
「首都のトップである都知事は24時間臨戦態勢だ。だから、都道府県知事で唯一、SP(警護官)がついている」
猪瀬氏は2012年12月から1年間、都知事を務めた。その経験を踏まえて、舛添氏の「(別荘通いは)まったく問題ない」という開き直りとも思える発言を疑問視し、都知事が都庁以外で仕事をする場合の3条件を次のように説明した。
「まず、緊急無線が敷かれていなければならない。次に、ポリスボックス(=要人の私邸などに設置する警察官の詰め所)も必要だ。最後は、緊急時を想定し、近辺にヘリが離着陸できる場所を確保しなければならない。この3点がそろっていなければ、危機管理上問題がある」
舛添氏は27日、湯河原の別荘に緊急無線があることは記者団に明らかにした。ただ、他の2条件を満たしているかは不明だ。別荘の映像や写真を見る限り、ポリスボックスは確認できない。
「別荘がテロリストに狙われる可能性もある。知事の警護は警視庁の管轄だが(湯河原での)警備態勢はどうなのか」
さらに、週刊文春のスクープ記事では、舛添氏がほぼ毎週金曜日、都庁を午後2時~3時台に離れ、公用車で湯河原に向かったと記されている。猪瀬氏は続けた。
「私が知事のときは、忙しすぎて毎日夜遅くまで都庁で仕事をしていた。別荘からメールで指示することもあるのだろうが、金曜日の午後に別荘に行くというのは、『私的』と言わざるを得ない。おかしい。舛添氏は金曜日の定例記者会見を終えて帰っているのではないか。都知事の仕事は、ほかにもたくさんあるはずだ。別荘で仕事をしているかどうかは、確認する術がない」
「公私混同」と批判される公用車の利用方法はどうなのか。
「公用車の利用記録は、情報公開で最も注視される内容だ。私も知事時代、私用とみられないように細心の注意を払った。別荘に公用車で直接行く必要はない。舛添氏は東京都世田谷区の自宅に戻ってから、私用車で別荘に行くべきだ」
最後に、舛添氏が海外出張で「要人の急な面会にも礼を失しないため」として、都条例の上限を超えるスイートルームを使用していることにも、次のように言い切った。
「要人や偉い人には、こちらから会いに行くものだ。向こうから会いに来たりしないので、スイートルームはまったく必要ない。私が知事のときは泊まらなかった」
猪瀬氏の話を聞けば聞くほど、舛添氏は都民の血税を、湯河原の“湯水”のように使っているとしか思えなくなった。