昔、某大手家電量販店の本部に前任者の引継ぎで行った時の事です。
事前の話では本部バイヤーさんは「非常に気難しく、無理難題を吹っかけてくる方」と言う事でした。
当日はやはり事前の情報どおり厄介な方でした。根本的に「会いたくない」「早く帰って欲しい」と言うのが顔に出ていました。
ところが途中から態度が友好的になり、結局予定の30分をはるかにオーバーする1時間の商談となりました。
このバイヤーさんの態度が変わったのは私が関西の家電量販店の様子や各機器に関して話したり教えてもらったりしだしたあたりからでした。
つまりこのバイヤーさんは自分の働いている業界や担当している商品に非常に愛着のある方でこの手の話が好きだったのです。対してこちらの前任者はそういったことに知らないことが多かったりで納入価格の話に終始していたため「有効な訪問者」とは思ってもらえなかったようです。
考えてみれば当然の事で、忙しい最中に時間を割いてもらって自社商品の価格の話ばかりしていては先方のバイヤーさんには対して有効な話し相手にはなりません。
「あの人がくれば商談以外ににもメリットがあるなぁ」と思ってもらうのは肝心なことでそのネタとして手っ取り早く有効なのは「情報」です。相手と話しこめるような情報をどれだけ持っていけるかで状況は変わります。
商談の8割をこういった情報交換や雑談に費やせて、それでいて時間を感じさせなければ少なくとも次に続くような有益な商談になるはずです。新しいアイデアも出てくるかも知れません。
私はこの心がけでいたところ、当初はCDコンポ数百台の話で、それはまとまりませんでしたがそれ以外の雑談から携帯音楽プレーヤー数千台の話になりました。
常日頃から情報に多角的にアンテナを張り巡らし、自分なりに咀嚼しておくことが仕事の上では非常に重要です。