前々回に引き続きマスクおやじのお話です。
最初の出会いから2ヶ月ほどで、マスクおやじに遭遇しまくるようになってしまったペルナンド。
その後も彼はなぜか常連のように私が務めていた百貨店を出入りするようになったのでした。
マスクおやじはとんだ試食魔で、方々の店で許容範囲ギリギリの試食を繰り返していたことにより、徐々に要注意人物に。
そのうちどこの店もマスクおやじの姿が見えるとサッと試食を下げるようになりました。
その度に
ねぇ!今日試食ないの?!
と叫ぶマスクおやじの声が。
私の感覚も「おもしろい人」から「厄介な奴」に変わっていきました。
これは私が実際に体験した話ではないのですが、ある日マスクおやじはお連れ様らしき人を連れて来て
違う店舗の綺麗な女性店員の所に
コレ俺の息子!イケメンでしょ!
と紹介したらしいのですが
マスクは着用していないものの、なんとその額はマジックのようなもので真っ黒に塗られていて大変に不気味だったというのです。
※その人からの証言で描いたイメージ
うちの息子と結婚しない?
と一言も言葉を発することのない息子に代わり、店頭で間接プロポーズを繰り広げたのだそうです。
なんとシュールでカオスな出来事なのだろう。
※この日のおやじのマスクはエイリアン
その光景を見られなかったことをたいそう悔やみました。
でも社員さん曰く
息子意外とイケメンだった。
とのことです。爆
その後マスクおやじは頻繁に百貨店を出入りしていましたが、ある時催事場のプラグで携帯を充電し電気泥棒をはたらいた事によりあえなく出禁に。
そして彼を見ることはなくなりました。
それから2ヶ月後
マスクおやじの存在も忘れかけていた頃
私は大学から車で友人を駅に送り、途中のコンビニに寄っていたのですが
そこに先ほど送り届けた友人から1通の画像付きメールが。
開いてみるとそこには
法に触れるほどに荷物を積載しまくった軽自動車の前で、ピースサインをキメるマスクおやじの姿が。
ええええええ!!
ちょ、ちょっと!コレどうしたの?!
と聞くと
さっきペルちゃんの車からおりた後に会っちゃって
と。
なんかけったいな車が停まっているなぁと思って何気なく見ていたら、その車から颯爽と降りてきたのがマスクおやじだっだのだそうです。
ハッとした彼女はとっさに隠し撮りをしようとしたらしいのですが
うっかりマスクおやじとバッチリ目が合ってしまい
うわ!やばい!!
と思ったその瞬間
撮っていいよ!
と自主的にポーズをとり始めたのだとか。
え…あ、いいです…すみません…
と友人は怖くなってお断り申し上げたのですが
俺有名人になりたいからさ!撮った写真ミクシーとかホームページにあげていいよ!!
と一方的に話し続けるマスクおやじにしょうがなく撮ったのが
この1枚なんだそうな。
なんという衝撃的な体験。
やはり彼は有名になりたいという願望を内に秘めていたのか…。
しかし
その一件を最後に、彼は街から忽然と姿を消しました。
今どこでどうしているのだろうか。
約半年におよぶ幻か。
いや
私だけでなく、多くの人が目撃しているし
幻ではなかろう。
そんな奇妙なマスクおやじのお話でした。
最後までお読み頂き誠にありがとうございました。
これ以外にも奇人変人との出会いは数多くあったので、思い出したら時々書いていこうと思います。
それではまた次回。