今宵のハプバーは、ちょっと年齢層高め、大人チックよ。





王子と会ってから、なんとなーく恥ずかしさは薄らいだように思った。


一番最初に行ったハプニングバーの時は顔も知らない人に覗かれるのが
嫌で、そのままフロアで・・・なんてそっちのほうが恥ずかしいんじゃないか
というようなこともしていたのに。


誰かとなんかあってもいいですよ、的な雰囲気になりつつあった。





その日のハプバーは確かに平日だったが何故か男性客が押し寄せてくる。


僕はちんたらビールを飲みながら、仕事のことを考え帰るタイミングを
計っていた。
好みの男性も居ないし、特に話が盛り上がらなかったからつまらなかった。


「なんかすみませんね」


声を掛けてきたのは平日よく出勤している女性店員だった。
彼女は僕の心を読んで、よく話しかけてきてくれる。
僕は爪の先ほどの不機嫌をぼんやりした目で誤魔化しながら、


「今日ずいぶん男性が居るねぇ。どうしたの」


と聞いた。
女性店員は僕のグラスを取り替えながら答えた。


「ある女性を待ってるんです」


「は。こんなに沢山」


「何人でも相手にしちゃうんですよ」


何人でも相手にしちゃうって・・・勝ち抜き相撲か。
ははあ、世の中にはそんなツワモノな女子も居るのね・・・。





しかしこれだけ居て、他には見向きもせずに待っているということは、
その女性に何かの魅力があるということになる。


1度吸った蜜の味を忘れずにまた彼女を求めて訪れる。


なんつうのかなあ。ラフレシアさんかなあ。あまりにも例えが悪いよなぁ。





実際に現れた彼女は40代半ばかという人だった。
顔立ちが美しいわけでもスタイルがいいわけでもなかったが、
彼女がカウンターに座ったその時点で魅力は伝わってきた。


グラスを受け取る美しい仕草、
心を魅了する懐の深い微笑み、
言葉を受容し翻弄する転がるような声・・・


ううん、なるほど。
こんな女性とお話ができてナニが出来るなら、男性は幸せだろう。


彼女が複数の男性と連れ立って奥の部屋へ消えていくと、一人男性が残った。


・・・あれ・・・?誰だあの人。
僕はさっきの女性店員を呼んで聞いた。


「ああ、彼ですか。ラフレシアさんの彼ですよ」


「彼連れで来てるの?」


「ん~1人で来ることもありますけど・・・まあ彼だけが彼じゃないですしね」


僕は目をひん剥いて驚いた。
はあああ、なるほど・・・僕には解らん世界だなぁ・・・






なんだかんだで僕は普通の恋愛をしてきたと思う。
彼女のように性に自由で、奔放でありながら慕われる生き方も素敵に思えた。


しかしながら彼女を慕っているとはいえ、ここに一緒に来た男性は、
向こうでなんやかんやになっている彼女とカウンターの隅でひっそり飲む
自分の関係をどう思っているのか。





・・・今にして思えば、勝手な空想でいらん情けをかけたもんだ。


身に余る行為は身を滅ぼす
とはよく言ったね。




僕はこの日、
おぞましい体験をすることになる。







(ラフレシアの彼 2へ続く)




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乙女心とハプバーと