FAUCHONの紅茶のパッケージをみて
今日ふと思い出した少し切ない出来事。

小学校の1年から3年生まで
島根県の小学校に通っていた。

はちのこ800人!というフレーズが今でも残ってる。
蜂の巣をイメージして、
教室が六角形で800人の生徒が通う大き目の学校やった。

小学1年生になるとき、
授業に使う粘土とかクレヨンとか全部一式入った
お道具箱をもらった。
その中におはじきもあったのです。

そのおはじきは、
赤・黄・青の3種類、原色使いで
お花の形をした、真ん中に磁石が埋め込まれているもの。
ホワイトボードとかにもくっつくようになっている
みんなお揃いのおはじき。


わたしはそれとは別に
おばあちゃんからもらったおはじきを持っていた。

学校のおはじきと違って、
透明で水色とか赤のカラフルな線がガラスの中に閉じ込められて
つるつるしたおはじき。

それをおばあちゃんは、
ちっちゃいFAUCHONの缶に詰めてわたしにくれたのです。

わたしはそのおはじきが大好きだった。

学校の自分の机の引き出しに、
いつもその缶を、学校のおはじきと並べていれていた。


ある日、学校で算数の時間になったとき、
学校のおはじきはあるけど、
FAUCHONの缶がなくなっていた。

単純に悲しかった。

なくしたんだろうと思ったから。

おばあちゃんにも申し訳ないと思った。
せっかくわたしにくれたのに、
まるごとなくしちゃうなんて。

数日後、
かなこちゃんに呼ばれた。

ガラスのおはじきを2枚手渡された。

「これ・・」

「みほちゃんがくれた。
けど、返す。」

「残りのは?」

「みんなで山分けした。
けど、悪いことしてるとおもって、
わたしはわたしの分を返しに来た。ごめんね。」

数日後、

最初の3分の1くらいの数のおはじきがはいっていて
みほちゃんのフルネームが油性ペンででっかく書かれた
ボロボロのFAUCHONの缶が戻ってきた。


みほちゃんになんていわれたか
なんで戻ってきたのか、
わたしがなんていったかも覚えてないけど、

ボロボロなっててすっごい悲しかったのと
フルネーム書いてることへの驚きと
戻ってきてうれしかったってのと
こどもながらに複雑な気持ちになったのです。


小学校1年生なんて20年くらい前のことなのに
校庭の木も、西日の強い下駄箱も、
教室も、あのときの2人の名前も、
お家でのお母さんのことも
缶も鮮明に思い出されるのです。


今となってはもう
そのおはじきどこにあるかわかんないんだけどね。