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この数日で、芸能界と格闘界の大スターがこの世を去った。


SNSを見ていると目に入る、「心からご冥福をお祈りします」。数日だけで万単位の人が遣った言葉ではないか。

心から冥福を祈る気持ちになった時、心からご冥福をお祈りしますという言葉は、ふさわしいのだろうか、とふと考えた。
「心からご冥福をお祈りします」という言葉それ自体は、もはや定型文だ。
定型文は使い勝手がいい。文の体裁を整える役割がある。みんなが遣う。自分もよく遣う。遣わずにはいられない。

しかし。こと人の生き死ににおいて遣われる定型文というものには、正しく気持ちを言い表わせているのだろうか、と疑問に思うことがある(通夜や葬式で読まれるお経は最大の定型文といえなくもないが、お経は個人的な気持ちを表したいという目的とはちがうから別の話だ)。

もちろん「心からご冥福をお祈りします」も適切な言葉だからこそ定型文化したのだろうが、皆が一様に「心からご冥福をお祈り」しているのを見ると、うーん……べんりな言葉を遣って締めくくってるなあ、と。
言葉って他者への伝達手段であると同時に自分への伝達手段でもあると思うから、定型文で一種の始末みたいなものをつけてしまっていいものだろうかと首を傾げたくなる。
「心からご冥福をお祈りします」は、ちゃんと気持ちと直通か。とても個人的な感情を抱えている時に、一般的な言葉を遣っていいのか。

でもやはり、本当に心から冥福を祈っている時、「心からご冥福をお祈りします」という言葉はなかなか遣いたくはならないんじゃないか。それか僕が、「心からご冥福をお祈りします」という言葉を本当には理解出来ていないか。たぶん、どちらかだ。