◉最初の衝撃後.ごく初期の機体の動きをフライトデータから検証する 


日本航空123便の右斜め後方.同高度から飛来した超音速機が垂直尾翼の直上至近を掠め飛んだニアミスと仮定。


超音速機が形成する強力な斜め衝撃波 [入射波-機首部と翼部の2段波]が日航機の垂直尾翼直上を掠めて通過する際、上部ラダー取り付け部の継ぎ目では入射波後の 反射波 が溝を越えるまでの遅延の間に隙間が拡がり、押し寄せる多層の圧縮波がその隙間に爆発同等の衝撃荷重を放射状に加え、前方へは2つの分力となって(前方への分力下方への分力)垂直尾翼を破壊しつつ機体を前方に押し出し、大きく上下に揺らしたとする。この事象を以下に説明する。


[第❶ 段階]

機体胴体を薄い金属の長い円筒と見立てると軸方向へは圧縮剛性が高い為、先ず①リア-フロントスパー間に働く前方への分力が機体胴体に加える偏心荷重が加わり、真っ先に機体を前方に押し出す力が働いた24′35″5〜機体胴体が凹形に反ってから回復した為、歪み応力により2段階の押し出しとなった。

[第❷段階]

次に①フロントスパー上部が力点、垂直尾翼の前方の胴体取り付け部を仮の支点として機首が作用点とすると、機首は初期には僅かに反り上がり、続いて右片揺れを始め24′35″7〜その後左回旋そして次に下向きに力が働き機首は下がった。下向き加速度の立ち上がりが鋭いのは反りの戻りと重なった為である。

右片揺れ)24′35″7  左回旋)24′35″9  

機首下げ)24′36″1

円筒に捻りの力や上から断面方向に剪断力を加えるので剛性の差により第❶段階よりも少し初動が遅れている。

この間にリーディングエッジ[機首前縁]最下部と胴体を結合するリンクが折損した。

[第❸段階]

最後に②下方への分力が垂直尾翼を介して機体後部尾部を歪ませながら遅れて下向きに力を加え、機体の重心(22.8%MAC)を支点として機首を大きく上げて戻った24′36″4

この間に垂直尾翼の2/3が損壊し機体尾部は脱落した為、重心は前方に[22.8→20.2%MAC]移動した。


以上、フライトデータ上. 右斜め後方からの衝撃力が垂直尾翼破壊の原因であることに、矛盾なく合致する結果になる。


[補足]

この時間差は金属円筒の剛性の性質と重心が可動性である為に生じた事象である

第❷段階につき付録5.付図1DFDRでは機首は24′35″7〜僅かに右への片揺れを始めたことになり、これは垂直加速度が微増を始めた(機首が反り上がった)時刻にほぼ一致する。そして横方向加速度が初めに24′35″7〜右向きに生じたことはその右片揺れに一致する。それに続く左向きの横方向加速度24′35″9〜は左回旋の始まりを示している。

また、この右片揺れに横滑りは伴わないため復元モーメントは働かず一定である。続く回旋(ロール)は上反角作用と減衰モーメントが少ない為、収まりが遅れて左右の小さなロールを34回繰り返している。


事故調は異常外力の重心回りのモーメントはないと仮定し、また胴体の弾性モードの連成を省略した。しかし調査には航空構造力学を踏まえた解析が必要不可欠と考える。


偏心荷重Aが胴体軸方向に曲げモーメントを掛けながら押す.この場合胴体は下を凸に反る。
支点を中心に機首下げのモーメントが生じる.

重心周りに機首上げのモーメントが生じる.