□□■─────────────────────■□□
ダバオ通信 ヤン爺のラストライフ・ダバオ
Last Life Shift In Davao Philippines
フィリピン社会に戸惑う ダバオ隠居物語
「団塊 百年の孤独 老いの抗い」
□□■─────────────────────■□□
めがさめる
どこもいたくない
かゆいところもない
からだはしずかだ
だがこころは
うごく
今日は ボーッと したい
心の声が 聞こえた
──ボーッと 過ごすには 勇気が ?
ボーッと 過ごす 贅沢
楽しかった思い出が ある
懐かしむは 明日を生きる 脇役
後ろ向き なんか じゃ ない
ボーッと しながら 想い出す
映画『未知との遭遇』1978年
宇宙船の光が 降りてくる ところ
きれいな光が 降りてくる
意味 なく 涙が 滲んだ
──楽しみにも 終わりが ある
「何に でも 終わりが ある」
人生の終わり いいじゃ ないか
歳を重ねる と いう ことは
若い時分の エネルギー同様 神聖
心の声 寂しさたちと 言葉を 交わす
深く 向き合う そうした 先で
開かれている 饗宴 人生は祭り
人間讃歌
若さや老い 生や死
同じ場所に 入れておく
死を 含めて「生きる」
この世に 生きている こと
何か 意味が あるのだろう
──「終わり方」だって
日本の医療費は 高騰している
暖かい 地で 免疫力は 保たれる
南国に いない人は
面白い事が 無くても 無理しても
いつも 笑って いれば いい
免疫力が 高まる
これも 世のため 人のため
──誰かの ために 生きる と
自分以外の 人の役に 立つことで
人間は 満足感を 得られる 生き物
ーー自分には
人の役に 立てること なんか ない
健康で さえ いれば
医療費も 税金も 使う事 無く
その分を 若い人に 回せる
世のため 人のため
それだけで 役に立っている
家に いて
じぶんの においしか しない
世間ばかりを 見ずに
自分の内を 見ている
掲げられて いるのは 人間讃歌
自分の 愉しみを 見つけ
これが 自分だ 輪郭を 明確にし
「これで いいのだ」 と 自得
つねに
<自分に 戻っている>
威風堂々 とまでは いか ない が
ごく ふつうの 顔を して
自由に「ひとり」を 生きる
「ひとり」は 人間の基本
「人」と いう字は
人と 人が 支えあっている 形
なん だよね
そんな もの どうでも いい
見方を 変えれば
ベタベタ もたれ あっている 形に
すぎないの だから
『ひとりぼっち』
さびし すぎます か・・
お金は あって 邪魔に ならない
生意気な 口調で
金欲しさの 欲望の疚(やま)しさを
軽減して きたが
ありすぎると あきらかに 邪魔に なる
そう 思うの だが
持ったこと ないから わからない
なさすぎると 心が 荒みがちに なる
これは 今も 経験していて わかる
世の中は いつも 月夜と米の飯
それに つけても 金の欲しさよ
金の あるものは 驕り
ないものは 卑屈に なる
卑屈に なると いうよりも
心が 逼迫する
「貧すれば 鈍する」と いう
「貧乏を すれば 心まで貧しくなる」
それは かなりの真実
逆に
「ふところが 暖かい」
慣用句が いい 表すのは 心の余裕
「金持 喧嘩せず」が 成り立つ
ひとりで 生きていく か
どうかに かかわらず
お金は 最低限 必要
どれくらいが 最低限 なの か
人 それぞれ 異なる
お金の増やし方など 知らない
人は しても 自分は しない
人が しなくても 自分は する
自分だけに ならざるを 得ない
堅苦しく 窮屈な 生き方だと
そうかも しれない と 認めながら
心が 自由な生き方で ある と
主張している
無理している わけでは ないから
心に 一切の負債が ない
「覚悟」という言葉は 硬い
武張(ぶば)り すぎだ
自分は こういうふうに 生きていく
それで 死んで いっても
なんの 文句も ない
そう 考える ぐらいで 丁度 いい
頭の なかだけの 覚悟は
現実の 硬さを 知らない
「生覚悟」に すぎない
覚悟は 揺れる
人間関係の こじれの 多くは
ひとりで 立つことが できない人が
引き起こす
ストーカーも 放火 近親殺人も そう
人を 支配することに よって
自分を 支える者
腰巾着 みたいに
上に従うことで 自分を 支える者
ひとりの人に
病的に 執着する ことで
自分を 支える者
「人に依存する者」すべてが そう
「わたしは ひとりで いいや
それで いくよ」
決めて しまえば
他人を 自分の つっかえ棒に
しなくて すむ
東日本大地震の際
陸前高田市の 一本の松が
津波にも 負けることなく 残った
人は そこに
不屈と 健気さと 孤高を 見て
「奇跡の一本松」と 称賛した
枯れ死と わかって からも
募金で集めた 多額の資金を つぎ込み
無理やり 強化して 保存した
人間の場合 どう だろう?
「多くの人は 一本松の ように
生きよう とは しない」
それ どころか
ひとりで 生きていこうと する 人の
足を 引っぱる
「ひとりぼっち」で いる ことを
気にしている 人には 辛くなる
ひっきり なしに
感染者数とか 死者の数
「死」を おそろしく
無駄に 書きたてて いて どうする
脅かされる 死と
いま 自分が 生きようと して
生きている ことには
おおきな 隔たりが ある

◇◆◇ ──────────────────────
初めて フィリピンを
訪れたのは 二十年前
もう 働きたく ないな
現役も 最期の頃
商用で ラグナを 訪ねた
季節は ホットサマー 夏の真っ盛り
陽光の まぶしい時季
ホテルの オープンカフェ
朝食を とりながら
聞こえてくる 鳥の声
鳥たちが とても のびやかに
喜んで 澄んだ声を 上げて いた
それまで にも 外国に 旅した
フィリピンには
それまで 感じていた 国の街とは
種類の異なる 空気が 流れていた
喜んで 生きて いるのは
鳥だけ では なかった
フィリピン人も また
表情が 豊かで 生き 生き
喜びながら 暮らして いた
商用も 終わりかけの 夕暮れ時
カフェで 一休みした
そこは 坂の下の方に 店を構えており
窓からは 道の往来の様子が 見渡せる
ビールを 飲みながら
ぼんやり 外の道を 見ていた
ひとりの女性が 坂道を 下りてきた
その表情が なんとも言えず 素敵だった
ただ 若さで 歩いている だけ なのに
その ことに 喜びを 感じている 笑顔
女性の 笑顔を 見た 瞬間
フィリピンが 好きに なった
恋に 落ちて しまった
この街で なら 自分らしく
力を抜いて 生きて いける
数年の後
安アパートを 借り
一年を 通して 住むように なった
移住して みようでは ない か
覚悟が 決まった
暗くて寒い 孤独で 長い冬が あるから
太陽に感謝する気持ちが 芽生える 日本
これが 同じ 太陽か?
一瞬の光でも 狂喜乱舞する 南国の太陽
フィリピン いい風に 吹かれて いた
自由が あった 自由と いうのは
空気の ように
当たり前に あるものでは なく
人々が 日々努力し 守って いないと
簡単に 掌から 離れてしまう
いろんな背景を 持った人でも
生きていける 社会 フィリピン
自由を求めて 人が 集まってくる
生きる 喜びに 満ち
笑顔だけを 浮かべ 暮らせる
だったら 万々歳 だけど
もし そうならなく ても
人間には 闇を 光に
束縛を 自由に 変える力が ある
フィリピンに 生きる 隣人が
そのことを 自分に 教えている
あなたの やすらぎは
わたしの やすらぎ
あなたの くうふくは
わたしの くうふく
あなたの かなしみは
わたしの かなしみ
からだと からだを
くっつけると
たましい と たましいが
よろこんで わらう
わたしと あなた
せかいに うつくしい 音色を
ひびかせる
あなたに 見つめられる と
わたしは とても つよく なれる
あなたの ねがおを 見ていると
わたしの 不安は きえてしまう
いつ だって
あなたの そばに いたい

◇◆◇ ──────────────────────
「Towa」って あなたの 名前
トワ って 日本語で 永遠
終わりが ない 意味
漢字で 書くと・・
そう言って あなたは
わたしの 左の 手のひらを 広げ
中央に 複雑な線を 書き記した
「くすぐったーい」
わたしは 体を よじらせた
もう 一度
「永」「遠」と いう字を
ゆっくり あなたは なぞった
わたしの 左の 手のひらは
いつだって 小さな ノート
わたしの 母親は 『Ai』って 名前
〈とわ・あい〉だって!
魔法の糸で あなたと 母親が
わかち がたく 結びつく
「あい?」
「そうよ あい」
「日本語では どう 書くの?」
わたしが たずねると あなたは
今度は わたしの 右の 手のひらに
ひらがな と言う 文字で
「あ」と「い」ゆっくり なぞった
「あ」は 複雑で 難しかった
「い」は すぐに 覚えられた
わたしは
しばらく 頭の中で かみ砕いてから
「あ」と「い」を 続けて
あなたの 手のひらに 書いて みせた
よく 書けた
あなたは わたしを ほめてくれた
ひとつの どうして? が 解決すると
すぐに 次のどうして? が 発生する
「あい って なに?」
しばらく 考え込んで から
あなたは ぽつりと 言った
愛って いうのは ・・
人に 対して 報い られなくても
つくしたい 思い
自分の 手もとに おきたいと 思ったり
温かい感情 慈しむ心 大切に思う心
それは「尊い こと?」
わたしからの 問いかけに
あなたは 答えな かった
その代わり
わたしを しっかりと
胸に 抱きよせ
「永遠の愛が あれば
何も 怖いことは ない」
わたしの 耳元で ささやいた
「大好き」
わたしも 背中に両手を まわし
ひしっと しがみつき 言った
「とわに 大好き」
覚えた ばかりの
「永遠」という 言葉を
使って みたかった
わたしが 愛を ささやく のは
決して 珍しいことでは なかった
わたしたちは 日常的に
お互いへの 気持ちを
言葉にして 確かめ合って いた
あなた には
あなた だけの 匂いが あった
その 匂いが 庭に生えている
植物の香りに 似ていると
気づいた のは
ずいぶん 後に なってから
わたしは あなたの 匂いなら
すぐ かぎ分ける ことが できる
それは 葉っぱのような 奥深い香りで
うんと鼻に集中しない と わからない
ホワイトセージという 葉っぱを
いぶした匂いを かいだ瞬間
脳裏に あなたのことが 思い出された
ほの暗い イメージの 匂いでは なく
ひなたに 近いような 匂い
電話の着信音が なると
あなた ね と 毎回つぶやいた
電話は あなたから
かかってくる 以外は
鳴ら なかった
わたしは ずっと
電話と いうのは そういう もので
ある特定の人と 一対一で しか
つながらない ものだと 思っていた
「すべ すべ」わたしが 言うと
あなたも 同じように 繰り返した
わたしは 自分の 頬っぺたを
あなたの 太ももに 当てて
すべ すべ 同士を 隣り合わせた
「すべ すべ」は
とても 気持ちの よい言葉
理由は よくわからない けど
「にびいろ」という言葉が 好き
昔の人の 喪服の色だと
あなたが 教えて くれた
喪服って? と
わたしが 更に あなたに 質問すると
あなたは しばらく 間を 置いてから
愛する人や 親しい人が 遠くへ行って
もう 二度と 会えない
悲しみに 包まれた時に 着る服
と だけ 言った
それなら
わたしは まだ 知らない はず だ
だって 愛する あなたは いつも
わたしの そばに 生きて いるもの
自分の中に 物語の種が ある
そこに 愛情を 注ぐことで
芽が出て 葉っぱが現れ 花が咲き
やがて 実を 結ぶ
少しずつ 物語が 成長する 姿に
何より 自分自身が 救われていた

◇◆◇ ──────────────────────
自分の日常は
なんて 平凡 だろう
食べて 寝て 食べて 寝て
その 繰り返し
お客を 迎えれば
無理して 頑張って 炊事する
自分のために 作る と いうのは
つい いい加減に なって しまう
1人暮らしでも きちんと 食べる
食べるが 生き延びるを 支える
60歳の とき 18本の歯を 抜き
義歯を 入れた 噛む力が 戻り
食事に 制約が 無く なった
日本の コンビニは 世界一
日本の 独り身の 老い人
コンビニが あれば 生きつなげる
店が 生活の全てを 支援している
食では 一人前パックが 売られる
コンビニが 近くに あるなら
栄養の バランスまで 保たれる
フィリピンにも コンビニは ある
老いの味方 便利な店とは 言い難い
日常生活が 脅かされる
非常事態を 経験する
平凡な日常が 貴重だと 気付く
自分を 見失う 非常事態
混乱していた 時
年上の知人が「時薬」と いう
言葉を 与えて くれた
大変な困難を 抱えても
時間が 薬となり 解決される
どうしようも ない
あぁ もう ダメだと 思っても
時の流れに 任せて おけば
いつか 傷が癒され 回復する
米国の黒人 人権問題
あからさまな 有色人種差別も しかり
今に 有色人種が 米国の 多数派になる
誰も解決できなかった 人種差別
時間が 全米の皆平等を 作り上げる
京都では『日にち薬』と 呼ぶ
時間こそが 心の傷の 妙薬

◇◆◇ ──────────────────────
悲しい ばかりで なく
大いに 食べるし
笑うし 泣いて
親しい人と ケンカも する
悲しいことが あった からと
ずっと 泣いてる わけには いかない
生きて いれば
さまざまな感情に 突き動か され
行動する 肉体だけで なく
心が あるから 揺れ動く
命が あるから 生活が ある
大切な人を 守りたいから 生きる
日常では 忘れて しまいがちな
シンプルな 生活上の こと・・
女が 男の好みに 合わせて
伸ばしていた ロングヘアを バッサリ
「髪を 見たら 男が・・こわい・・」
髪を見た 男
女を 見るや 否や
「なんだ その髪は・・」
顔を そむけた
次の瞬間
男は 顔を 赤らめて
「とても よく 似合ってる・・」
言葉を 振り絞った
照れて 女を 直視できない 男
すごく 年上なのに
反応が いちいち ウブ
そんな 男が こわいと 女
笑いが 日常に 溢れとる
見た目以上の 歳の差な 男と女
70歳の 包容力は すごい
「伊豆の踊子」に
谷川の水を 飲むシーン が ある
踊子だか 一行の女が 男に
「先に どうぞ
女は 穢れて いますか ら」
そういう セリフが あった
昔 女は 謙虚だった なあ
女は 穢れている
それなら 女から生まれ
おっぱいを しゃぶり 育っ た 男は
「糞」か?
ナニ! いまでも しゃぶって るって
長じて 先祖返りで 谷間に回帰する クソ
「女に うつつを 抜かすより
努力して 世のため 人のためになる
男に なれ それが 男 ぞ!」という 暗喩
男が 女を 好くとは
考えて みれば あやうい こと

◇◆◇ ──────────────────────
近所を 散歩する 散歩道には
色とりどりの 南国の花が 咲き
木々は 豪快に 葉っぱを 茂らせる
自分は 平屋建ての
小さな賃貸住宅に 暮らしている
この家 建ってから 20年は 経っている
手狭だと 感じたことも あった
歳を とって 足腰が 弱って くると
階段のない 平屋の家は しごく快適
便利で 使い勝手も 慣れている
こぢんまり している
老いた身の ひとり暮らし に
かえって 好都合
掃除も 小さな平屋のほうが 楽
家に入りきる だけの モノしか
持た なかった ので 整理も簡単
つつましい 暮らし方を
してきた おかげ で
ひとり生活が 続けられた
お盆や 折敷(おしき)
惣菜と味噌汁 ごはん
お盆に のせれば
ひとり膳の でき あがり
気分よく 食事が できる
「ひとり膳」の つつしみ
「予約一名 で ございます」
それ だけで
自分を もてなして いる 気分
ちょっぴり 心地 いい
卓上の 準備を 整え
席に 着いたら
立ったり 座ったり しない
腰を 落ちつけ ゆったり 楽しむ
「酒を呑むのは 息を吸うのと 一緒」
呑んでいる 間は
TVニュースを 流し
政治の不正や 欺瞞に
悪態を つく 愉悦時間
誰からも 束縛されない
自由な いっとき
自由を 満喫 家で呑む
高齢者の 前向きな 姿勢を
温かく 受け入れて くれる ほど
日本の世間は 甘くない
世の中 高齢者に
やさしい 人ばかりでは ありません
むしろ 高齢者は 疎んじられる 存在
高齢者は 見た目が 汚くて 醜い
がまんが きかず 切れやすい・・
悲しい ですが
現実には さんざんな 思われよう
だから と いって
文句を たれても 何も 変わら ない
自分だって その昔は
年寄りの 気持ちなど
これっぽちも 考えず
若さを ただ ただ 謳歌してきた
自分が 高齢者に なって みないと
高齢者の 本当の 気持ちなんて
わかりません
ただで さえ 高齢者は 嫌われやすい
まずは そう 自覚すれば
普段から 嫌われないよう 心がける
できるだけ
「嫌われない じいさん」に
嫌われ者は 損をする
損を したく なかったら
嫌われないように する
嫌われないと いっても
若者に 媚びる必要など ない
唯々諾々と 相手の いうことを
受け入れるわけでも なく
かといって むやみに 逆らわず
穏やかに 振る舞うだけ
「逆らわず いつもニコニコ 従わず」
自分の 考えと
食い違うことが あっても
逆らったり
従わせようと したりは せず
ニコニコ 笑いながら 尊重する
かと いって
相手のいい分に 従うのでは なく
いったんは 受け入れて
自分の頭で 考えつつ
納得できる ところだけ 聞き入れる
死ぬまで 上機嫌が 一番いい
終わりよければ 全て よし
フィリピン・ダバオ
「安定って いい こと」
周りと比べて「普通」じゃない
その 劣等感を 抱く人は 多い
そもそも 普通なんて ない
安定の価値観も ダバオならでは
自分だけの 価値観で
安定が 満たされる 選択
それで いいでは ないか
フィリピンに 飽きたのか ?
いや そう言う事では ない
フィリピンの地に 同化した
暖かい国では
免疫力が 低下する事が 無い
老いてから だって 元気
楽しみを 見つけている
子供相談室で 小学生が
「人は 何のために 生きるの?」
と 哲学な質問を した
「誰かを 幸せに するために 生きるのよ」
大人が 常識的に 答えていた
この子 自分が
生きて いることに 気づいた な
どう 応えれば 納得したろう
それとも この子
早く 大人になりたかった のか
「あの女(こ)が この胸に 住み着いた」
だから 生きて いなければ ならない
そんな 答えを 自分は 吐いて みたい
人という 人は
自分の ため のみに
生きている のでは ない
自分の 無事を 願い
自分のために 尽くして くれる
他の 人々の ためにも 生きている
今日まで 生きて きたのは
何の ためだ・・
生き抜こうと する
生きて いてくれ
その願いを 胸の中に 聞くから だろ
無事で いてくれと 願う
祈って くれている 人が
いないでは ない だろ
その人々の ためにも
力の尽きるまで 生きろ
子どもの とき
おやつを もらえたら
自分 だけが 嬉しかった
大人に なって みると
みんなが 食べて いないのに
1人で 食べて いても
楽しいとは 思わなく なった
自分が 楽しいと 思える ことを
豊かに していく
老け込むことも 楽しむ でも
女と酒が 切れた わけでは ない
それ以外を 考え始め
他人に 下駄を 預ければ
何事も 決められなく なる
「あの人は こう思うの では・・」
すると 何も 決めることが できない
自分本位の 生きる 楽しいいで いい
優柔不断に 向き合う 人生
やり残した ことを
「あの時 やれば よかった」
思い返す くらい なら
「これ 今 やって おこう」
「やりたい ことは やって おこう」
前を向く
70歳を 過ぎて
年齢と雰囲気が 一致してきた よう
人間の小さな営み 浮き彫りにする 人生
『死ぬまで 上機嫌』で いたい
帰国の 旅の折 東京
焼き肉屋で 締めの 卵かけご飯
卵の殻を 割って 白飯に 載せると
レモンイエローに 輝く黄身が
高く 盛り上がった
白身は 粘度が高く
黄身に くっついて
離れようと しない
黄身だけ 少し 食べてみる
優しく さっぱりした 味
目を閉じると 大地の香りや
生命の躍動までもが 感じ とれる
何だ この卵は
しょうゆも タレも いらない
コッコッコッコッ コケコッコー
けっこう けっこう
最強の ごはん泥棒
店で古参 給仕の 話では
玉子は 北海道から 届く と・・
食べ ながら 夢想
農家の庭先に タイムスリップ
鶏舎は 三角トタン屋根
金網と木板で囲った 壁で
吹きッ さらし
床は 地面の まま
鶏たちが 自由に 走り回る
鶏舎と言うより 鶏小屋
大量消費社会の 中で
合理化・機械化へと 進む
養鶏のあり方を 疑い
小屋に 鶏を入れる 農家
大規模養鶏とは 対極
「小羽数平飼い養鶏」
血が通う 自然卵 養鶏法
『手間を かけて 少なく とろう』
そのことを 貫く
自然卵に
「農民と鶏の血が 混じる」
600羽を 飼い
200軒の お客さんを 持てば
夫婦で 食べて いける
フィリピンで 玉子かけ御飯
食べたければ 自分で 鶏を 飼う
教員を 辞めて
フィリピンへ 来た方が いた
自力で 鶏舎を 建て始めた
地域の人が
『素人が 鶏を 始めるん だって?」
小屋の建て方を 教えて やるよ
手伝って いた
6鶏舎 120坪に 600羽を 飼う
1坪あたり 5羽
かなりの 薄飼い
鶏が 自由に 運動できる 面積を
与えて いる
ヒヨコ 100羽を 鶏舎に 入れた
ヒヨコは 育雛箱の中を 走り回る
この 元教員が
人さし指の先で エサ皿を つつくと
まねて 皿の上の エサを つつく ひな
その手を 親鳥だと 思って いる
その手は 2〜3年で
役目を 終えた 鶏を
絞める手でも ある
鶏は 孵化後
5カ月ほどで 卵を 産み始める
ほぼ 毎日
卵かけご飯と みそ汁に
だし巻き卵か ゆで卵
あれば ソーセージを 添える
卵かけご飯が 一番楽
イワシの魚醬を かけ
勢いよく 混ぜて 食べる
だし巻き卵は
みそ汁を 作る時に
だしパックで とった
だし汁を 使って
めんつゆを 少し入れる
ゆで卵も
朝ゆでて ストックしておく
「油揚げって 自由だなあ~」
玉子かけごはんに 付いてきた
油揚げの みそ汁 すすり ながら
焼き肉屋の大将に 話しかけた
油揚げ観が
心地よく 崩されていく
切って 焼いて カナッペ風
袋にして ピタパン風
細かく刻んで あえものに
ざくざく切って 含め煮に
油揚げは 懐の深い 食材
地味で 脇役でしか なかった
油揚げが とびきり 楽しく
おいしそうな 料理に 変身
油揚げ 応用の 方向性には
ひとつも 無理が なく
容易に 味の想像が つく
どんな 食材にも
そっと 寄り添って
己を 主張せず
食材を 際立たせる 油揚げの 魔法
おいしさに 一役も 二役も かう
主役になる ことは まれ
脇役に 甘んじている
その 姿勢が 好ましい
自分で 何度も 作って みたが
豆腐が 油揚げには ならなかった
シンプルなのに 難しい
ダバオ市内の ガイサノモール
冷凍油揚げが たまに 手に入る
輸入品だから 高級食材の 一品
手に取れば 頼りなく
宙に 浮くほど 軽い
3枚ほどが パックされている
凍って パリン パリンだから
取扱い注意
レジの おねーちゃん
暇な もんだから
この 厚紙みたいの 何だと 聞く
あなたが 働く店で
売ってるのに 知らない のか?
だって 私 レジ専門だもの
どうやって 食べるのか
レジ娘 しつこく くいさがる
食べたいなら 家に おいで
いなり寿司にして ご馳走したげる
いなり寿司
江戸期から 既に 売られた 長寿もの
あなた 日本人?
結婚してるの? 独身
「すし 大好き~」
大声で 叫ぶ レジ女
アホか 大声だすな
怪しまれる だろ
オイ オイ ニイちゃん
袋詰めは 一番上に しないと
パラパラに くだけ ちゃうだろ
寿司に 使えなく なるん だよ
そんな事 言っても
分からない よな
高いんだから
油揚げで 遊ぶん じゃない
なんだか 悲しくなってきた
◇◆◇ ──────────────────────
ある日
うどんの もとに 一通の手紙が
ラーメンから 届いた
「そろそろ アンタと 俺の
どちらが おいしい のか
きめようでは ない か」
とわの ライバル
ラーメンからの 果し状!
決闘だ なんて
アイツも ふるいなぁ~
巌流島じゃ あるまいし
「長時間料理」は 贅沢
家ラーメンを 作る
現代は 可処分時間の 奪い合い
料理は「時短」「簡単」花盛り
時間を 逆行する
美味しいもの 食べた ければ
料理に 時間は かかる
みりんと 酒を 入れ
強火で 沸騰させる
しょうゆと 砂糖を 加え
再び 沸騰させ
鶏油を 入れて 火を 止める
これが「かえし」
「かえし」を 大さじ1杯
どんぶりに 移して
時間を かけ 作った
鶏スープで 割る
茹でた麺と 好みの具材を 載せ
家ラーメンの おまっとさん!
時間と金が 有るとき 作る
「勝負ラーメン」
用意する
鶏もも肉 アサリ 白ネギ 麺
「キッコーマン 生しょうゆ」
「手間 かかりそう!」
そりゃ うまい! の ため
「焼きナス!」 あれ だけは
人に 作って もらって うまい
鶏もも肉は 食べやすい 大きさに
ネギは 斜め切り
沸騰した湯に 鶏もも肉を 入れ
時間差で アサリを
火が 通ったら ザルに あげる
どんぶりに 生醤油とネギを 入れる
鶏もも肉と アサリを 茹でた湯を
どんぶりに 入れ 茹でた麺を 投入
お酒好きには
鶏もも肉とアサリは つまみ
豆板醤を チョチョッと つけて
食べれば ビールが 進む
食欲の無い ときは
つるっと 食べられる 冷麺

◇◆◇ ──────────────────────
ラーメンが
うどんに 送った 果たし状
軽はずみ だったんじゃ ないか
ラーメンは 後悔して いた
決着を 付けない から
面白いん じゃ ない か
そういうことも ある
そう思えば 悔んで いた
審判は ゆで多呂羽左衛門
戦いの日が やってきた
ところが ラーメンは
なかなか やって こない
ラーメン武蔵 臆したか
めんが のびちまうぜ と
うどん粉次郎
そのとき・・ うしろ から
ラーメン武蔵
突飛な「ナルトしゅりけん」
なんと
いつのまにか ラーメンは
うどんの後ろに 立って いた
ど どういう ことだ
うどんが 慌てて ふりむいた
うどん粉次郎には 強烈な
「うどんしばり」の 決め技
モッチリして コシが あるから
からめ とられれば 身動き できない
ヒッ ヒ ヒ
ラーメンは 得意げに 笑った
それで うどんしばり
かけた つもり か
壮絶な死闘
どちら かが いや 相打ちなら
世のメニューから ラーメン うどん
両方とも 姿を消す
閉店相次ぐ 大惨事と なる
ラーメン うどんとも
仲良く 釜の中で 踊って いた
湯の流動に 身を任せ 妄想していた
うどんVSラーメン対決
やめ とこ か?
うどんと ラーメンは
異種格闘技に なる から
猪木とアリ戦の ように
消化不良で 決着しない だろ
場外乱闘に なりそうな 気配
ゲームオーバー ノーサイ ド
互いの健闘を 称える
という風には なりそうも ない
だから
「たぬき」と「きつね」とか
関西・関東 うどん対決 決定戦に
しておけば よかった か
いや それなら もっと 大仰に
「全国 ご当地うどん対決 江戸城」
津々浦々の うどんを 紹介しながら
トーナメント それも いい か
でも うどんは
最初から 決めて いたので
相手を 誰にするか 考えていた
ラーメンは 子どもにも 人気
蕎麦より 好きかな と 思って
ラーメンと戦う パロディーを
思いついた 次第
ナルト 対 油揚げ
チャーシューなど
具を 武器にした 攻撃戦
それじゃ 武器の 少ない
うどんが 不利か
江戸城 お殿様の前で
それぞれの具を 武器に
忍術まで 酷使しての 御前試合
殿様とか 姫様とか
忍者も 駆け抜けて いって
戦いの舞台は 現代に なった
ラーメン うどん お互いに
「こっちの方が 美味しい!」
戦っている うち
だんだん エスカレート して
めちゃ くちゃに なって いく
バカバカしくて
なんか 面白く ないな
うどんは 優しく あっさりした感じ
ラーメンは濃い くどい 油っぽい感じ
うどんとラーメンが 並んだ 時
互いに ひと笑い させる か
善と悪との 戦いには したく ない
ラーメンが 悪役に 見えないよう 工夫
どちらも 善玉に すれば 面白く ない
難しい な
――戦いは 次第に
激しさを 増していった
最後には ほっこり させ
終わらせ よう
正義が 悪を
ボコボコに するような 対決は
あまり いい趣味では ないので
そうならない よう
やはり 引き分けに した
で 自分が 本当に 好きなのは
そうめん!?
うどん・ラーメンを
平等に 愛する が
好きなのは そうめん
うどんが 好き ですけど
ここで うどんって 書くと
中立公平じゃ なく なっちゃう

◇◆◇ ──────────────────────
この あいだ
仲間と 話していた とき
昨日 ちょっと 風邪っぽくて
おうどん 作って 食べた
その ひと言で
この男 関西人だと わかった
うどんに「お」を つける 関西
大阪では うどんは「おうどん」
粥に なると「お粥さん」と
「さん」付けまで して しまう
風邪気味で 食欲が ないときは
「おうどん 作ったろ か?」
それは 優しい声色
心細さが すっと 消える
誰も いない 台所に立って
ネギを 取り出し
「おうどんでも 作ろ・・か」
鰹や昆布の出汁は 使わ ない
疲れたり 体調が
すぐれないとき 食べるもの
時間かけてる 場合じゃ ない
材料は
鶏肉と細ネギ 生姜 塩 酒 みりん
千切り生姜を ごま油で 炒め
香りが 立ったら 細ネギも 入れ
しんなり 甘みが 出るまで 炒める
そこに 小さく切った
鶏肉も 加えて 少し炒め
たっぷりめに 酒を 入れて煮る
材料から いい出汁が 出たら
水を加え 塩とみりんで 味を 調える
出汁を 煮込むとき
グラグラ 煮立て ない
湯面が ゆらゆら揺れる 程度
最初に出る アクさえ 取れば
ほったら かしでも
透明の 澄んだ 鶏スープが できる
丼に 茹でた うどん
スープを かけて いただく
疲れた体に 染み 渡る とは
こういう ことを 言う
生姜で ポカポカ あたた まって
そのまま ストン 寝て しまえば
風邪は だいたい 大丈夫
翌朝には ケロっと 元気
余った スープは
一食分ずつ 冷凍して ストック
また 突然の不調のとき 助かる
おうどんは 養生食
体や心が ずっしりと 重いとき
誰もいない 部屋に
ひとりで いると 泣きたくなる
「おうどん 作ったろ か?」
声を かけてくれる 女も いない
異国で ひとり暮らし
生きていく と いうのは
なかなか どうして パワーが いる
自分で 自分を 元気付ける
「養生」の ための おうどん
青みがかった 白の 小どんぶり
上品な たたずまい だ けれど
丸みを 帯びた形で
ここに 白い おうどんが 入ると
なんとも 優しい
今度 心や体が 冷えきった
誰か 女の ために
「おうどん 作ったろ か?」
そう 声を かけて あげよか
スケベ 心で そんな事 思った
南の島と いったら
冷たい そうめん だろ が
昔なら お中元で もらったり
スーパーの セール品で 買った
そうめん 大鍋で ゆでて
冷水で 締め 皿に盛る
カツオだしの つけ汁に
しょうが ネギ みょうが
三種の神器
フィリピンに みょうが は ない
キュウリの細切りに 食感を求め
カラマンシー汁を たらした 酸味
南国の清涼感を あびる
チュルッ と すすれば
爽快な のどごしに よし よし
強い日差しに
ほてった体も クールダウン
何より 思いついたら
すぐに 作れる 簡単調理
1食あたり 50円程度と
リーズナブル なのも
そうめんの いい ところ
手軽に 作れるが ゆえ
食卓に並ぶ回数は 多くなり
飽きて しまう
それに あらがおう と
つゆに 黄味を 入れたり
ゴマだれに 変えたり して
アレンジを 加えたり しても
結局 食べ飽きて しまう
新鮮な気持ちで 楽しもう と
チヂミ風 おつまみ そうめん
これが 最新の目新しさ
麺類は 便利な 食材
全ての麺は 一人もんの 味方
麺って 美味しいよ ねって
笑って 食べよう・・
ドーンとした 元気な気分で
自分は あんまり
元気な 人間じゃ ない けど
◇◆◇ ──────────────────────
そうこうする うちに
日が 沈み 夕食の時間
冷蔵庫の作り置きを 出し
一人 食卓を 整える
新鮮な 野菜のグリル
ふっくら 煮つけられた 油揚げ
舌ざわり なめらかな 蒸し鶏
塩を キュッと 利かせた
おむすび
静かに始まった 夕食
お酒と食事が 進むにつれ
次第に 心が にぎやかさを 増し
しまいには ビールを おかわり
そのあと シャワーを ゆっくり使い
下駄を履いて 外へ出れば 漆黒の闇
足元に 気を付けながら
カラン コロン
昼間 光を たたえていた 海の
波音だけが 耳に入る
星も 月も無い 真っ暗な 夜を
体感するのは いつぶり だろう
そんなふうに もの思い・・
ひと巡りして 帰れば
我が家に灯る 優しい光が
迎えてくた
混乱のなか 2020年は
身動き取れない間の 年末
想像も していなかった 一年
ただ 自分が 大切にしている ものは
何なのかを 深く問える年に なった




































