僕が煙草を吸い終わると、彼は僕の手を引いて、
隣のカップルさんが入って行ったと思われる部屋を目指した。
でも、ひとつ懸念があった。
彼女も彼も若い。
年齢を聞いたら20代前半だという。
一緒にお酒を飲んで話すのは構わなくても、
絡みということになるとどうなんだ?
大体にして、彼はそんな話を彼らに振ったのか?
いや、言えるわけが無い。
口下手のこの人が初対面の人に、
「スワッピングしませんか?」なんて、絶対に言えるわけが無い。
僕の手を引っ張りながらズンズン前を歩く彼。
人ごみを肩で避けるその背中に祈った。
(どうかこの人が傷つきませんように・・・)
ハプニングバー、閉店。
朝方、僕と彼はその近所にある超絶旨いラーメン屋でウキウキしながら
いつもの塩ラーメンを注文していた。
さっぱりこってりでたまらんのだな、これが。
僕らがはその頃、知り合って1年半ほど経っていたが、
二人とも体重増加が著しかった。
奥のテーブルに座ると周りの客に話を聞かれることはまず無さそうだったので、
僕らは反省会を始めた。
「やっぱり、簡単に交換って訳いかないもんだね」
少しはずかしそうに、またちょっと残念そうに、椅子から腰をずらして彼が言った。
「いかないよ。いかないに決まってんじゃん。 いってもらってもあたしが困るし」
はあああ、とため息をつきながら彼は更に腰を椅子からずり落とすので、
テーブルの下に潜り込んでしまいそうだった。
彼の膝が僕の膝に当たった。
その膝の脇を右手でパチンと叩いて、彼にきちんと座るように言った。
彼は背筋を伸ばし、お尻を座面にくっつけた。
なんとなく、僕が怒っているのを感じてるのだ。
「だいたい、あたし交換とか好きじゃないってば。
そうじゃなくても今日はちょっと恥ずかしかったよ。」
・・・結局僕らがしたのは、いわゆる相互鑑賞だった。
彼らが果てたあとも、彼は僕を執拗に責めて、
周りに大量の水分が飛んでいた。いろんな体液が。
「でも、まあ、気持ちよかった?」
・・・彼はエロの話をするときでもその少年のように透明無垢な瞳は変わらない。
今度は僕がはあああ、とため息をついた。
「あたしはあんなに色々飛んだの見たこと無いよ」
むはははは、と彼が声を出して笑った。
ちくしょう、思い出し笑いだ。
「いつかしたいね」
彼はラーメンが目の前に出てくるまで、
僕の頭上を越えた天空の彼方にある、スワッピング天竺へ夢を馳せていた。
(彼と嘘とハプバーと 終わり)
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でも、ひとつ懸念があった。
彼女も彼も若い。
年齢を聞いたら20代前半だという。
一緒にお酒を飲んで話すのは構わなくても、
絡みということになるとどうなんだ?
大体にして、彼はそんな話を彼らに振ったのか?
いや、言えるわけが無い。
口下手のこの人が初対面の人に、
「スワッピングしませんか?」なんて、絶対に言えるわけが無い。
僕の手を引っ張りながらズンズン前を歩く彼。
人ごみを肩で避けるその背中に祈った。
(どうかこの人が傷つきませんように・・・)
ハプニングバー、閉店。
朝方、僕と彼はその近所にある超絶旨いラーメン屋でウキウキしながら
いつもの塩ラーメンを注文していた。
さっぱりこってりでたまらんのだな、これが。
僕らがはその頃、知り合って1年半ほど経っていたが、
二人とも体重増加が著しかった。
奥のテーブルに座ると周りの客に話を聞かれることはまず無さそうだったので、
僕らは反省会を始めた。
「やっぱり、簡単に交換って訳いかないもんだね」
少しはずかしそうに、またちょっと残念そうに、椅子から腰をずらして彼が言った。
「いかないよ。いかないに決まってんじゃん。 いってもらってもあたしが困るし」
はあああ、とため息をつきながら彼は更に腰を椅子からずり落とすので、
テーブルの下に潜り込んでしまいそうだった。
彼の膝が僕の膝に当たった。
その膝の脇を右手でパチンと叩いて、彼にきちんと座るように言った。
彼は背筋を伸ばし、お尻を座面にくっつけた。
なんとなく、僕が怒っているのを感じてるのだ。
「だいたい、あたし交換とか好きじゃないってば。
そうじゃなくても今日はちょっと恥ずかしかったよ。」
・・・結局僕らがしたのは、いわゆる相互鑑賞だった。
彼らが果てたあとも、彼は僕を執拗に責めて、
周りに大量の水分が飛んでいた。いろんな体液が。
「でも、まあ、気持ちよかった?」
・・・彼はエロの話をするときでもその少年のように透明無垢な瞳は変わらない。
今度は僕がはあああ、とため息をついた。
「あたしはあんなに色々飛んだの見たこと無いよ」
むはははは、と彼が声を出して笑った。
ちくしょう、思い出し笑いだ。
「いつかしたいね」
彼はラーメンが目の前に出てくるまで、
僕の頭上を越えた天空の彼方にある、スワッピング天竺へ夢を馳せていた。
(彼と嘘とハプバーと 終わり)
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