ハーリーという黒い雌犬はスリムなボディーで、子犬を設ける1年ほど前から「妊娠しているような感じ? けれど、判らない。」と、家族中で言い合っていた。 このハーリーは成人した旦那の息子たちの一人が飼い主で、父親と考えられる犬は他ならぬもう一人の成人した息子が飼い主だ。 つまりは2匹とも、去勢施術を受けていない。
ある時期になってハリーは、庭でも目立たない工具置き場の棚の下に穴を掘るようになった。 家族中で「?」という空気が流れ、そんな中で、「妊娠しているような、していないような」という会話は相変わらずあった。 ハーリーの体系は相変わらずスリムで、乳が張っている様子が全くない。 が、例の日は突然訪れた。
仕事から帰宅した私が、庭から犬が枯れ葉を踏むような音が聞こえるのに気が付いた。 「庭荒しか? イカン!」と叱るために近づいてみると、あれまぁ、産まれたての子犬達とハーリーが枯れたヤシの木の葉の上に横たわっているではないか! 「ひぃやぁ~!」。 声には出さなかったが、気持ちはこんな感じ。 現実にはあり得ないような光景を見たかのような驚きであった。
子犬達の様子から、産まれてから30分も経過していない様子。 すぐさま旦那の息子Jのタオルを鷲掴みし、一匹ずつ子犬達を拭き、全員をテラスに移動させた。 そうでないと、攻撃的なグリーンアンツ(緑色のアリ)などから痛い目に遭わせられる可能性あると思ったからだ。 全ての作業が完了した時に、初めて「ハーリーは妊娠していた」ということに気付いたという、なんともオトボケな私であった。
この日は性別が分からなかったが、後に雄3匹、雌1匹と判明した。 まだ歩けない子犬達は奇妙な動きをしながら母親に近づき、乳を吸っている。 身体全身でモゾモゾと動いている様子を家族中で「ウジ虫みたい」と言い合った。 (夏場にキッチンにあるゴミ箱から湧き出てくることが多々あるので、それにソックリな動きであることに意見が一致) よって、この時点では”妖怪の子供”のような”宇宙から未知なる生物現る”という印象から、私達は少し遠くから彼ら達を見守った。
子犬の身体の各所、全てが「New!(新しい)」と感じる。 ”産まれたて”というのは、そういうことなのだ。

