ツヅラセメクラチビゴミムシ(イツキメクラチビゴミムシ)
Rakantrechus (Paratrechiamalallum S. Uéno, 1970

熊本県五木村、川辺川付近に位置する九折瀬洞に産するメクラチビゴミムシ。

種小名は本種の生息地である五木村の民謡の五木村の子守唄“Lullaby of Itsuki”より。


本種の生息する洞窟だが、九州北部豪雨を受け、急ピッチで進められている川辺川ダムの建設により、洞口が水の中に沈んでしまうらしい。

それにより絶滅が危惧されている。


と、されている。


が、実際のところ本質的な“絶滅”には至らないだろう。

彼らの本来の生息地は洞窟のみでは無く地下間隙である。

洞窟の中に潜るという行為は彼らの生息地にアクセスする手段の一つに過ぎない。

もし一つの洞窟が水の中に沈んでしまったとて、

彼らは我々の手の届かない地下空間に逃げ去り、そこで命を繋いでゆくのだろう。

ツシマオオズナガゴミムシ

Pterostichus (Nialoe) opacipennis Jedlička, 1934

夜間ルッキングにて
対馬固有種。地下性とされているオオズナガゴミムシの中ではより浅い層に住むのか、ルッキングやPITで採集ができる。
沢沿いのガレ場などに生息していて、同所的に同じく対馬固有のツシマナガゴミムシが多数みられる。が、本種の方が圧倒的に個体数が少ない。ツシマナガゴミムシが居るからと言って本種が居るわけではないのが採集の際に留意すべき点だ。

 

夏は気温が高いせいか個体数が少ないようだが、秋になっていくにつれ個体数を増す。カブリモドキと活動時期が入れ違えなので同時期に両種を狙うのは少々難しい。

キンヘリアトバゴミムシ 2023/7/16撮影
Catascopus (Catascopus) ignicinctus Bates, 1883
大隅半島にて

国内分布:九州(大分、大隅半島、屋久島)
日本で記録のあるCatascopus属唯一の種。
タブの枯死木の樹幹を夜間徘徊する。
枯れ具合をかなり気にするようで、何本も見つたうちこれがついていたのは数本のみだった。


本土では大隅半島のみに産すると思っていた。しかし、佐々木,1989 により大分県宇目町(現,豊後大野市宇目)で冬季に広葉樹の樹皮下にて得られた個体が記録されている。
台湾などの国外にも広く分布しているが、国内に於いては屋久島より南の島嶼部では見つかっていない。おそらく本種の生活史や生態になんらかの関係があるのだろう。もしくはただ見つかっていないだけか。

私見だが、大隅半島や屋久島と同様にクチキゴミムシが得られる沖縄本島は可能性があると考えている。尚筆者は沖縄本島で採集を行ったことがないので、根拠の薄い憶測であることに留意していただきたい。



2023/7/22 撮影

2023/9/17撮影
個体によって僅かだが色彩が異なる。

 

本種が徘徊する立ち枯れは、枯れてから日が浅く樹皮も残っているものから樹皮の大部分がはがれてしまっているものまで多少の幅があるが、共通していることが二つある。

一つ目に、木表面から芯部までぼろぼろになっておらず、しっかりと形を保っているものであること。

二つ目にウスモントゲミツギリゾウムシが発生している、もしくは発生した後のものであること。

この二点に気を付けて探せば本種を見つけるのは容易である。

本種はライトに飛来することもあるが少なく、近くに本種が徘徊する立ち枯れがあり、そこに飛来する際にライトに誘引されたものと考えられる。
そのため採集をするには上記のような立ち枯れを探すのが賢明であろう。

また、採集した個体の殆どは、大径の照葉樹を主として構成される樹林から得られた。

 

 

因みに本種と同所的に得られるウスモントゲミツギリゾウムシは、一ヵ所での発生数が多いせいか採集も容易なためあまり珍品扱いされない。

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引用:佐々木1989,キンヘリアトバゴミムシを宇目町で採集した,二豊のむし22:79
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2023/10/17

写真の撮影日、その他情報を追加
2023/11/10
引用、文献情報を追加

2024/1/5

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