昔、某大手家電量販店の本部に前任者の引継ぎで行った時の事です。


事前の話では本部バイヤーさんは「非常に気難しく、無理難題を吹っかけてくる方」と言う事でした。


当日はやはり事前の情報どおり厄介な方でした。根本的に「会いたくない」「早く帰って欲しい」と言うのが顔に出ていました。


ところが途中から態度が友好的になり、結局予定の30分をはるかにオーバーする1時間の商談となりました。


このバイヤーさんの態度が変わったのは私が関西の家電量販店の様子や各機器に関して話したり教えてもらったりしだしたあたりからでした。


つまりこのバイヤーさんは自分の働いている業界や担当している商品に非常に愛着のある方でこの手の話が好きだったのです。対してこちらの前任者はそういったことに知らないことが多かったりで納入価格の話に終始していたため「有効な訪問者」とは思ってもらえなかったようです。


考えてみれば当然の事で、忙しい最中に時間を割いてもらって自社商品の価格の話ばかりしていては先方のバイヤーさんには対して有効な話し相手にはなりません。


「あの人がくれば商談以外ににもメリットがあるなぁ」と思ってもらうのは肝心なことでそのネタとして手っ取り早く有効なのは「情報」です。相手と話しこめるような情報をどれだけ持っていけるかで状況は変わります。


商談の8割をこういった情報交換や雑談に費やせて、それでいて時間を感じさせなければ少なくとも次に続くような有益な商談になるはずです。新しいアイデアも出てくるかも知れません。


私はこの心がけでいたところ、当初はCDコンポ数百台の話で、それはまとまりませんでしたがそれ以外の雑談から携帯音楽プレーヤー数千台の話になりました。


常日頃から情報に多角的にアンテナを張り巡らし、自分なりに咀嚼しておくことが仕事の上では非常に重要です。

この不況時にテレビなどでよくアンケートや議論のネタになるのが「仕事に求めるのはやりがいか安定か」という内容のものです。


で、大抵は学生にアンケートや議論をさせるというものですが全く持って笑止千万。


その答えを求めて働くのに、働く前から答えなんて出るわけが無い。


働いてもその人の人生でおきる出来事によってその都度考え方は変わるものです。


例えば、やりがいを求めていた人が結婚、出産で安定を求めるようになるのも自然な成り行きです。


テレビなどでこのての話題が議論になった場合大抵結論が出ていないことからもお分かりいただけるでしょう。

まだ働いてもいない若者にそのような意見を求めるのは酷ってもんです。


親は「安定を」というでしょう。親は子供の幸せを願いますから当然です。


これから働く人には「やりがいか安定か」と言うことに関しては仮説程度に留めて実社会に飛び込んで自分だけの答えを見つけて欲しいと思います。

会社に勤めていると色々な人と仕事をすることになります。


中には納得のいかない上司や会社指示なども多くあります。


そういう場合黙って従う人と、面と向かって文句を言う人がいます。


結果はどちらも状況を変えることができません。文句を言う人は大抵は反抗しているという意識が無く、間違ったことに意見をしているという正義感のような気持ちがあるようです。


おかしいと思うことは黙っているよりどんどん言うべきですが問題は言い方。


言われた立場の上司の気持ちを考えてみてください。いくら正しいことでも部下から面と向かってズバッといわれて「はい分かりました」となるでしょうか?上司としては部下に言われて動くというのは多少なりとも抵抗があるものです。


「このような指示は間違っているので撤回してください。上にそのように言ってください」というような言い方ではいくら正しくても上司としては面白くないと思うものです。上司が動く気になるような言い方に改めるべきです。


指示や方針が間違っている場合は論理的に間違いを指摘するだけでなく対案を上司に提案するようにするべきです。いわゆる社内営業です。相手を納得させて動こうとするように持っていくのです。


社内に限らず相手に動いてもらうことは非常に難しいことです。「動かされた」という意識より「動いてあげた」という意識に持っていくことが成功の鍵になります。


「なんで間違っている相手にそこまで気を使わないといけないのか?」と思う方もいると思います。でも人間の心理ってそういうものです。全ての上司が懐が深い人ばかりと言うわけでもありません。


こちらの言い分を「クレーム」と受け取るか、「建設的な提案」と取ってもらえるかの差は後々にも雲泥の差があります。「文句ばかり言う人」と思われるとその後も信用が無く、話すらまともに聞いてもらえなくなります。「建設的な提案をする人」となれば信用は上がり意見を求められるようにもなるでしょう。


ちょっとした気遣いですが最終的に「自分の思い通りに事をすすめる」という目的に対してはこういった積み重ねがものを言うのです。