牧野君との情事が頭を離れないまま、僕はふらふらと飲みに出掛けた。
ハプニングバーじゃない。今日はなんと普通のバーだ。
リアル(ハプバーの外)で、しかも7年も片思いしていた男性と素敵な関係になったんだ。
ハプバーなんて行ったらそれこそ勿体ない、そんな気持ちだったのかもしれない。
僕がハプニングバーに通うようになってから、普通のバーに寄ることがほとんど
無くなってしまった。挨拶と近況報告と世間話…しばらくぶりの店員やマスターと楽しく談笑し、
1軒、2軒…
その2軒目のカウンターで席をひとつあけて隣に男性が座った。
マスターとの会話を介してなんとなく会話の交わりがあり、笑顔を交わしたりしていた。
会計、その男性とレジで一緒になった。なんとなく会釈をしてなんとなく一緒に店を出た。
「どちらにお住まいなんですか?」
そんな彼の言葉がきっかけで、僕らは店の外で少し立ち話をしていた。
背は170あるだろうか。グレーのスーツが似合っていないのか少々小太りなのが強調されている。
顔が風船のように丸かったがパーツだけ見ればココリコ遠藤に似ていなくもない。
カッコいいかどうかは意見が分かれそうだ。若い頃はカッコ良かったかも…
彼は30代の後半に見えた。
「あの…よかったらもう1杯飲みませんか?知ってるバーがあるんです。御馳走します」
はっきり言って酒は髄液になってるんじゃないかってほどもうたくさんだったが、
いつもハプバーで泥酔している習慣か、ちょっと構いたくなり、僕は彼についていくことにした。
「やあ、元気?マナちゃんどうしたの?今日肌きれいじゃん」
小奇麗で割とノスタルジックなバーを若い子たちが回していた。悪くないが、
この男の態度はどうだ。
まるでスナックにでも来たかのようなノリだ。さっきからこちらを見ないのもどうも気になる。
「あの…お名前はなんと仰るんですか?」
カウンターの店員に懸命に話しかける彼に僕は話を振った。
そうだ、こいつの名前も知らんかった。
「あ、木戸です」
「木戸さん。はじめまして○○です」
僕は自分の名字を名乗った。するとあろうことか彼はこう言ったのだ。
「ほんとに○○さん?
偽名なんじゃないの?」
ハ?
こいつ…さっきから店員に話しかけながら、間接的に「俺って出来る男」アピールをしてくる。
いけすかないと思っていたがなんて失礼な男だ。
この手の自分大好きな仕事人間にはある方法が効く。僕はにっこり笑って切り返した。
「なんなら免許証でも見せようか?人を疑うならあなたこそ社員証でも出したら?」
…あ、ごめんと怯む彼。こういう輩は女性の高圧的な態度に弱い。
「俺、後輩にも慕われてるんだよ、そうだよなマナちゃん、結構連れてくるもんね」
店員は明らかに嫌な顔をしていた。接客業として顔に出すのもどうかと思うが、
気付かないほうもどうかと思う。僕が話を振ると彼はすべてこの店員マヤちゃんを介して話した。
いい加減面倒になってきた。ここいらでもうちょっと踏んどこう。
「慕われているというのは、何をもってして慕われていると思ってるの?
単なる気のせいじゃない?あたしだったらあなたと一緒に仕事はしたくないな。
だってさっきからあたしの目を見て話さないじゃない。一体誰と会話してるの?
そんなコミュニケーションの取り方で、ほんとに後輩はついてきてるのかな。
ね、そう思わない?マヤちゃん」
店員はあははと笑って笑顔で頷いた。他の男性店員がフォローに回ったが、
マヤちゃんの笑顔は本物だった。
「ひどいな…」
「どうして?事実でしょ?それに今気づいておけば直せるし良かったじゃない」
僕はとびきりの笑顔で酒冷ましのソルティードックを口に運んだ。
数分後、彼は僕の耳元で 「入れたい」 と呟いた。
ハイ1本!!…ですが…別にしたくないな…どうしたもんか。
落とすだけ落して、落としどころに困る僕が居た。またやらかした。
お腹一杯で食べられもしないのに、クサヤを注文したような気分だった。
(君は落第、課題の提出に後日は無い 2へ続く)
ハプニングバーじゃない。今日はなんと普通のバーだ。
リアル(ハプバーの外)で、しかも7年も片思いしていた男性と素敵な関係になったんだ。
ハプバーなんて行ったらそれこそ勿体ない、そんな気持ちだったのかもしれない。
僕がハプニングバーに通うようになってから、普通のバーに寄ることがほとんど
無くなってしまった。挨拶と近況報告と世間話…しばらくぶりの店員やマスターと楽しく談笑し、
1軒、2軒…
その2軒目のカウンターで席をひとつあけて隣に男性が座った。
マスターとの会話を介してなんとなく会話の交わりがあり、笑顔を交わしたりしていた。
会計、その男性とレジで一緒になった。なんとなく会釈をしてなんとなく一緒に店を出た。
「どちらにお住まいなんですか?」
そんな彼の言葉がきっかけで、僕らは店の外で少し立ち話をしていた。
背は170あるだろうか。グレーのスーツが似合っていないのか少々小太りなのが強調されている。
顔が風船のように丸かったがパーツだけ見ればココリコ遠藤に似ていなくもない。
カッコいいかどうかは意見が分かれそうだ。若い頃はカッコ良かったかも…
彼は30代の後半に見えた。
「あの…よかったらもう1杯飲みませんか?知ってるバーがあるんです。御馳走します」
はっきり言って酒は髄液になってるんじゃないかってほどもうたくさんだったが、
いつもハプバーで泥酔している習慣か、ちょっと構いたくなり、僕は彼についていくことにした。
「やあ、元気?マナちゃんどうしたの?今日肌きれいじゃん」
小奇麗で割とノスタルジックなバーを若い子たちが回していた。悪くないが、
この男の態度はどうだ。
まるでスナックにでも来たかのようなノリだ。さっきからこちらを見ないのもどうも気になる。
「あの…お名前はなんと仰るんですか?」
カウンターの店員に懸命に話しかける彼に僕は話を振った。
そうだ、こいつの名前も知らんかった。
「あ、木戸です」
「木戸さん。はじめまして○○です」
僕は自分の名字を名乗った。するとあろうことか彼はこう言ったのだ。
「ほんとに○○さん?
偽名なんじゃないの?」
ハ?
こいつ…さっきから店員に話しかけながら、間接的に「俺って出来る男」アピールをしてくる。
いけすかないと思っていたがなんて失礼な男だ。
この手の自分大好きな仕事人間にはある方法が効く。僕はにっこり笑って切り返した。
「なんなら免許証でも見せようか?人を疑うならあなたこそ社員証でも出したら?」
…あ、ごめんと怯む彼。こういう輩は女性の高圧的な態度に弱い。
「俺、後輩にも慕われてるんだよ、そうだよなマナちゃん、結構連れてくるもんね」
店員は明らかに嫌な顔をしていた。接客業として顔に出すのもどうかと思うが、
気付かないほうもどうかと思う。僕が話を振ると彼はすべてこの店員マヤちゃんを介して話した。
いい加減面倒になってきた。ここいらでもうちょっと踏んどこう。
「慕われているというのは、何をもってして慕われていると思ってるの?
単なる気のせいじゃない?あたしだったらあなたと一緒に仕事はしたくないな。
だってさっきからあたしの目を見て話さないじゃない。一体誰と会話してるの?
そんなコミュニケーションの取り方で、ほんとに後輩はついてきてるのかな。
ね、そう思わない?マヤちゃん」
店員はあははと笑って笑顔で頷いた。他の男性店員がフォローに回ったが、
マヤちゃんの笑顔は本物だった。
「ひどいな…」
「どうして?事実でしょ?それに今気づいておけば直せるし良かったじゃない」
僕はとびきりの笑顔で酒冷ましのソルティードックを口に運んだ。
数分後、彼は僕の耳元で 「入れたい」 と呟いた。
ハイ1本!!…ですが…別にしたくないな…どうしたもんか。
落とすだけ落して、落としどころに困る僕が居た。またやらかした。
お腹一杯で食べられもしないのに、クサヤを注文したような気分だった。
(君は落第、課題の提出に後日は無い 2へ続く)
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