コロナ禍の生活

◎映画『空気人形』について

映画「空気人形」の事を書きたいと思う。

いや、他にも書きたい事がいっぱいある。

ツイッターの限られた文字数では書ききれない想いや感情がいっぱい溜まってしまった。

ちょっと書いてみます。

 

と言うことで、もう随分前に引退した踊り子さん(ストリッパー)の吉沢伊織ちゃんの10周年記念の時に貰ったボールペンで、この文章を書き始めた。(以前、ブログを書く時にはiPadに直接書き込んでいたのだが・・・)

周年記念ボールペンなんて、ほとんどは安物で、家にはもう、ザクザク、ザクザク、いっぱい使い切れない程あるのだが、このボールペンは気に入っている。

黒と赤のボールペンとシャープペンシルまで付いていて割りと優れモノだと思う。

書き心地が良いので、替え芯まで買って、随分長く使っている。

 

今回、久しぶりにブログを書きたくなり、またネタが映画であると言う事で、長くなるなーと思い、下書きをする事にした。

 

それと、現在(2021年2月15日)の自分の考え方と生活についても少し書き残して置こうと思う。

 

えー、僕が今、スト客(ストリップファン)の間では劇場と呼ばれるストリップ劇場にあまり行ってないのは、ただひたすらコロナの感染が怖いからです。

僕はもう年金を貰っている年寄りだし、持病(糖尿病)がある。

どー考えても、感染した場合死ぬ確率は25%位はあると思う。

その上、僕の周りには感染させたくない人や子供達がいっぱいいるのである。

つーわけで、ワクチンを打つまでは、以前のように遠くに出掛けるのは止めようと思っております。

でも、まあ意思の弱いワテなので、いろんな誘惑に負けるかも知れんが・・・。(笑)

 

 

ワテはまだまだ生きていたいのだ!

ストリップを観たい!

アニメもマンガも観たい!

映画を見たい!

世界中の映画を、まだまだ見たい!

日本映画はもちろんの事、アメリカ映画、フランス映画、イタリア映画、ヨーロッパの映画、ロシアの映画も良かった。

アジアの映画、ベトナムの映画も素晴らしかったな。(青いパパイヤの香りは傑作だ!)

なかでも韓国映画は、凄いと思う。

アクション映画はアメリカを超えて最高なんじゃないかと思う。(つーか、アメリカ映画はCG使い過ぎててよー分からんのよ。日本映画もだが。)

 

世界中の綺麗な、それ程で無くても魅力的な女優さんたちを観たい!

 

推しの女優さんも出来たしね。

アメリカのエル・ファニングちゃんである。(お姉ちゃんのダコタ・ファニングちゃんも良いのだが…)

この女優さんの映画については、また後日書きたいと思っている。(ガルヴェストンで惚れた。)

 

日本の女優さんの推しも出来た。

小松菜奈ちゃんである。

この女優さんの映画に付いても後日書きたいと思う。(まあ、いっぱいあるのであるが、今のワテは、寝る前に、YouTubeで小松菜奈ちゃんの動画を観るのが楽しみなのである。)

 

西加奈子先生の小説を読みたい。

これ実は映画繋がりでハマったのであります。

小松菜奈ちゃんの出演した映画「さくら」にいたく感動したワタクシは、原作本を図書館で借りて読んだのであります。

で、読んでもっと感動しました。

あと、直木賞受賞の「サラバ!!」「円卓」「通天閣」「ふくわらい」「きりこについて」などなど読んだのだが、なんと言っても「きいろいゾウ」が良かった。

ぶっちゃけて言って、これ程感動した小説は、今まで読んだ事が無かった。

ストーリーも良いのだが、文章、それ自体が素晴らしい。

これ程美しい文章を僕は読んだ事が無かった。

小説の面白さを、この年で、僕は知ったのである。

 

映画版の「きいろいゾウ」もあって、宮崎あおいちゃんが素晴らしい演技で、良い映画だとは思うのだが、最後の方の少女の幽霊とアレチさんのエピソードがすっぽりと抜けている。

こここそ僕が一番感動した部分なので、ちょっと納得出来ないのである。(まあ、このシーンを撮ろうと思うと戦争中の空襲シーンとかが必要なので無理だったのかなぁ?)

 

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人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治、障害の有無など、あらゆる面での違いを尊重し、讃え受け入れる大会を運営します。

これはオリンピック・パラリンピックのジェンダーの平等に関する声明であるが、西加奈子先生の場合は、それだけで無く、生き方さえも全て許すと言う姿勢だと思う。

よーするに、どんなにしょーも無い(と他人に思われるような)人生さえも、存在理由があり、尊いものだと言っているように思う。

そう言う世界こそ、僕が考えていた事と凄く近いのである。

 

ホント言うと、ワテが考えている事は、もっと過激で、男性中心の世界(日本社会だが)の解体こそが必要だと思っている。

 

僕の人格を作ったのは、手塚治虫を含むマンガとか、音楽やニューミュージックマガジンとかミュージックライフの評論とか、映画とか、であると思う。

いろんな思想があるが、その中で、自分が好きな、共感出来るモノを選んできた。

そこに今現在、西加奈子先生の全ての人格と個性を全肯定する思想?が、スポンッとハマった感じがする。

そういう事でんなー。(笑)

 

あー、今この文章を書いているのも、西加奈子先生の影響が大きい。

西加奈子先生の小説を読んで、僕も久しぶりに文章を書きたいと思ったのであります。

 

今はいろんな小説も読みたいと思っている。

先日、「フランケンシュタイン」を図書館から借りた。

実はこれも映画繋がりで、エル・ファニング主演の「メアリーの総て」を観て、この小説を書いたメアリー・シェリーは、当時まだ18才の少女で、駆け落ちをして流産したりと、凄まじい人生を送っていた事を知ったからである。

 

図書館から借りた本が、まだまだある。

 

で、自粛生活は続くが、暇が無い。

時間が足りない位なのである。

ワテは、まだまだ死ぬわけにはいかんわい。

 

希望があるから生きていける。

ワクチンがあるじゃん。

ワクチンを打ったら、日本中に遊びに出掛けるつもりである。

 

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で、やっと表題の映画『空気人形』(2009年)の話である。

アマゾンプライムビデオで観たのであるが、映画館で観たかったと強く思う。

空気人形で、登場人物のレンタルビデオ屋のエロ店長が言うように、やはり映画は映画館で観るべきものなのだ。

 

原作は業田良家の『ゴーダ哲学堂 空気人形』

映画『空気人形』は是枝裕和監督、主演は韓国の女優さん、ペ・ドゥナ。

YouTube (笑っていいとも、懐かしかった。)で見た是枝監督の話では、是枝監督自身がペ・ドゥナの大ファンであり、映画化の4年前にラブレターを書いて出演を依頼したとの事。

ペ・ドゥナも是枝監督のファンだったとの事で、映画化となったらしいですな。

 

この映画は女優、ペ・ドゥナが居なければ、全く不可能であっただろう。

是枝監督が惚れたペ・ドゥナの美しさ、可憐さ、純粋さが結晶化されて、この映画には存在している。

奇跡のような映画だと思う。

 

キャッチフレーズは「心をもつことは、切ないことでした。」

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(ストーリー)

古いアパートで、秀雄はラブドールに「のぞみ」と名付けて一緒に暮らしていた。

ラブドール(オリエント工業のようなシリコン製のリアルラブドールではない。劇中で言っているように、ビニール製の時代遅れのダッチワイフである。5980円の空気人形である。)の女の子はある日、瞬きをして立ち上がり、窓の外の物干しの雫に触れ「キ・レ・イ」とつぶやく。

 

のぞみの誕生である。

セーラー服や水着や、いろいろ試着して、結局、メイド服で出掛ける。

彼女は、生まれたてなので、赤ちゃんと同じだ。

歩き方もぎこちないし、見るもの触るもの、全てが初めての体験。

楽しくて嬉しくて仕方がない。

チョコチョコとおぼつかなく歩く姿が可愛い。

精神的には赤ちゃんなので、散歩中の保育園の子供達と手を繋ごうとしたり、公園で子供達と一緒に泥団子を作って遊んだりする。

 

彼女は帰り道で、レンタルビデオ屋「シネマサーカス」に入る。

 

この辺まで観ると、彼女の純粋で可憐な姿にすっかり感情移入している僕は、彼女が持っていた傘の先で、DVDの棚を突くと、「あーそれやったらアカンでー。」とか言って観ているのである。(笑)

 

このレンタルビデオ屋で、彼女は店員の純一(ARATA、井浦 新)に、惹かれ、アルバイトを始める事になる。(履歴書とか、どーしたんやー?とかつっこんではいけない。ファンタジーなんである。シザーハンズと同じなんである。)」

 

人形の持ち主、秀雄(板尾創路、変態的演技は流石である)に、公園のベンチでキスされながら、彼女は思うのだ。

 

「ワタシは、ココロを持ってしまいました。」

「持ってはいけないココロを持ってしまいました。」

 

のぞみは、レンタルビデオ店シネマサーカスで、純一や店長の鮫洲(岩松了)に映画の事をいろいろ学ぶのである。

ここらのセリフは映画愛が溢れてますね。

店長の鮫洲は、「仁義なき戦い」が好きな気の良いおっちゃんだと思っていたのだが・・・。

 

店の前を通ったベテラン受付嬢、佳子(余貴美子)のストッキングの線を見て、仲間だと思ったり。(笑)

 

 

夜、秀雄に抱かれながら彼女は思う。

「ワタシは空気人形、性欲処理の代用品。」

 

あくる日、彼女は、化粧品売り場で化粧してもらい、ファンデーションを塗って身体に付いている継ぎ目の線が消える事を知って喜ぶ。

新しい服も買った。

 

毎日、新しい知識と発見がある。(成長中の彼女)

 

純一とデート(?)

初めての海に行く。

海辺で、ラムネの瓶を見つけて持って帰る。(どーやら透明で綺麗な物が好きなようだ。)

 

レストランで純一と食事するのだが、彼女は食べられない。

隣の席の少女が、ニンジン🥕を食べられずに、そっと捨てるのを見て、マネして捨てる。

気付いた少女とウインク^_−☆し合う。(笑)

 

隣の席の少女は誕生日、スタッフがケーキを持ってくる。

 

のぞみは、誕生日と言うものを知る。

しかし、同時に死と言うものも純一に教えてもらう。

 

純一と並んで歩くと、のぞみの影が透けて見える。

慌てて離れる彼女。

 

帰りのバスで眠りこけたサラリーマンに肩を貸す彼女。(優しいのである。)

 

純一の事をもっと知りたいと思うのぞみであった。

 

レンタルビデオ店での生活、謝ってばかりだが楽しそうだ。

以前に見た受付嬢の佳子を見付けると、自分のファンデーションを持って行き、線が消えると言って手渡す。(仲間だと勘違いしているのだが、やっぱ優しいのだ。笑)

 

公園で、孤独な老人、敬一(高橋昌也)と出会い、吉野弘の詩「生命は」を教えられる。

 

ペ・ドゥナが朗読するこの詩の内容こそが、この映画のテーマなんだろうな。

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街には、虚言癖のある未亡人(富司純子)、摂食障害の女性(星野真里)、覗きたがる浪人生(柄本佑)など、空虚で淋しい人たちがたくさんいる事を知るのぞみ。

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「仁義なき戦い」のテーマソングを口ずさみながら、レンタルビデオ店に出勤するのぞみちゃん。(可愛い!)

 

純一と映画の話をしながら楽しく仕事をしていたのだが、腕を釘に引っ掛けて破いてしまう。

みるみる萎んでいくのぞみ。

純一は、一瞬驚くが、セロテープで穴を塞ぎ、お腹の栓から自分の息を吹きこみ、のぞみを助ける。

 

純一に抱き付いたのぞみは、「もう少しこのままで・・・」と言う。

抱き合う二人。

 

あくる日、ポンプ式の空気入れを、捨てるのぞみ。

どうやら純一に吹き込んでもらった息(空気)を、ずっとこのままにしておきたいようだ。

楽しそうなのぞみ。

ゲームセンターで遊んだり、プリクラを撮ったり、遊覧船に乗ったり、最高の笑顔を見せる。

駄菓子屋では、きれいなオモチャの指輪を買う。

 

公園で、食事をしている佳子に、「ワタシね、年を取るのよ。」と嬉しそうに言う。

 

レンタルビデオ屋で、純一に「ビックリしたでしょう?でも、他にも結構いるらしいよ」と言う。

純一は「僕もだよ」と返事をする。

 

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あー、この辺で、悲劇の布石が撒かれてるよなあ。

のぞみは、ずいぶん勉強したけど、まだまだ子供だったんだ。

言葉をそのままの意味で信じる子供だったんだ。

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ある日、レンタルビデオ屋に来た秀雄を見た店長に、秀雄との仲を純一にバラすと脅かされ、トイレで犯される。

その最中も、無表情で仁義なき戦いのテーマソングを小さく口ずさむ姿が観ていて辛い。

事が終わった後、自分の手でオナホールを外して洗う。

のぞみはつぶやく。

「ワタシは空気人形、性欲処理の代用品。」

 

秀雄は新しいラブドールを手に入れて、誕生日ケーキまで買っていた。

押入れに入っていたのぞみは、怒って飛び出し、秀雄に心を持った事を話す。

しかし、秀雄に「面倒くさい、元の人形に戻ってくれ」と言われる。

のぞみは、秀雄の家から出てゆく。

 

孤独な老人、敬一の家に行ったのぞみは、彼が代用教員だった事を知る。

「代用品?」とつぶやくのぞみ。

おじいさんに、「触ってくれ」と言われて、下半身を触るが、実はオデコでした。(少し笑)

オデコに手をあてると、おじいさんは、「手が冷たい人は心が暖かいんだよ。」そう言ってのぞみを励ます。

笑顔になったのぞみ。

 

のぞみは考える所があって自分が生まれた工房に行く事にした。

工房で会った人形師の園田(オダギリジョー)は、「おかえり。」と言ってのぞみを迎える。

「ただいま。」と答えるのぞみ。

のぞみは、「何故私はココロを持ったのか?」と尋ねるが、自分にも分からないと人形師は答える。

「苦しい」と言うのぞみに、園田は、工房に帰って来たラブドールたちは、それぞれ顔が違っていると教えられる。

彼女たちもココロを持っているのかも知れない。

 

工房から帰る時、人形師は尋ねる。

「君が観た世界は、哀しいものだけだったの?

美しい、綺麗なものも少しはあったのかな?」

のぞみは、頷き「生んでくれてありがとう。」と言って立ち去るのだった。

 

純一の所に行ったのぞみは、「何でもしてあげるよ。」と言う。

すると、純一は、彼女の空気を抜きたいと言うのだった。

裸になったのぞみの空気を抜き、そして再び息を吹き込む純一。

のぞみは、自分も純一の空気を抜き、息を吹き込みたいと思い、純一のへそに穴を開ける。

 

血を流し、純一は死んでしまった。

「ワタシの息は純一の中に吹き込めませんでした。」

純一の死体を綺麗に包んで、ゴミ捨て場に置いたのぞみ。

 

「ワタシはココロを持ちました。」

 

あくる朝、自分の周りに彼女が集めた綺麗な物、ガラス瓶や、花や林檎を置き、ゴミ捨て場に横たわるのぞみ。

通りかかった少女が、自分の持っていた人形と、のぞみの指輪を交換する。

捨てられた人形を抱きしめるのぞみ。

空気の抜ける音がしている。

 

意識が消える前に、のぞみは夢を見る。

純一と食事をしたレストランで、誕生日のお祝いをしてもらうのぞみ。

のぞみが出会った人がみんな居る。

純一も居る。

みんな笑顔で「ハッピーバースデートゥユー」を歌ってくれている。

のぞみは笑顔で、泣きながらバースデーケーキ🎂のロウソクを吹き消す。

 

ゴミ捨て場。

倒れたのぞみが吐き出した息で、タンポポの綿毛が空に飛んでゆく。

綿毛は、たくさんの出会った人たちの所に飛んでゆく。

 

人形師の所では、風鈴を揺らす優しい風と一緒に、孤独なおじいさんは、おばあちゃんと知り合ったようだ。

秀雄の新しいラブドールは、のぞみが編んでいた毛糸の手袋をしている。(ラブドールの手が冷たいのを気にしてたのかなあ?)

摂食障害の女性は、窓を開け、ゴミ捨て場ののぞみを見て言う。

「綺麗!」

 

のぞみの優しさは、みんなに届いたのだろうか?

 

音楽はワールズ・エンド・ガールフレンドが担当していて、これも素晴らしい。

アマゾンプライムビデオで無料で観る事が出来るので、是非観て欲しいです。

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最新情報によれば、是枝監督は次回作にて、再びぺ・ドゥナさん出演の韓国映画を演出するらしい。

前回はフランス映画(だと思う)『真実』を演出した是枝監督。

今度は韓国映画か。

さすが国際的な監督である。

必ず、映画館で観るつもりである。

 

2021.2.15.