初めての人としたい。
(否ヴァージン)


これ、よくわかる。ワクワクするし反応も意外だったりするから楽しい。
まあわかるよ、わかる。
でも、相手あってのことだから、相手の感情も考えなきゃならない。
だから僕には遊びと割り切れるハプバーがちょうどいいわけだけども。


僕がハプバーを知るずっとずっと前、
職場つながりのコンパに出席するとその身勝手な男は居た。
今回は、そんな初物喰い君のお話。


5対5の大人数…だから嫌いだよコンパって…わいわいしてるだけで誰とも
ろくに喋れない…などと思っていたけど、この日は意外と楽しかった。


そのというのも、肝臓の調子が異常によくビールが激烈に旨かったのだ。
あまりに飲むので、なんとなく“姐さん”な扱いになっていたのを覚えている。


トイレに立つと、必ずと云っていいほど、メンバーの中の一人の男性と
ばったり会った。
背が高く、天パ坊主でほどよく筋肉がついたかっこいい男の子だった。
ちょろちょろっとギャグの飛ばしあいをして席に戻る…それを楽しんだ。


その当時、まだ許されていた「一気」。
天パ坊主君がコールを仕切って矢鱈に女の子を飲ませている。
いい加減飲めそうにない女の子の様子を見て、僕は手拍子を乗っ取り、
彼に飲め飲めコールとイケイケビームを送った。


「…おれ、ビールはダメなんだよねぇ…」


な…なんと!
ナメた真似を…これじゃ場が白けるじゃない。

「責任取りまーす!」

僕は隣に座ってた男の子の新しいビールを飲み干した。




「こっちだよ、そっちじゃなくて」


天パ坊主くんと僕は、カラオケBOX内で部屋を探していた。
大人数が座れる部屋は消防法にひっかかりそうな入り組んだ奥にあるらしい。
僕ら2人以外は、全員酔っ払いかその看護にまわっていて、とりあえず先に
2人で部屋に向かうことにしていた。


僕がバスンと扉を開けると、坊主くんはいきなり僕を後ろから抱きしめた。


「おいおいおい、コラ酔っ払い放せ、一気もできねーヘタレ触んな」


僕は彼の手に本気の力を込めて引き剝がそうとしながら、口では冗談めいた
嫌味を言っていた。
彼は身体を捻ってスツールに座り、僕の正面に回った。
立っている僕の両腕を掴んで誠実な目(のふり)と甘い言葉で囁く。


「ほら、チュ」


…タコです。男が唇を突き出す姿は見たくないです。
食べるならゲソ揚げがいいです。あれはイカでしたっけ?


「いや、全然いらん。マジいらない、しないしない」


彼の顔を掌底で避け、手を振りほどいた。
こりゃあ…正体がわかってきたぞ。メンバーの女性には是非伝えておこう。




「こいつ~さっきあたしにチュウしようとしたんすけど~」


カラオケマイクを使って大暴露。
酔っ払いの送り出しと看病から戻ったメンバーは4人。少なくとも女性2人には
伝わったはず。


しかし、僕と軽いノリの天パ坊主との攻防に決着はついていなかった…。





翌日。
朝方トイレで昨日の女子メンバーと会った。


「あのー、ハンターさん、彼と付き合うことにしたんですよ」


僕は一瞬、蛇口を閉めるの忘れそうになった。
濡れた手のままで後ろを向く。


「え、ほんとに?…あの子あたしにキスしようとした話…いちお危険信号のつもり
だったんだけど」


彼女は白い頬をばら色に染めてこう言った。


「はい、聞いてました…でもそのあと喋ったら意外と真面目な人だったので…」


ああ…そぉですか…
23歳……初心な23歳を騙したらその罪は重いですよ。




彼女は、その週末振られた。理由は解らないとのことだった。
やっぱり…。


あいつとどこかですれ違ったら、匕首で喉を掻っ捌いてやる。
…持って歩いてないですけどね…匕首w



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乙女心とハプバーと