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           ダバオ通信  ヤン爺のラストライフ・ダバオ 
              Last Life Shift In Davao Philippines
    

            フィリピン社会に戸惑う ダバオ隠居物語
                  「団塊 百年の孤独 老いの抗い」  

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自分は 人から褒められた事が
子供の頃から 今に至っても なかった
取り柄の無い 平々凡々なのだ

畑に 2メートル高さの木が 20本
二列に キチンと並んでいる

何の木だろう 
桑の木と分かるまで 時間が いった

そして これが 桑の実
2センチぐらいの 大きさで
赤黒くなって 熟している



 

赤黒に色が 変われば 食べ頃

――あなたは 食べたこと ある?

どんな味が するんだろう

食べてみます? と 言っても
何処にも 売っていない 桑の実

小学生の時分 
畑道を 歩いて帰るのが 近道
季節の野菜や 麦 畑を仕切る お茶の木
農家の裏庭には 栗や柿 無花果の樹
戦後15年 いつも 腹を 空かせていた
畑に入り 失敬して 盗み食いの悪餓鬼

帰り道 畑の隅に 桑の木 気になった
普段は 手の平大の 葉だけが 茂る
蚕が この葉を 食べて 繭となる

ある時期が くれば 木は 実を付けていた
 
――そのまま 生で 食べちゃうんですか

桑の木に いっぱいなっている 実を採る
近くの子たちも 鳥も 皆 狙っているので
美味しそうな実が どんどん採られちゃう
でも 赤い実は まだ すごく酸っぱい
少し待って 赤黒になった実が 美味しい

色の変化と しては
最初 緑色で それが赤色に染まって
最後に 赤黒になる

赤い実は パッと見たとき
緑の葉の中に 目立って
いかにも 美味しそうに 見えるが
まだ ホント酸っぱい

赤黒く 完熟した状態と なれば
触るだけで ポロっと 手に落ちてくる
小さなぶどう房 赤黒いのが 一番甘い
これ以上熟すと 地面に落ちちゃう

ちょっと ベリーっぽい
「マルベリー」と いう

サクランボみたいな 食べ方
ブドウの皮の部分を 食べている食感
プラム的な酸っぱさ イヤな酸っぱさ ではない
口の中は 濃い赤紫一色に 染まる

自然が くれた「おやつ」

都下の田舎で 畑道を通って
学校へ通っていた 少年が
たった15年後に 職を得て
「大都会に呑込まれる」ん ですから
あっという間の おかしな話です

 

さらには 60を前に 外国に 飛び出す

 

ナンダカンダ 分からん人生・・まッ

置かれた場所で 咲きなさいって

神様が 言っているし

何とか なるかもしれない

でも 何で こうなったんだろう 

不思議だよなぁ〜

 


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日本が 浮かれていた ところに
怖さを 突きつけた



 

子供じゃ ないんだから

コロナ 自分の命 守って下さい
洪水 命を 確保して下さい
命 命って 繰り返し叫ぶ TV



 

科学者や 政治家の苦悩や 奮闘などは

「ニュースの向こう側」に チラリと 

うかがえる 程度

でも 大人に なれなかった
多くの人が 亡くなった

これから 台風が 連続して来る
地震も 何時 襲ってくるか 山の噴火も
備えて おかなくては ならない
明日の命は 無いもの と 思われたし

命を守る行動 サバイバル
そんな 大変動の なかで
生きていくのは 大変

命を 生活を守るのは 家では ないか

さっきまで お茶を 飲んでいた 居間が
数時間後 流されて 無い 家を失った人 

 

「命を 奪われなかった だけでも 幸い」
そう云うが それは 嘘では ないか

生きては いるが 住処を 失えば 
生きる気力も 失せる
呆然とし 死んだも 同然

川を 無くすことは できない
堤防で 家は 守れない
治水だけで 河川の氾濫は 防げまい

素朴な疑問が 沸いた
土地の 先人から 受け継いだもの
次代に 手渡すこと してこなかったのか

洪水の危険が ある 河川流域の家
古来からの 教訓が あった だろうに 
何故 高床式の家に しなかったのか
1階部分は 駐車場か 物置にしておく
屋内への浸水被害を免れ 命は もとより 
生活を壊される 心配は なくなる
そう 思うが 何故 そうしない

家を 失われずに すめば
災害への喪失感は 救われる

個人として どう この時代に
災いを 回避して 生活を 営むか
災害に適応できる大人が 生き残る

災害に教えられ 新しく生まれる家
これから 考え付ける 
アイディアの 好奇心のほうを 見つめ
いまの自然を 克服できるのでは ないか
そんなこと TVを 観ながら 思っていた
 
高床式に できない理由
法律や建築規正が あるのか?
それなら 見直し 
そんなもの 撤廃すれば いい

「栗せんべいを守る会」と いうのが ある

栗の形をした 安くて おいしい 栗せんべい

ところが その店が「もう 売れません」

聞いてみると
「栗が 入っていないのに 栗せんべい
   そいうのは けしからん」と
「おかみ」からの お達しが あった

じゃぁ いいか「おかみ」に もの申す

 

ブルドックソースに
ブルドッグは 入ってないでしょ

ビール瓶に キリンは 入れないでしょ

かっぱえびせんに かっぱが 入ってますか

すると「おかみ」の 返事は
「それは 皆さん わかっている事だから・・」

この「栗せんべい」の ように
えッ!という 信じられない 規正が 
社会に 存在する

そんな 規正なら 無くしてしまえ
頑固な姿勢が 正しさを 命を 守る
◇◆◇ ──────────────────────
フィリピン コロナに 
在留邦人も 命 取られた 
規正を緩和し 緩くした 結果
感染者数は 激増した

 

密集した 貧民地区が ある
公衆衛生文化が ない

規正強化すれば 感染は 押さえられる
既に 感染防止 医療対応の 金が つきた
そして 経済は 破綻寸前
その先は 家計が 行き詰まり
餓死者が でるのが 目に見えてきた

死亡者が 出ても 仕方ない?
経済活動を 広げた
だが 幸いな事は 
感染しても 軽症者が 多く
重篤 死者数は 思ったより 少ない
フィリピンコロナの 特質・・? 

背に腹は かえられぬ 

死に体 寸前の事態
追い込まれた フィリピン

上から下まで 黒ずくめ
大きな帽子と 顔半分を覆うマスク
濃いサングラスで 目の玉も 見えない
ブラック コロナ・ファッションで
ビシッと決めた お姉さんを 発見

「エキセントリック 俺より凄い!」

度肝を抜くような 怪人ファッション
新地平を拓く 革命的コンセプトデザイン
「HARAQLO」ブランドで
怪老シニアの ハートに 火をつけた

ファッションは 爆発だあぁ〜 
レッドファッショは コロナ暴走だあ! 
俺の脳みそは 暴風だあぁ〜〜

人と人が 生身で 体温を 確かめ合う
コロナに 変えられて たまるか
◇◆◇ ──────────────────────
コロナの 悪夢から覚めて 
世界が どんな景色になってるか なんて 
誰も 知っちゃ いない



 

何が 正しいか 分からない 状況
『正しさ』を つかみたい 誘惑に かられる

複雑なものを
複雑なまま 受け入れるのは 苦しい
白黒 はっきりした 明確な答えを 与え
疑問を 消し去ってくれる 存在に 

惹かれ 依存していく 危険

「正しさ」に 依存しようと すれば
正しさは 麻薬となる?

コロナが 終わったら
「どこに 連れて行かれるん だろう?」
「♪ドナ ドナ ド〜ナ」 歌に 出てくる 
子牛の ように・・

新しい社会のあり方に 向かって
欧州に 文明論的な機運が 生じた

「グローバル化」は 無条件に
いいことだと  信じてきた
ヒトも モノも カネも 情報も
こんなにも 大量かつ 高速に
国境を越えて 移動させることが
本当に 必要だったのか どうか・・

日本では 政治が
哲学的に 貧困である ことも あって
そのように問題が 深まって いかない

それでも 芽生えは 見え始めていた
陸上イージス計画の断念後
中谷元・石破茂 両 元防衛相が
辺野古 海兵隊基地の建設を
強行しつつある 政府の姿勢に 
公然と異を 唱え始めたのは
その ひとつ

また 首相が お友達
JR東海名誉会長のために
事業費の 1/3に当たる 3兆円を
血税から補充し 国家プロジェクトとして
推進している「リニア中央新幹線」が
静岡県知事の 県民優先の抵抗で 頓挫
それが もうひとつの事

この世の中では
変わらない事の ほうが 難しい
社会のほうから「変わりなさい」と 
迫ってくる

それに流されて みんな 順応していく

「自分」は
永遠に 変わらないかも しれません
だから こそ 自分の老いを 生きられる
そして 思う「自分」を 見極め
未来に 導いてあげるのも「自分」だと

自分を はっきりさせ シンプルに していく

自分にしか できないことを 研ぎ澄ませていく

 


◇◆◇ ──────────────────────
ほかの人とは 違う道を 歩いてきた
生きる最期に 選んだ フィリピン
東京にいれば 変えられてしまう
それも 醜い方に 変身させられる

フィリピンでは
もう 誰にも 言い訳 できないし
人に 頼るわけにも いきません
とことん 見得を切り 傾(かぶ)いて
老い先を 生きていく 覚悟を 決めた

若いころよりは いくぶん
世間との「戦い方」を 知った
多少の「知恵」も ついた
小賢しい生き方 なんて 
したいとは 思わない

人生に プランなど 立てたことが なく
その ときどきに 夢中になれることを
ドンキホーテのように ぶつかって いった

何歳までに なにしょう
なんてことも まったく考えずにいた
ただ 老後だけは 冬が無い 南国で 
できれば 海の傍で 余生を 過ごしたい
ただ それだけを 妄想していた

 

夢見が 現実となったのは この事だけ

トリスを飲んで ハワイへいこう
飲み続けても ハワイに 行き着け なかった
途中 サントリーに 浮気した 罰だ

60歳を 前に フィリピンで 一人 
自分を 受け入れてくれる人に
出会ったことは 運命的で 
本当に うれしかった

コロナの 今 フィリピンで
毎日 やらなきゃ いけない
家事に 没頭する

無心で タイルの床を ピカピカに磨く
目の前の作業に 汗かいて 集中する
心は スカット 澄みきって 強くなる

あとは ダラッと 1日を のんびり

予測の「悪いほう」を 想像しておく
期待していれば ガッカリするだけ

もう 期待も 失望も しない

「ひと月 経てば・・」と 期待したら
状況が よくならなかった とき 
なんだよって 余計 落胆が 大きい

このまま続く と 思って
あえて 予定を 立てない
ぽっかりと 空いた 時間"を
これまで 作った事のない 料理なんか
試みて 面白がって みたりする 

心の中には 心の外と同じくらいの
スペースが 広がっている

生活の不安は
何より 重く のしかかるもの
その不安が 解消されたら
万事解決かと いえば そうでは ない

人間の 単純になれない 生活
自分の好きに 生活できなければ
人生も 自由に なれない

何にも 期待せず 不安にならず 
果報は うたた寝をして 待て か

 


◇◆◇ ──────────────────────
当年73歳 本日も 炎天下
朝っぱらから 現場に立っている

高齢者というステージに 突入しながら
生活の糧を 得るべく
雨の日も 風の日も 誘導灯を 振っている
そんな高齢者を 見かける と 

仲間から 聞かされた

70を超えての職は 誘導員か清掃員が 定番
悲哀と笑いまじりの 高齢者の現実
暮らしそのものが 貼りついている

超高齢社会に 突入した いま
つい こないだまで お年寄りと 大事にされ 
楽隠居と 認識されていた 人びとが
制服を着て 工事現場や
レジの向こう側に 立つ姿 
今では 珍しいものでは なくなった
労働から もはや 引退できない 世の中 か



 

車を 運転する人なら 誰でも
行く先に 赤い光が 見えると
工事を 覚悟して
「あまり 待たないと いいな」

でも その誘導灯を持つ 誘導員に
注意を 払うことなど ない
ほとんど 風景の一部に なっている

交通誘導員を 気にして 見れば
男女問わず 老人と言っても いい人が
炎天下の アスファルトの上で
真っ黒に 日焼けして 働く姿が 目に留まる

道路に面してる 工事現場には
車両の通行や 住民の往来などに
迷惑を かけないよう
そして 工事に支障が 出ないよう
研修を受けた 交通誘導警備員が あたる

全国に およそ55万人いる 警備員
4割が 交通誘導警備員

柏耕一さん 73歳
出版社勤務のあと 編集プロダクションを興し
40年ほど 編集や ライター業に 従事
あることで 身を持ち崩して 会社を清算
交通誘導警備員と なった

交通誘導員 
繊細な コミュニケーション能力を 
求められる と 言う

通行止めの場合 迂回路や
現場近くの 住民への対応や 誘導
無理に通ろうとする人への 説得など
罵倒されようが 懇願されようが
頭を下げて お願いする しかない
 
複雑な交差点での 交通整理とも なれば
渋滞に ならないよう 
複数の誘導員が 連携して
速やかに 指示を ださなくては ならない
 
警備会社に所属し 派遣されている 以上
現場監督や 作業員との関係にも 気を使う
「誰でもなれる」「最底辺の職業」とは 
とても 言いきれない 現場

ひたすら 感心して しまった

人生 何が 幸せと 感じるか どうかは
遭遇する変化 良かろうが 悪かろうが
現在を 楽しめ 勤めるか どうか
気持ちが シンプルなら 
身軽に 変化に 即応できる
 
おそらく 現場の エピソードは
笑いあり 涙あり そして 多くの怒りあり
人間世界の縮図 そのものだろう

柏さん 今日も 
道路に 立って いるのだろうか

ダバオは 今日 雨の一日だ

 


◇◆◇ ──────────────────────
自分は のんびり フィリピンだから
お金をかけず 年金で 暮しを 立てる
同年代で 今でも 働いている 人たちに
何んか 申し訳ない 気に・・ 

だが 違うようだ

だって 柏さん 
会社を 回してた頃は ネ 
俺の言う事なんか 誰も 聞きや しなかった
交通誘導員してると 俺の言う事 聞かなきゃ 
行け 進め 止まれ 待て 指示に 従わないと
高級外車の ヤツだって 動けないんだから 
ザマみろってんだ  オイ そこの ピッ ピー ー

 

今の仕事 体力勝負だけど 気分 いいよ

あの頃の イメージしかない
ピンク・レディーが 62だってヨ 
♪ワータシ 元気な サウスポーか
若いなんて 威張っても 我々も 歳だ

今日も 無事故 無事終えた
さぁ 一杯 ひっかけ ねぐらに 帰るか 
今じゃ 晩酌だけが 楽しみで 
生きてるような もんだ

高齢になれば 体が弱く
働きたくても 働けない人だって いる
そんな人は 生活保護 受けたり
老人ホームより 快適だと
刑務所に 逃げ込む人が いる

生活保護受給世帯数は 170万世帯
その 半数以上を 高齢者が 占める

経済的に 追い込まれ
罪を犯してしまう 高齢者
窃盗による検挙数は 増えている

社会福祉サービスよりも
刑務所の方が 居心地が いい?
「老人ホームより 快適だ」なんて

高齢者が 罪を犯して しまう
「生活保護を 受けるのは 恥ずかしいこと」
「自分が 生活保護を 受けられるとは 
   思わなかった」
誤解や 正しい思い込みが ある

一度 服役をした 高齢者が
帰る場所が ないため 出所後 すぐに再犯
刑務所に戻ってくるケースが 多発

社会福祉サービスを 利用するよりも
刑務は 衣食住 医療が 保障されている
刑務所の方が 居心地がいいと 言われれば
「福祉の敗北」だ

受刑者 1人に かかる費用 300万円
税金で まかなわれる

高齢者のなかには 歳とって
自分が 貧困層に 転落することは ない
たぶん 何とかなるに 違いないと
高を くくっている人も 少なくないでしょう
その見通しは 甘いかも しれません

夫婦2人 老後生活を 送る上で
必要な 最低日常生活費は 月額22万円
それで ギリギリ 一切の ゆとりも 無い

ゆとりある暮らしには 月額 35万円

65歳の夫婦が
2人揃って 20年間生きた場合
毎月の生活費 22万円だと しても
「22万円×12か月×20年=5280万円

年金だけでは 十分とは 言えない
足りない生活費に ついては
預金を 取り崩しながらの生活を
考えている人も 多い

老後の蓄えが 充分で ない
預金を あてにできる 人なんて
自分も そうだが 多くない 現実

体を 動けば 働くしかない
就業率は 65~69歳で 40%
定年後も 働かなければ いけない
肉体労働なら 僅かに ある

待遇は よくない
年収は 200~400万円が 45%と多数派
希望の収入が 得られる 人なんて いない

働いている人に 引退したものが
余計な同調や 気遣いは 失礼に なる
人生を「意義深く感じ過ごす」なんて
難かしすぎて 誰にも 出来ない 世の中

だけど 永年 勤め上げ 
ご苦労様でした と 楽隠居できない
そんな 世間じゃ どうしようも ない
いつ 余生を 楽しめ と 言うんだよ え!

思いのほか 
長生きしそうな 団塊たちの老後
長生きしたばかりに こんな目に遭う
健康長寿を 喜べない なんて・・

柏さんの ように 自分に 飽きないこと
どんなに 歳を重ねようとも
自分に 飽きなければ それが いい

飽きられない マンネリ
日々 新たな マンネリというものが あるから
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東京にいれば 死んでしまう
遠い異国の地で ひっそりと
息をつなぎ 生きざるを 得なかった

引き算からの出発
「大丈夫と!」と 思い込んだ

家賃が 安いから 老い人でも 住めた
自分が 移住した先 フィリピンの田舎
南国果物の宝庫 ミンダナオ島は 緑豊か

暑くて たまらないと いうより
独特な 暑さの居心地を 感じる
人によって そして 自分にも
「暑さ」って 心の持ちよう
暑いというのを 決めるのは 自分

たった 15年なのに
もう ずいぶん前から 
この地に 住んでいるような
リラックスした 居心地のよさを
感じているのだから 図々しい

住めば 都か
果たして 自分は
ここで 何をしているのだろうか
とくべつなことは 何も していない
ただ 暮らしている それだけ

ご飯を 作って食べ
上から入れて 下から出す
そのこと キチンと出来ていれば
健康だと 信じきっている

家の仕事をして 掃除洗濯を済ませ
本を読みながら 眠くなって 寝る
ただの 繰り返し それだけ

日本に 住んでいたときと
基本的には さして 変わらない

東京とダバオでは
全ての環境が 圧倒的に 異なる
食事や 家事以外に
異国の暮らし ならではの 用事も できる
それが 楽しみに なっていく

また「ちょっとする」と いう
菜園仕事のように ダバオだから こそ
しなければならないことだって 覚えた

異国に住むから こそ できるような こと
とくに なにも していない

その気軽さ 普通さ そのものが
ダバオ田舎暮らしの 心髄
何か 気構えのようなものを 持って
移住に臨んだ と いうわけでは ないから

しばらく ダバオに 住んでみようか
そう考えてから 時を経ずに 移動した
行ったことのない 場所
様子の まったく わからないところ

貸家は 家具付きで そのまま使えた
さしあたっての 身の周りのもの
どうしても使いたい 機器だけ梱包し
引っ越した

肝腎なのは そんな 気楽さ
異国で 田舎暮らしを しようと 
大上段に 振りかぶったり すれば
「あれもやりたい これもやりたい」
「あれを 用意しなければ ならない
「これを 整理しなければ ならない」
余計な 気負いと 金が 出てしまう
それが 失敗の原因に なることも ある

気軽な気持ちで 丁度いい
気がつけば こんなに 身軽な状態は
かつて なかった

天国にいるような 陽の光
家の奥深くまで 陽が入り込む 朝
部屋の中に 光が 眩しくあふれ
それだけで いいな に 包まれる
一日が 始っていく それだけ

この「それだけ」と いうのが
なにより 自分には 必要だった

所有する本を 全て フィリピンに
持って来られなかった ことなど
悩ましいことも いくつかは ある

 

コミック『浮浪雲』が 
手元に ないことが いまもって 寂しい

だが どのような状況で
どこへ 行ったと しても
そうした 思いは それなりに 残るもの

それより 大切なのは
これまでとは 違う 暮らしの中で
いままで 見えなかったものを 見て
気づかなかったことを 知り ダバオ人になる
そこに 新たな生活を 見い出す 



 

東京で 身近にあったものを 移動して
同じような 生活を する
そんな事に なんの意味も ない
「そこにしか ないもの」の 価値を 知り
愛でること こそが 移住だと 思いたい

ダバオに 住むように なってから
小鳥が 気になり出して
小鳥のことが 知りたくなった

夜明けと共に あちこちで
鳥の 鳴き交わす声が 聞こえてくる
何 そんなに 話す事が ある と かしましい

小鳥たちが 人を 怖がらず 集まってくる
「ジイさん 今朝は 遅かったネ」
と 言われて
「あぁ 熟睡して 気分良く 目覚めたよ」

珈琲の香りが ゆったり 心を 落ち着かせる 

東京では『浮浪雲』の連載を 楽しんだ
主人公の「雲」に 憧れも した
仕事は ろくにせず
酒好きで 女にも だらしない
だけど 曲がったことが 嫌い

幕末が 舞台なのに
登場人物たちの 面倒くささと 可愛さ
男と女の どうしようも なさが
ダバオの民と 混ざりあって くると
余計 リアルに 胸に迫ってくる

ダバオには 
ダバオの 日常舞台が ある
ただ「それだけ」
形には できない けれど
大切な なにかを 感じ取っている



 

人生で 一番大切なことは 機嫌が いいこと
 

◇◆◇ ──────────────────────