2015年の冬の出来事。
師匠と共に、フランスのとても小さな田舎町にある一軒家を訪れました。なにやら柳のパニエを作っている人がその家に住んでいるとのこと。
私達が家の前に車を停めると、待っていましたかのように家の中から出迎えてくれた一人のおじいさん。
以前、師匠と師匠の奥さんのMFに、フランスアンティークの藤のパニエを探していると伝えたら、二人に「それだけは意味が無いから、あきらめた方が良い」と言われました。理由は、簡単に言うと入手する価値が無いとのこと。「でもね、柳のパニエなら良いと思うよ」、と言っていたのが3年ほど前。師匠達はずっと覚えていたようで、色々な人から情報を集め、そしてこの柳のパニエのおじいさんに巡り会えたのです。
柳のパニエのおじいさん、この道40年以上のベテラン。
誇らしげに、私達を倉庫に案内してくれました。そこには、完成を待つパニエや、新しい持ち主を待つパニエがぶら下げられていたり、並べられていたり。
それぞれに素朴で優しい表情があり、どれ一つとして、同じ形や大きさの物がありません。編み上げていく手順は同じであっても、人間一人一人に個性があるのと同様、材料の柳も一本ずつ形、太さ、色合い、しなやかさが異なるからだそうです。まさに一点ものです。さすが全てを知り尽くしていないと語れる話ではありません。
柳のパニエのおじいさん、材料となる柳も自分でパニエ用に加工しているのです。柳の枝は、加工する日まで、庭で「野ざらし」。枝の加工に、機械なんて使っていません。自分の経験と感性のみを信じ、ナイフで適当な太さと長さに整えるのです。
柳のパニエのおじいさん、基本、無理しません。気が向いた時に、コツコツと編み上げます。パニエの骨格を作ってしばらく固定させておきます。その間、時々他のパニエの編み上げ。柳のパニエのおじいさんの最近のトレンドは、二色仕上げ。原料の柳は皮付きのものと皮なしのものを用意し、所々に皮付きを使っています。持ち手、全体の骨格は、一番頑丈な作りとされる枝をそのままの作った仕様。この枝の加工がとても難しいと言っていました。
柳のパニエのおじいさんの30年位前に作った柳のパニエを見せて頂きました。下の写真の向かって右のパニエです。頑固なくらいにしっかりしていました。思いっきり横から力を加えても、一切歪んだりすることなく、不動のパニエです。こういうものが、一生ものといえるんだなぁと感じました。目利きの鋭いMFも一つお買いあげ。フランス人が認める本物の柳のパニエです。
こんなに素朴で優しい笑顔のおじいさんだからこそ、味のあるパニエが創りだせるのかもしれません。
柳のパニエのおじいさんの作品は、B-Roiにて販売を予定しています。準備に時間がかかりますので、しばらくお待ちください。









