浪の人生を 送る

最後に たどり 着いた
小豆島で 肺の病を 悪化させ
41年の生涯を 終えた

酒を 道づれに
死に 向かって いく さまが 冷徹

彼の晩年を 物心両面で 支えたのは
俳句の才能を 大切に思う 人たち

放哉は 彼らと 酒席を ともに すると
ねち ねちと からんだ あとに 罵倒
句作を する人で あれば
酷評して さげすみの 言葉を 
投げ つけた

そうやって 人間関係も 崩れ
極貧の中 孤独は いよいよ 深まった

米屋の店頭で
食物を 買うべき 金で 
ビールを 頼んで しまう

冷えたビールの 刺激を
咽喉に感じた 放哉
ふいに 嗚咽しそうに なり
酒だけは 自分を 見捨ては しない

酒好きなら 思い当たる

島に 来た頃 
放哉は 病気が 悪化したら
思う存分 酒を 飲んで
海に 身を投じれば よい 
そう 思って いた

「墓のうらに廻る」

死期が 近づくと 
体が 酒を 受け入れず
海まで行く 体力も 
なくなって いた

「渚白い足出し」

そして 長く 苦しんだ 挙句
やせ細って 息絶えた

ダメ男 放哉に 
いつか 感情移入して いた

自分も アル中 なのだ

酒を好み 生きてきた
酒を吞み 酔うと 
自分が どんな境遇に あっても
ほかの人に サービスして しまう 

吉幾三の「酒よ」は
李白に 劣らぬ 見事な 漢詩

 


■□■□■────────────────────
人間は 自分が いずれ 死ぬ
その事を 知っている

動物は そんなこと 知らない
毎日 生きていて
そのうち 食べられたり
病気に なったりして 死ぬ

死に かけている 最中も
なにが 起きて いるか
わかって いない だろう

人間は 
自分が 死ぬと 知って いる
知っちゃっ てる 残酷

死ねば どうなる と
その事も 知っている

そうなの か?

死ねば どうなる
確実な 方法は 
死んだ 人に 聞いてみる

死んで どうなりました か? 

死んだ ひとは 意識が なくなり
聞いても 答えて くれない

答えて くれた なら
まだ 死んで いない

死ねば どうなるのか
自分が 死んで みて 

初めて わかる

死は 可能で 必然で 不可知
逃れようのない 絶対の事実

かならず 死ぬ 
今 生きていることを 尊ぶ

長生きを 願う者
生き過ぎたと 思う者



 

人間は
身体(からだ)
精神(こころ)
霊性(いのち)
三つの要素から 成り立つ

生まれる前から 存在し
からだが 崩壊した のちも
存在する もの 
それが いのちである 霊性

霊性は 躰 絶えても 
なく なら ない

自分の 身の回りの 世界
自然界 地球全体 虚空に まで
「霊性」は 広がって いる

共通の「霊性」が 見える
そう 言った あなた 
自分より 15歳 年上だった

15年 たてば 
自分にも 共通の「霊性」
それが 見えるの か 

30年が 過ぎた 今も 
共通の「霊性」
いまだ 見えない
あせらず 待って いる

生きている あいだに しか
できない ことが ある

死を 見つめる ことで
自分の生き方を 見つめ 直せる

「いまだ 生を 知らず
   いずくんぞ 死を 知らず」

生き方で さえ 
まったく わからない のに
死に方など わかるはずも ない

死んで しまえば それっきり
天国も地獄も なく
魂を あの世に 持ち越さない

この考えは 坂口安吾の言葉に 似る
「人間は 生きることが 全部だ
   死ねば すべてが なくなる」



 

死は 人間に とって
ごく 身近な もの だった

誰もが いずれ 死んで しまう
昔の人ほど その事実を
普通に 受け入れて いた

現代医療の 進歩で
死を 先延ばしに するだけの
『技術』が 飛躍的に 発展

『人間たちは 死を 克服した』と
錯覚 させられて いった

死への 考え方は
絶えず 揺れ 動いて いる

戦後の 経済発展の ただ なか
青春を過ごした 団塊世代
死後の世界に 思いを 馳せる だと
そんな ことは ナンセンス
今を より良く 生きることだ
他の世代よりも 強く抱いて きた

阪神淡路大震災や 
東日本大震災 
いま 起きている コロナ

絶えることの ない
災害や 疫病を 通して
人間は 簡単に 死ぬの だと・・

『時代屋の女房』
映画公開から 2年後の1985年
夏目雅子さん
白血病により 亡くなる
27歳の 若さ だった

歩道橋の上という 何の 変哲もない
風景なのに 笑顔を 浮かべて 歩く
夏目雅子さんの 姿が
目に焼き付いて いる

渡瀬恒彦さんも
津川雅彦さんも
近年 亡くなられた

舞台と なり 
実在した「時代屋」も
移転したため 今は ない

人も 風景も 少しずつ
この世から 消えていく
ただ スクリーンに 残るのみ



 

もの すごく 大きな 広がりの
時間・空間の中で 生きている

生きて いるのは
この 瞬間  
この 刹那 

大切な 人は
目の前に 存在する 人

人と いう のは
きのう 存在したわけでは なく
あした 存在するわけでも なく
今 目の前に 存在している

 


■□■□■────────────────────
「はよ 死に たいわ……」

「まあ その日は 今日じゃ なくても
   いいと 思う けど……」

「はよ 死に たい……
   そう 思うん ですね」

「そう なんです」と 返される

「あっちに 行かれたら
   どなたかが 迎えに
   来られるの ですか?」

と 問いかける

「いやー 誰も 来ないわ」

「お母さんは? 来ないの?」

「お母さん なあ……
   来ない なあ……
   あ! でも 別れた旦那の お母さん
   あの人は 来てくれると 思う
   すごく 優しい人 でした」

「死後の世界は ある」と いう より
「死後の世界は ある」と 知っている
その レベルで 信じて いる



 

こんな 話を 聞いた

京都では お盆の 終わりに
大文字の 送り火が ある

お盆の精霊を 送る 
宗教行事「京都五山送り火」

ある年の「五山の送り火」の 日

かねて から この病院の
ICUの 看護師たちが 噂するので
五山の 送り火の夜 研修医たちは
「ならば たしかめ ましょう」と

ICUに 居残って
自動ドアを 見ながら
みんなで 世間話を していた

その日は たまたま
患者さんたちの 容体が
落ち着いて いたので
夕飯は 出前を とり
スタッフ みんなで
夏の夜の 落ち着いた
ひと時を 過ごそうと していた

すると ICU入口の
インターホンが 鳴った

「お!出前が 来た!
   財布を 取りに 行ってくるね」

看護師は 駆け出した

看護師の 金切り声が 上がった

「ナニ ナニ?」と
みんなが ICUの 入り口に 行った
インターホンに 応対した 看護師が
真っ青に なって 立って いた

「どう したの?」

看護師
「‥‥ 誰も いないんです
   インターホン 鳴ったのに
   誰も いない」

一同 沈黙
ICUの チャイムを
ピンポンダッシュする なんて
もの好きな人は いません
誰が 鳴らした ものやら

みんなで「怖いなあ……」と
ぼそ ぼそ 言いながら

「でも さ たぶん
   昨日 亡くなられた
   〇〇さんじゃ ない?
   すごく 礼儀正しい方だった から」

「そうやね きっと 〇〇さんやね
   そう思ったら なんか 怖くない」

この話を
「夏の夜の怪談」と
とらえる方も いるでしょう

ただ「死後の世界」が ある
すると 怪談は 
ほのぼの した 理解に 変わる

死後の世界は ある

「本当に?」と いぶかしる方



 

では あなたが「信じて いること」
すべて 証明されて いる ことは
なんで しょう か

あなたは
「地球が 丸い」と いう こと
どのように 信じて いる

「宇宙からの 写真で 見た」
「水平線を 飛行機から 見た」
そういう 方も いる

「さまざまな 自然現象は
   地球が 丸いと しなく ては
   辻褄が 合いません」
という 方も いる

歴史や 科学
ご自身が 得た知識から
「地球は 丸い」と 信じて いる

「死後の世界」の ありよう も
同じような もの

実際に 見たことが ある
そういう人は いますが 少数

でも「死後の世界」が
あると 考え なければ
説明できない ことは 多い

「死後の世界」が あると 考えると
辻褄が 合うことが たくさん ある

「死後の世界」が 
ないと するなら
死に よって 
その方に とっての 時間は 止まり
死の あとの世界は「無」に なる

「死後の世界」が あると 
考えるならば

死によって 
肉体の苦痛は 終了した あと
魂は 肉体を 離れて 自由に なり
時間は 死後も 流れ
先に 旅立たれた
有縁の方との 再会も ありうる

「死後の世界」を 信じると
「無」に なる 恐怖から 解放される

「死んだって また あちらで 
   お会い しましょう」

そう お別れ すると 
自分の心が 軽くなる

 


■□■□■────────────────────
文明の進歩と 共に
人間本来の能力が 磨滅

医学が 進歩するに つれて
科学が 人体の謎を 解き明かす

 

本来人間に 備わっていた
自然治癒力が 失われて いた

自然治癒力 
今もって 残っている人 と
消えた人が いる

科学が すべて だと 
思い 決める のは 無智傲慢

こんなに 苦しむなら
死んだ方が マシ 殺してくれ
死ねば 苦しみも なくなる

人間は 死ねば 
肉体も精神も 存在しなく なる

それ以外の 考え方や 信仰は
根拠のない 気休め?



 

昔から 芝居の幽霊は
「うらめしやー」
生前の 怨みの 意識 霊魂が
死んでも まだ 残っている

怨み・憎しみ・執着・口惜しさ
心残り・後悔・恋慕などの
強い情念を 持ったまま 死ぬと
行くところへ 行けないで 
さまよって しまう

霊界の上層に 行けず
現世に 留まり 苦しみ つづける
漫然と そういう ことを
みんなが 知っている

死後は 無になる
信じていた 人 が
交通事故で 即死した

彼の肉体は 死んだ
同時に 魂は 肉体から 離れて
存在 しつづけた

人が 歩いたり 見知った街
車が 走ったり するの が
彼の 魂には 見えている 
だから 自分が 死んだ とは 
彼は 思って いな かった

現界の 人には
彼の魂は 見えて ない から
誰も 彼を 相手に しない

わけが わからぬ ままに
彼は さまよい 苦しみ
自分が 死んだ場所に 
居つづける

寂しさ 苦しさの あまり 
仲間を 求め 
誰かを 引き寄せ 事故死 させる

「この 前も
   ここで 死んだ人が いるんだよ
   あそこは カーブの 見通し が
   悪いから ねえ」

人々は 言い 合って
「危険 注意」立て札を 立てる
だが 立札より も

その地縛霊に 向って
あなたは もう 死んだん ですよ
死後は 無では ないん だよ

魂が 此処に 居ては いけない
行くべき所へ 早く 行きなさい
そう 教えて あげる

自殺を する人が いる
生きることの 辛さ 苦しさに 疲れ
死んで 何も かも なくなれば 
楽になれる

無の世界へ 行きたいと 思って
彼女は 自死を 選んだ

しかし 死んでも 
辛さ 苦しみ
何も かも なくなる と いう
わけには いか ない

彼女が 引きずっていた 情念
死んでも 魂が 浄化されない 
苦しみは なくなら ない
彼女は 苦しくて たまらない

苦しみが 無くならない
もう一度 死に直そう
そこへ 霊媒体質の人が やって 来る
その人に 憑依して 電車に 飛び込ませる
もう一度 一緒に 死ぬつもり なのだ

自殺者の霊は 二人に なって 
次の犠牲者を 引っぱる
それが 増えて 地縛霊団と なり
「魔の踏切」「魔の淵」など と
いわれるように なって いく



 

科学万能の現代に 
生きている うち
我々は 死後は 無だと 手軽に 考え
神の存在を 無視するように なった

現代人が 信じるのは 科学
それを 産み出す 
人間の頭脳と 力だけ

人の死後という 問題
エンターテインメント化 されるか
黙殺されるかの どちら か

フィリピンでは 
親族が 亡くなった 後
死者と会話する 時間
たっぷり ある



 

今 日本人が 
神を 思い出す 時は
入学や 出産を 心配する 時だけ

神社仏閣への参拝は 必ずしも
信仰心から では なく
観光を 兼ねるように なった

初詣は 空いている時に 行く
混んで なければ 
願いを 聞いて もらえ
神様に 顔を 覚えて もらえる



 

ゆきさん 
ご主人を 亡くしてから もう 十数年
少々 ぼけても 
料理の腕は おとろえ ない
一人暮らし すでに 身寄りは ない

今でも 主人との
「二人分」の 食事を 作り 続ける



 

「死後」を 見据えて
霊魂の存在を 考えずに いられ ない 

その 時から 
傲慢に 恐れを 知らず
生きては いけない と 心掛ける 

「世の中で 経験できることは 正しい」
「自然科学は 正しい」

霊や 来世や 死後の世界は 認めません

霊の存在や 霊視を 認めたら
霊感商法・霊視商法の 類いで
人々から 金品を 騙し取っている
輩たちに とっては 思うツボだろ

 


◇◆◇ ──────────────────────
「この 自分」の 死は
ただ 一回の 個別的な 出来事

人間は 
自分が 死ぬと 知って
生きている 
それが 人間なら 過酷

どう 死ぬかは 
どう 生きるかと
結び ついて いる

人間は
死期を 悟ったからと いって
いきなり 善人には なれ ない

自分が どう 生きて
どんな 後ろ姿を 見せるか
それが あとに 残った人への
贈り物

「自分の幸せ」を 考え 続け
それに 向けて 歩んでいく

つい 忘れちゃうことも ある

健康な うちに
「最期のとき」の 話は
なか なか しづらい

「縁起でも ない」と 感じて
最期の話を しない人は 多い

突然 自分が
コミュニケーションを
取れなくなる ことが ありうる

元気な うちに
最期の時期の話は しておく

「自分は こうして欲しい」とか
「こういう ふうに 思っている」

『エンド・オブ・ライフ』
向き合う

自身の 人生を
生き抜いて いけた なら
『HAPPY END』

 

誰でも 死ぬのは 一度だけ
ぶっつけ 本番

死んだら どうなるか
考え方は いくつも ある

どれか ひとつに 決める

死ねば 自分は 
完全に なくなる
それも ひとつの 態度



 

ビッグバンが あって 宇宙が でき 
超新星が 爆発して 地球が できた

生物が できて
人間が できて
「この自分」が いる



 

数え きれない 年月 
偶然の 積み重なり
「この自分」が 
存在するのは 偶然
合理的に 説明など できない

自分の存在は 偶然 つまり謎
合理的に 考えても
惑星の 中心には ぽっかり
偶然の穴が 空いている



 

世界を 
常識と科学で 考えていく
自分の 合理的な 態度は 
1ミリも 変わりません

世界が 無意味な 偶然では なく
意味のある秩序に 変わって いた

 


◇◆◇ ──────────────────────
人間は 死んだら
霊魂に なるわけでも なく
死者の世界も ありません

これは 仏教の説明

浄土経典は 釈迦仏の ほかに
西方に 阿弥陀仏という
ブッダが いる と 説く

阿弥陀仏の いる
極楽浄土に 往生すれば
仏に なれると 言う

死んだら 輪廻して
また この世界に
生まれる のでは なく

「死んだら 往生して 
   極楽に 生まれる」

修行しなく ても
往生して 仏に なれる のは
魅力的

平安時代には 
おお流行り に なって
貴族は 往生を 願った

やがて
庶民にも 広まり 念仏宗に なった

誰でも 坐禅が でき
誰でも 仏に なれる
仏なら 生き死にを
超越しているの だから
死んだら どうなる か 
気に しなくて よい

「死んだら どう なるか 気に しない」
禅宗の 考え方

 


◇◆◇ ──────────────────────
たった 一枚の 着物への 執着から
成仏 出来なかった 女性の 
霊の話などを 聞くと
ぼんやり 生きて いられない

執着や 欲望
心残りや 憎しみを
死後まで 引きずら ない

昔の 老人は
「いつまでも 元気に 楽しく 
   美しい老後」
そんな こと 考え なかった

老いると すべての 人が
自然に衰え 枯れた

髪染めも 皺取りクリームも
入歯も 白内障の手術も
栄養剤も なかった から

年を とると 自然に 歯ヌケの 
シワクチャ婆さん 爺さんに なった

肉体が 衰えると 情念も 枯れ易い
因業婆ァと いわれた 婆さん でも
死が 近づいて くると
「かわいい お婆さん」に なった

情念が 枯れて
自然に 死を 受け 容れる
死んで 魂は 真っすぐに
行くべき ところに 行った

煩悩が あるから
若々しく いられる のだ
欲望を 失っては ダメ
この頃は そんな事
言ったり する

いつ までも
若々しく いようと すれば
それを 可能にする 手だては
いくらも ある

現代人が 考えるのは
「死後」の 平安では なく
「死ぬ時」の 平穏を 希求する

人に 迷惑を かけず
苦しまず 死にたい と
みなが 考えている

「死に際」では なく
「死後」が 大事 だろう

肉体が ある限り
この世の 不如意や 不満・不幸は
自分の努力で 克服すること が 
出来る

人の教えに 頼ったり
助けを 得たりも 出来る

肉体が なくなった あの世では
考えることも 意志を ふるうことも
出来ません

自分の 引きずって いる ものを
自分では どうすることも 出来ず
永久に 引きずり つづけて
いか なければ ならない ……

それで は
「たまった もんじゃ ない」

天空に いらっしゃる
どなた かに
「ちょっと!真面目に やんなさい!」
叱られた ような 気が して
いったんは 悔い 改めました が

根が テンシンランマン(株)の 取締役
なか なか 叱られた くらいじゃ
改心しないのは 黙って おく

さも 見てきた如くの 話を したが
死人に 口無し
直接 死んだ人に 聞いた 訳でも ない

この世に いる間に せめて
怨み つらみや 執着や 欲望を
浄化して おかな ければ ・・ 
なら セーフでしょう か

 


■□■□■────────────────────
いずれは 老いと 病を得て
死に至るの だが

その全ての 過程に おいて
入院と 無縁で ありたい
強く 願って いる

自分の生命と
生活の「締めくくり」を
最後の 最後に なって
現代社会の システムに
丸投げする ことへの
強い違和感を 抱く

ボーッと してたら
システムに 取り込まれる ゆえ

システムと 距離を 保つため
可能な限りの 
ストイックな 生活を 堅持

一人暮らし でも できるだけ
迷惑を かけること なく
「在宅死・平穏死」を 果たす

力が 残って いれば
死役所 極楽往生課 まで 
なんとか 歩き 辿り着く
カウンターの 前で 行き 倒れ

孤軍奮闘
努力の 甲斐 あって
そのような ことも 
十分 可能では ないか

それほど 突飛な 考えでも ない
世の 少な からぬ人 が
「できるなら 最期は 自宅」か
死役所前と 望んで いる

『あなたは 食べたもので 出来ている』

『しあわせな ダバオ食堂』

うまい料理は 人を 幸せに 生かす

食堂を 経営する
フィリピン人 女性 
ジェシーと 出会った

どこかに 恋を求める
自分が いない わけでは ないが

十年前の離婚以来
ジェシー 男には 少し懲りた
と いう ところ

国籍や 文化の違いで 
ぶつかり ながら
お互いを 家族のように
思いやる気持ちが 芽生える

自分は『過去のない日本人』
混血 ジェシーに 
簡単な 日本料理と
町中華のメニューを 教えた

 

『希望のかなた』ダバオ食堂



 

お互いの 食文化を 尊重
全く 異なった 世界を
受け入れ 授けよう と 協力

女主人 ジェシーシが 営む
ダバオ郊外の 小さな食堂
メニューは いつも 同じ

ソーセージと目玉焼き
チキンの醤油煮 魚の唐揚げ
豚と野菜煮 ひき肉の鉄板焼き



 

お酒の前に まず ご飯
お通しの前に まず 料理

訪れる客も
「とりあえず お腹が 空いてる から
   用意された ものを 食べる」

食に 味に 
こだわりの ない 客ばかり 
自分は 一口食べた だけで
残して しまう

日本料理には 季節が 
街中華は 身近な 食材を
独自に 味付け 素早く調理 
安く 提供できる 工夫が ある

フィリピン料理 には
長い歴史など ありません
串焼きBBQは ヤキトリ
戦前 在留日本人が 教えたもの か

フィリピン人の 食事は 
ただ 空腹を 満たす もの
食事を 楽しんでいる姿
見た事が ない

スマホ片手の 食事では
どうにも ならない

フィリピン料理は
日本料理 中華料理と違い 
腐らせず 日持ちさせる
南国の 知恵が 基礎



 

健康的な 食べ物 が
ない わけでは ない
ですが 多くの人 が
不健康な 食事を している

フィリピン人
食に関して 保守的

ダバオ食堂に 通う
おじさん たちは
初めこそ 
中華料理を 毛嫌い した

健康を 気遣わない 
食生活が たたって
不調に 悩まされる うち

次第 医食同源の
中華料理の 旨さに 目覚めた




ダバオに とても 良い
老舗の 中華レストラン
「アハット」が 営業して いる

うまい! 
盛りも良い 丁寧な給仕
大規模 街中華の 趣が 嬉しい

食事を 楽しむ ことが
心を 癒すことは もちろん
健康を 気遣うことの
大切さも 教えてくれる

ジェシーの料理
テーブル いっぱいに 広がる
食べる 幸せを 堪能する

店での 餃子作り

手作り餃子は 美味しい
けれど タネの量が
均等に ならな かったり
いびつな 形に なったり
時間が かかって しまう

タネを 均等に 絞りだす
キッチンに ある
固めの ビニーリ袋を 
工夫し 使って みた

ケーキクリームの
絞り袋の イメージ

ビニール袋に
餃子のタネを 詰め
並べた 皮の上に 絞り出す
手を 汚さず 
均等に タネを 
素早く 仕込めた

手作業では 
量が いびつに 
なって しまいがちな タネ
絞り袋を 使えば 
綺麗に 均等に 仕込める

調理台に 皮を並べ 広げる
タネを 絞り出す 一気に包む!

餃子150個
うまく 素早く できた!

だしぬけの 絞り袋
タネを 詰めて 
冷蔵庫に 入れて 保存
餃子を 作る ときに
取り出し 絞り出す 包む

ジェシーも
この アイデアには 興味津々!
作る過程を 見て
途中から 楽しそうに 参戦

餃子は 店の 必須メニユー
これは 日本料理 なの だな・・
◇◆◇ ──────────────────────