基本的にはAlgeo and Tribovillard 2009 Chem Geolの内容。

 

モリブデンもウランも海水ー堆積物中の酸化還元環境に敏感に反応する元素で、酸化的な環境では液相中にイオンとして溶存しており、還元的な環境では固相に変化する。

 

モリブデンは酸化的な海水中ではモリブデン酸イオン(MoO42–)として溶存している。このような状態は鉄やマンガンのオキシ水酸化物(FeOOH, MnOOH)に吸着する。

もう少し具体的なことはKashiwabara et al. (2011, Geochem Cosmochem acta)に書かれていた。鉄オキシ水酸化物に吸着する場合は外圏錯体(鉄や酸素原子と化学結合せず静電引力で弱くくっついている状態)を形成するが、MnOOHとは内圏錯体(化学結合によって強くくっついている状態)を形成している。

酸化的な海水中ではこのようにモリブデンをくっつけて鉄マンガン粒子が沈降して堆積物へと運ばれることがある。

 

一方でウランは鉄マンガンとは吸着しない。というのも、ウランは酸化的な海水中では海水中の炭酸イオンと錯体を作り、環境中で非常に安定な三炭酸ウラニル錯体として溶存しているのである(Langmuir, 1978)。 

一言で酸化還元に敏感と言っても元素によって独自の動態を示すことがわかった。

 

ちなみに還元的な環境になると、モリブデンは硫化物イオンとなり(チオモリブデン酸イオン)、そのままモリブデンの硫化物として沈積することもあるらしいがそれは非常に稀で基本的には硫化鉱物、主に硫化鉄中に吸収される。

Mo-S-Feキュバン クラスターとなると簡単には溶解せず、堆積物中に長らく保存されるとのこと。

 

一方でウランは硫化水素と反応して酸化物として沈積するか、フミン酸など有機物と錯体を作り沈積する。基本的には後者の形が多いらしい。

つまり、堆積物中ではモリブデンは硫化鉱物量と、ウランは有機物量とよく相関することが多いのである。