私の名前はoku。
一介の鬱登山家である。
現在、山中であるがゆえ何処に居るかわからないでいる。

社会復帰を目指している諸君、及び同朋たちに告ぐ。
言わずもがな、社会復帰はしんどいぞ。
特に精神的に参ってからのそれは修羅の道であるとしか言いようがない。
将来私が今を振り返れるようになった時、
この地獄を忘れない為にも現在の状況を記すことにする。
貴殿らもいつ何時鬱登山家となるやもしれん。
その時は当ブログを思い出すといい。

まず社会復帰における第一の関門は弱き自分との戦いから始まる。
なんたって端から嘲笑されようがぬくぬく休む必要があった身である。身体も鈍るが何より心が鈍る。
冬場の炬燵よろしくその温もりから抜け出すことは至難の業といえよう。
しかし安心せよ。
炬燵は春先から順次撤去され、おかんの咆哮と共に追い出されることになる。
私の場合のそのおかんとは妻であり、oku自身のお財布事情である。
ぬくぬくしておりたかったが、そのままでは野垂れ死ぬことは必至であり、
退っ引きならぬ事情が温もりを取り払うことであろう。
しかし炬燵が出ている内はぬくぬくやっているに越したことはない。

次に対人戦。
長らく国交を断絶していた相手との友好条約を結ばなければならない。
対外戦になるならば直ぐさま尻は鋼鉄と化し、通信戦であるなら番号の下一桁を押せずに時は徒に過ぎることであろう。
ですます口調もままならず、舌が千切れるほど噛み倒すことは間違いない。
しかしここでも案ずることはない。
戻っても炬燵は押入の中である。
退路はないし、おかんにも吠えられるぞ。
迷わず進むが良い。

そしてこれが大一番。
感情の荒波が押し寄せる。
どれだけ万事を期そうが、これを止めることは出来ない。
電流イライラ棒を思い出して頂きたい。
うねりにうねった感情のコースに触れぬよう、
貴殿は慎重にイライラ棒を操作しなければならない。
一度コースに触れたなら火花と共に爆発。
ゲームオーバーとなる。
コースは難解である。
ウッチャンヘアピンを越えたと思えばナンチャンカーブが待ち受け、クランクで爆発は必至となる。

実は今回、私も操作を誤り爆破した。
うねった感情は爆発と共にスタートエリアと戻り、
心は完全に閉じきってしまった。
復帰日2日前の夕方のことである。
私は1人で家を飛び出し、少し開けた駐車場に車を停めた。
落ちた心は上向く様子もなく、ぼけっと夕日が沈むのを見ていた。
その時の私は漠然と全てが終わっていくような気がしていたのだ。
全てが気泡と化す寸前、
頼れるものはないかと車のポケットに手をやると何かが手に当たった。
竹内ピストルのCDであった。
ケースを開けるとCDは入っていなかったが、限定盤特典のDVDが入っていた。
おもむろにディスクをチューナーに入れ、
私は初めて特典映像であるライブを鑑賞した。

ディスプレイの向こうで顔をくしゃくしゃにしながら竹原ピストルは私に訴えた。

「積み上げてきたもので勝負しても勝てねぇよ。積み上げてきたものと勝負しなきゃ勝てねぇよ。」

そうだよな。でもそれでも勝てなかったではないかと伝えると

「必要なのは走り続けることではない。走り始め続けることだ。」

竹原ピストルは語気を強めた。
私の心は見透かされているのだろうか。
彼は次の曲でも私に訴える。

「薬漬けでも生きろ!薬漬けでも生きろ!薬漬けでも生きろ!どうせ人間誰もがなんらか漬けで行きてるんだ。大差ねぇよ。」

この年でここまで涙腺が崩壊するとは思わなかった。
ひょんなキッカケが私の顔を少し上向かせたのだ。

そう、
そもそも爆発せずにクリアなど出来ないのである。
私の電流イライラ棒は幾度の爆発を経験しながらゴールに到達した。
それで良いのだ。
擦りながら火花を散らしながらでもゴールまでいく。
強行突破しなければならない。

そしてゴールはスタートであり、
私を阻むものは後を絶たない。

社会復帰はしんどいぞ。
社会復帰はめっちゃしんどいぞ。

しかし、
やれないこともないなと思う瞬間もある。

やれないことないぞ。