ハプニングバー再オープンの日が来た。


僕は1も2もなく勿論初日から押し掛け、店長に挨拶をし、スタッフの行動をチェックした。
前の店長や花織はもう居ない。
店自体はどこも改装されていないのに、まるで違う店に思えた。
新しい店長は挨拶のつもりなのかカウンターで仕事をしていたが、
よく喋る男性が苦手な僕には胃もたれするような状況だった。


それにルールが違う。隣に断りもなしに単独男性が座ってくる。以前よりユルイ方向のようだ。


リニューアルの間の2週間、あまり外へ飲みに行かなかったのが幸いにも若干習慣化し、
僕は1週間に1度だけハプバーへ足を運んだ。


ちなみに牧野君は僕がハプバー通いをしているのを知っている。
「なんにもしてないけどね」 と言った僕の言葉に突っ込みこそしない彼だが、果たしてそれを
どの程度真に受けているか…おそらく全く信じていないだろうけど。


元彼も、坂本さんも、結婚している男性は、自分に負い目があるからなのか細かいことには
突っ込まない。僕にはそれが楽だった。
縋りつく恋をされるのは面倒だったし、僕自身も縋る恋は面倒だった。
でも世に 「重い」 っていう言葉が登場し始めてから、本当に好きでも必然的に
それを避けるようにも
なっていたかもしれない。「重い」って思われたくなくて、押せない。
モンさんのときのように。



ある日、事件は起きた。
あまりカップルとは仲良くしない僕だけど、会話が楽しくていつもおしゃべりするカップルさんに
再オープンしてから久しぶりに会った。


「あー!ハンターちゃん!元気!?」


声をかけてきたのはカップルの女性の方。みすずちゃんだ。
小柄だけどスタイルが良くて肌がきれいでメッチャ可愛い。しかも下の毛は無し。
彼の方は、のほほんとした人で、こちらも小柄だけど彼女の体型とは対照的にコロッと丸いキチさん。
彼女の隣でペコリと会釈をした。


「元気元気!みすずちゃん、キチさん久しぶりだねぇ。1ヶ月は経ってるよねぇ」


僕らは話に花を咲かせ、以前のノリを十分に堪能していた。
するとそこへ、僕の知り合いらしき男性が…


「ご無沙汰です、ハンターちゃん」


「ああ、お久しぶりです!お元気でした?」


誰だ、こいつ…ガッチリした身体に髭、きらきら光るきれいな目…この目なんか見覚えが…
でも…さすがに遊んじゃいねぇよなあ…


「あっちで何人かで飲んでるんですけど、来ませんか?よかったらカップルさんもどうですか?」


とりあえず礼儀正しい…誰?


「うん、じゃあ、もうちょっとしたら行くよ」


適当に受け流したがどうも思い出せない。男性が席に戻っていくと、僕はカップルの2人に
こう囁いた。


「…うあー、誰だか思い出せねー…誰だアレ」


僕が彼の後姿を二度見すると、二人は大声で笑った。



トイレから戻ったところで、さっきの男性とすれ違った。
ん?んんん?あれもしかして…。


「ひげ、生やした?」


「はい、わかりました?一緒に飲みましょうよ、カップルさんはどうですかね?」


彼はもう一度僕の席へやってくると、カップルさんをもう一度誘った。
あ、そうだ、この手があった。


「あのね、こちらみすずちゃんとキチさん。前から仲良くしてるの」


カップルさんと男性は初めましてー、と挨拶を交わした。
よし、来るぞ来るぞ…


「初めまして、マンタです」


ああ…よかった…関係はしていない。ただ、彼の行為はよく見かけた。



(酔うのは酒で十分です 2へ続く)



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