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ダバオ通信 ヤン爺のラストライフ・ダバオ
Last Life Shift In Davao Philippines
フィリピン社会に戸惑う ダバオ隠居物語
「団塊 百年の孤独 老いの抗い」
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フィリピンは「濃厚接触」の 国
頻繁に 握手をするし ハグをする
触れ合い密度が 高い
人と人との距離が 近い
感染者が 日々 じわじわ増え続ける
ダバオでは 亡くなる人も 出ている
鬱々(うつうつ)とした 気分
これから コロナと どう向き合う
家に こもって じっとして
遠ざかるのを 待つしか ない
考えても やれる事は 少ない
過ぎ去って 日常が 戻ってくる 希望
家の中に こもるに しても
食料品店には 行かなければ ならない
そこで 働いているのは 誰でしょうか
必要なものを ネットで 注文すれば
外出せずに 済むでしょう
誰が その荷物を 運ぶのでしょうか
こんな時 自分さえ 良ければ と
人をかき分ける 疑念に さいなまれる
出来る事は こんな時 だからこそ
働いて くれている 人たちに 思いをはせる
コロナよ おまえ そんなに 生き延びたいか
勝手に 体内に 忍び込んで 人を 痛めつけて
いずれ
ワクチンや 治療薬が でき 殺されるんだよ
いや 俺たちを あまくみている
俺たち ウイルスは 刻々 変異してるから
ワクチンで 感染を遮断する 保証なんか ない
一緒に生きていく覚悟を 決めようでは ないか
イヤだ!
東・東南アジアと 欧州との感染力が
ここまで違うと ウイルスが 変異して
より 凶暴 凶恐な タイプに 変わった?
新たに Sタイプと Lタイプという
毒性の異なる 2種類が 見つかっていた
ダバオ市政府は 4月19日まで
コミュニティー外出制限を実施
街の空気は 清浄になった
見事な青空だけが 心ほぐし 広がる
夜空の 星の輝きが さえざえしていた
市民生活は 怖さと不安に おののく闇
神様から いただいたもの
こんな 今 それは 自信に ならない
何が あろうが 変わらない 季節風
南国の風に 吹かれていると
その苦悩を 和らげ 瞬間 忘れさせる
普段 いい加減な フィリピン人
政府の指示に キチンと 従っている
市政府に 隠さない信頼を 見せていた
言う事 聞かない 外国人は シッ シ
国外退去 毅然とした 命令が 出た
普段 生真面目の日本人
ビザ延長は 封鎖措置終了後
オーバーステイの人でも
30日以内に 罰則なく 手続きできる
2月以降に 誕生月が ある方
年金 現況届書の提出が 期日までに
年金機構に 届かなかった 場合 でも
当面の間 年金給付金に ついて
支払いの差し止めは 行なわれない
日本円は 未知の領域に 入ってしまった
あなたの 心と躰 お変わり有りませんか
ヤン爺です 今日も ダバオにいます
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昨年 ディンギー流行に 見舞われた
ダバオ中の病院が 患者で溢れ
受け入れ中止に 至った経験を 忘れてない
コロナが 蔓延すれば 検査機も無い
入院ベッドも無い 治療薬も無い
人工呼吸器も無い 医療技術も無い
重篤な場合 死を覚悟するしか ない
「表に 出られないから」
「表に 出られないって 日本語」
フィリピン人 アメリカ人とか 欧米人って
日本人と とらえ方が まるで 違う
一人 一人の 意識だけで なく
市民の社会生活を 破壊させる 危機
強いリーダー サラ市長の 経験や思い
感染を未然に防ぐ 封鎖措置が とられた
ミンダナオ島を 他から 完全に遮断した
貧困の家 日給で 職を失った人へ
米 缶詰 袋麺の配給に 素早く動いた
困窮家庭への 現金支給も 始る
外出時は 全員 マスク装着の義務
顔に 色とりどりの 花が咲いた 南国
路上でも 100円で マスクは 手に入る
マスクは ウイルスから
自らを守るという 証拠は ないが
他人を守る意味で 理に かなっている
次々と 街中の店が 閉鎖する中
食料品を 買い求めなくては ならない
開いていた 近所のスーパー SAVE MORE
入店制限 中に入るのに 30分は 待たされる
シニアの外出は 禁止されている の だが
シニア優先の列が あった 待つ事なく 入れた
カートを 店員が 懸命に消毒している
混雑する客で 品出しが 間に合わないのか
品薄に映る それが 買い物客の 不安を刺激
小さな パニック 商品で カート満載に した人
変わらない いつもの スーパーの 買い物風景
買い占める お金もないから 平穏が 保たれる
レジには いつもの何倍もの客が 寡黙に並ぶ
1メートルの間隔を 空けて 長い列を 作り
待たされた 人間観察で 暇つぶし
75ぐらいか 米国人だろう 長身のジイさん
20歳後半の 小柄な奥さんを 列に並ばせると
親鳥が 小鳥にエサを 運ぶが ごとく
何度も 行ったり 来たり 商品を集めてくる
このジイさんの 小細工 小賢しく 可笑しい
レジ姉さん 私語もなく
一心不乱に 手が動く 動く
袋詰めの アンチャンを せかす
今後 封鎖が 長引くようで あれば
毎朝8〜9時まで それに 特定の曜日を
高齢者や妊婦 障害者 医療関係者などに
買い物時間 曜日を 限定して くれれば
混雑が 防げると思うが サラ どうですか
「ウイルス いつ 収束しますか?」
誰もが 最も関心を抱く 疑問
SARSは 終息まで 1年かかった
世界中の専門家が 研究したが
どうして 終息できたのかが 分からなかった
中国の感染爆発は 約4週間で 止んだ
韓国は 3週間で 収まっている
イタリアも 感染爆発が 始まってから
約3週間が 経過
新規感染者は ピークを 過ぎたように 見える
各国の対策は ほぼ 同じなので
早期に対策を とれば
感染爆発は 4週間程度で 収まる
その 予測は 正しいのか?
であるなら ヨーロッパと米国での
感染爆発は 4月中に 終わる 可能性が ある
しかし それで 問題が 終わるわけでは ない
コロナが 急速に広がる原因は
だれも 免疫を 持っていないことと
どこにも ワクチンが ないこと
もし 人口の 7割前後が 感染すれば
その人たちは 免疫を獲得して
感染拡大は 止まる 集団免疫
欧州各国では
集団免疫に なることを 国民に説明している
集団免疫を 獲得するまで 感染は 解決しない
そして ワクチン
効果ある 安全なワクチンを 開発
大量生産し 世界に供給するまでには 2年
それまで どうしたら いいのか
今の所 それは 誰にも分からない が
コロナのインフルエンザ化を 待つしか無い
ワクチンが開発され 治験を経て
接種開始されるのは 急いで 1年8ヶ月後
各国の 五輪選手団が ワクチン接種を 得て
ウイルスを持ち込まず 日本に入国できるのは
2年以降になる 東京五輪は もう出来ないだろう
フィリピンの ピークは
数週間後にくる 可能性が 高い
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今の ギスギスした空気
トンチンカンな 政治決断やら
根拠なき 噂話やらに へきえき
世界中に 感染が 広まって いるのに
その現実に 目を背けるように
「五輪7月開幕に向け 粛々と準備を進めます」
その発言が 世界各国の選手 指導者
競技団体の反感を 買った
選手の命より 金満五輪を 優先
世界から 突き上げ 信頼を失った 東京
状況判断 情報発信の稚拙さに
選手を はじめとする 関係者は 振り回された
「完全な形で 開催する」 あくまで 言い張る
総理は 強気なコメントを 執拗に 続けてきた
選手と 国民は 白けていた
コロナで延期 と 早くから 感づいていた
フィリピンでも それどころじゃない
入国制限や 外出禁止が 始まっている中で
誰も 五輪の事など 頭の隅にも無い
G7の首脳会議 新型コロナ対策で
国境封鎖などを 議論していたにも かかわらず
『完全な形で 五輪実施』など 言って 正気か
世界が 呆れた 安倍政権の「五輪命」
G7の首脳たち 日本という国は
命よりも 経済五輪を重視する 国なのか
冷笑の視線で 日本を 見ていた
コロナ世界感染で この場で 五輪開催を
検討すること 自体が 不見識で異常
それが 突然 総理は 手の平を返す
「今 オリンピックを 開けるかと いったら
世界は そんな状態では ない」と 述べ
開催延期を 認めた なんだ この人・・
コロナ上陸の 一報から 2カ月半の迷走
延期決定を 決めなかった
国内の 政治的な思惑
IOCに入るはずの 莫大な 放映権料の分配
経済的損失を どうするか といった
躊躇から では なかったか
小さな東京五輪が 評価され 誘致できた
それなのに「五輪を 巨大化させた」
国民の税金が 際限なく 費やされている
こんな運動会に 興味が湧かない
そんな 人たちだって 多くいる

世界に 大嘘も ついた
誘致の際 福島原発事故の 汚染水に ついて
「アンダーコントロール」と 胸を 張った
今日も 汚染水は 絶えず 発生し続けている
放射性物質のトリチウムは 残ったまま
汚染水の貯蔵タンクは 増え続け
2年後の夏に タンク用地は 満杯になる
どこに捨てても 新たな放射能汚染
それでも 復興五輪 言い切れる か
五輪憲章 看板を汚した 張本人 極まれり
延期でなく 中止に なれば
莫大な利権も 絡んでいるし
政権を担いできた財界も 黙っては いない
しかし 原点に戻って 冷静に考える
一部の連中の 利益のために
なぜ 国を挙げて 踊らされ
バカ騒ぎ しなければ ならないのか?
総理引退の花道を飾る 五輪だ そうだ
その事しか 考えて いないのだろう
安倍五輪なら 自分の金で 開催しろ
これは 世界のイベントなんだよ
あなたは ただの 幹事役に 過ぎない
強気な 精神論ばかり通し それで 延期
奢れる者「赤っ恥」で 今 落胆だろう
JOCは 政官財の 天下りポスト
安倍は アメとムチを使う 天下りの守護神
役員利権は安泰 言いなりに 動かしてきた
五輪延期を聞いた 小池知事
すぐさま 首都封鎖という 強い言葉を 使った
感染者数を 小さく見せる必要が なくなり
むしろ 危機を あおって
強いリーダーシップを 演出した方が
得策と考え 記者を従え 総理を訪ねた
即行動 政治家に 求められる
重要な 資質なのだろう
都知事選が 近づくほど
都民の税金を使った CMなどで
小池知事の「やってる感」を
見せつけられる機会が ますます 増える
安倍総理 最後のあがき
緊急事態宣言 首都圏封鎖
東京を強制的に クリーンアップ
五輪中止など 絶対に させない
封鎖終了は 3週間後 4月19日は
フィリピンの封鎖解除と 同日
フィリピン人は 耐えただろう
都民は 耐えられるか
五輪と政権維持への執着 その犠牲
3週間後 東京が 無事である事を 祈る
感情的に なってないか?
少し イラついている
将来の日本に 期待しすぎ なんですよね
思いどおりに ならない事のほうが 自然
自分本位な 人って
自分を 小さく扱っている
あらゆることに 期待して いない
自己中心では ない 自分本位な 人
無理をせず 未来に期待せず
つねに ゆとりが ある
身近に見入る 自分本位な人 タモリ
のびのびと 好きなことに 打ち込んでいる
「無理しない」という 良しあしを 考えてる
無理したり 期待したり
そんな事に 係りっきりに なれば
人は 変な方向に導かれ 道を見失う
無理をせず 期待をせず 自然態
自己本位ぐらいが ちょうど いい
信じられないくらい 穏やかな気持
国にも 自分に 期待しない
そして 相手にも 期待しない
そのかわり
自分が 好きだと 思うことや
嫌だなと 感じることは
我慢せず しっかり伝える
伝えるには 伝えるための 言葉が 必要
そこに 感情の爆発は 必要ない
そうだったな つい カッと なっていた
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何が あろうと 知らぬ 存ぜむ
自粛など 知らずに開花した けなげ
桜の名所に マスク姿の花見客
密かに 楽しんで いるのだろう
最初のうち こそ
国難めいた 上からの指示に
素直に 従っていた 日本国民も
コロナを 政治利用しようとする 気配に
信じられない と 反撥を 憶え始めていた
政治と政治家の劣化 メディアの後退
無力感に 浸ってる 場合じゃない
年末 年始の 頃までは 大騒ぎし
行列が できていた タピオカ専門店が
今では 訪れる客とてない 静けさ
あれって なんだったの
令和を 生きる 日本人って 何者?
コロナで アルバイトの 賃下げ交渉
あちこちで 始まっている らしい
店で 働いている 人たちも
客の姿のない ガラガラの現状を
目のあたりに している
オーナーの申し出を 一蹴できない
フィリピンなら 当たり前の 働き方
日給で働く人が 是程多く 日本にいたの
コロナにより あぶり出された 影の社会
そうした境遇で 働く 現実
弱い人たちへの まなざしが
ほとんど ないような 政治が
日々 行われてきた
今回の コロナでの
経済損失を 政府が 補償する
その ニュースに 接して
諦めの呟きを もらす人が 少くない
日給の立場で どんな 手続きが
どのような証明が 必要かを 考えると
最初から 自分たちは 関係ないと
肩をすくめる者が どれほど 多いか
コロナは 弱い部分から
さらに 弱い部分に 伝わっていく
自分の生活と 自分の生き方を 守る為の
選挙だって ことが
自分の一票が どれほど 意味あることか
コロナの ことで 実感してる
この 4 5月を どう乗り切るか
自粛生活に いつまで 耐えられる
深刻になっていく 世界の憂鬱
もう 我慢なら ないと 限界を超える
商品強奪 暴動が どこかで 起きる
世界中に 広がっていく 懸念
フィリピンの コロナ対処
フィリピンに住む 日本人から 見て
挙国一致感の 成立だった 見事な動き
カッコいいとさえ 思った しなやかさ
しなやかさ?
柔軟さかな じっと 耐えてるもの
強さと 弱さの両面を 持つ フィリピン人
強さと弱さの両面を 持ってる
何かに「狂えてる」人 かな
ただ 狂ってるという ことじゃない
「俺は ドゥテルテが 好きなんじゃない
その ドゥテルテに なりたいんだ」
と 言う 若いヤツに 対して
「あいつ 狂えてるな」って 感心する
その 何かに 夢中になって
「狂えてる」様に 魅力を 感じる
地元で バイク野郎が
ヘルメットに びっしりと 長い角を 貼付け
前方には 小型カメラを 装着させていた
そんなヤツ 発見した ときも
「こいつ 狂えてるな」って 感心した
人間 いつ 死ぬか 分からないし
誰の目も 気にせず 生きてる ほうが
南国人らしく カッコいい
おかしなことを 言ったり
やったり しているのに
そんなヤツ見ると なぜか
自分も いい気分に なってくる
そういう 狂えてる人にも
そうなるまでには いろんな
人生の機微が あった はず
社会の仕組みから ふきこぼれた人に
いろんな ストーリーが ある
くさらず その結果 狂えているのなら
カッコいい
端っこで ダークな雰囲気を 醸し出してる
そんな ヤツが 気になっちゃう
「正しさ」だけだと 生きられない
フィリピンかも しれない
優しくて 動物的
そういう野性が 残ってる 感じは
生物として 魅力的
いくらでも
「正しい答え」が できる 人なのに
「人生は 短いから そんなことに
答えたくないし 考えたくないわ」
そんな事 言われたら どうします
「つまんない ことで
人生を 浪費したくない」って こと
すごく柔軟 それこそ しなやか
ユーモアが あるところも いい
「やし酒飲み」の 神話的な 世界観
だから 彼女は 普通の日常を 物語にしてる
そういう姿勢も 大好き
人生の素敵な瞬間を
自分の中で うまく処理している
自分の人生を 良く見せようなんて
していない
日本人は 真面目すぎて
生き方を 決めちゃうと それに 縛られる
だから 自由な状態で いたい
現代社会は
ものすごく スピードを 要求する
読書なんか 時間が かかるから
本も 読まない
日本人は「待つ」行為に 集中しない
有名じゃない
ダバオ 地元のローカル・ビーチ
本当に 人が いなくて
でも チケットを売る おっちゃんが いた
いつ 誰が 来るか わからないのに
おっちゃんは 椰子の木陰の椅子に 腰掛け
水筒だけ 持って ただ 客を 待っている
自分だったら
時間が 勿体無いから
本読んだり してしまう
ただ「待つ」という 行為に
集中してる おっちゃん
待つ事に 長けている
ビーチから 家に戻って
自分も「待つ」ことに 集中してみようと
カップラーメンに お湯を入れた
出来上がるまでの 時間
その数分すら 集中できなかった
じりじりして 待てない
自分に ちょっと ゾッとした
極力 家にいる
ストレスで 食べる 動かない
太る 寝る SEXする
ドラえもんの よう 愛嬌ある体型になる
右を 向いて寝転がる
左目から 涙が 垂れてくる
それを 右目に入れて 左に寝返りを打つ
右目から 涙を垂らして 左目に 入れる
そして また 右に寝返りを 繰り返し やり続けた
コロナの副作用
感染爆発が 終われば ベビー爆発
来年 到来する 病院崩壊
自粛の 長い時間を 耐えてきた
コロナ嵐が 過ぎ去るのを じっと 待っていた
そして 明けた 朝陽の輝きに 歓喜するだろう
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外出制限 あり余った 時間に対して
妄想にふけるか 食べるくらいしか
他に することが ない
経験したことが ない 封鎖措置
そこから来る 不安のせいで
つい食べるものに 手が出てしまう
食べられなくなる かもしれない 不安
食べられる うちに 食べておこう
心理が 働いてしまう
カツ丼喰える程度の憂鬱
食事時が 近づくと
ただ 食事を作る義務を こなし
『出来たぞ 飯〜』と 言う
自分への号令だけが 毎日を繋ぐ
『カキフライ~』初めて 食べたとき
自分は 25歳で もうまもなく73に なる
その間 いろいろありました
いま ダバオに居て 自粛している 自分
蕎麦屋にいて 食べ終わって て・・
『蕎麦湯が 来るのを 待っている』その感じ
コーラを好む 老人の過去
路上で 卵の殻を 剥いていた老人
同じ風景が 出てきても
見えてくる情景は まるで違う
外出制限の 成果が 出るまでには
まだ まだ 長い長い時間が 必要
カレーの香りに 孤食の寂しさを 補う
学校からの 帰り道
どこからか カレーライスの 香りが
急に 腹が減り うれしい気持ちに なった
台所から スパイシーな
香りが してきた時の 気持ち
「あ! 母さん 今日カレー」と 聞いて
飛び跳ねるように 喜んだ
寂しくもある
独り身を養う 今は もう 味わえない
一人暮らしの家で
作って食べることも できるけれど
やはり 何か違う
市販のルウの 半量で作っても
3、4人前は 出来てしまう
しばらく カレーの日が 続く
2日目までは おいしい
その後は 食べる義務に
そして 腐らせて 捨てる
心が 折れそうになる
それでも
久しぶりに カレーを 作ったら
3時間以上 かかって しまった
父親ほど 年の離れた
彼氏の ジジイと 付き合っている
貢ぎ体質の アンさん
不器用に生きる ジジイを 好いた
二人の 出会いは
アンさんが アルバイトしていた スーパー
最初は レジで見かける だけ だったが
ジジイが 万引き しかけた 時
アンさんが 見つけて 声をかけ
未然に 防いだのが きっかけ
その後 会話するように なった
ある日 アンさんが
ジジイの カゴに入った 食材を 見て
「今夜は カレー?」と 聞く 重ねて
いつも 1人では 食べ切れない量の
食材を 買っていくことに ついて
「奥さん 病気か なんか?」と 質問した
ジェスチャーで 1人だと答える ジジイ
内縁の妻子に 逃げられていた
「でも いつも 2人分 買ってくじゃない」
「2人分 作るから」
「へえ そんなに 大食なんだ」
「いや 2人分作って 残す」
「残して どうすんの」
「捨てる」
「捨てるって だったら
最初から 半分だけ 買えば いいのに
お肉だって この半分のパック 売ってるわよ」
「2人分 作って おくとさ
誰か 今夜 来そうだなって 感じが するんだよ」
「でも 結局は 捨ててるんでしょ」
「誰も 来ないからね でも 寂しいんだ」
この やり取りの後
鉛筆みたいに やせ細った 姿で
もの寂しい 返答をする ジジイに
アンさんは 思わず
「私も 今夜 カレーが 食べたいって 思ってたの」
そう 告げた
アルバイトが 終わった 後に
彼の家へと 押しかける
食べていても 孤独な時間に ならず
アンさんが そばにいて
目配りしてくれるので 安らぎを 感じていた
こぢんまりとした 食卓が 落ち着く
心を満たす 料理には
誰かとの 温かいつながりが ある
万引きを してしまうほど 弱り切った
孤独なジジイと 一緒に ご飯を 食べて
アンさんは ジジイを 元気づけたかった
アンさんが いれば
誰のために 作ったわけでもない
手料理を 1人で食べる わびしさも
残りを捨てる 寂しさも 埋められる
1人で 食べ切れず
捨てる体験が 続くと 心は傷ついていく

ご飯を 食べる ことには
目や舌 胃袋を 満たすこと以上の 意味が
人は 食べることを 通じて
誰かとの 温かいつながりを 感じたいのだ
自分に とって カレーの 匂いとは
うれしい思い そのもの・・
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