体験談、進めて行きたいんだけど、
ここからぼちぼち二の丸くらいに話が上がっていくのでちょっとナイーブ。


精神衛生上よろしくないので、彼の愛を補給しておくことにする。


彼の愛情の深さを知って、僕もこうありたいと思った。そんな話。




それは、ある日のBハンターの醜態の話でもある。
会社が終わってから友人達と、
濃い話とどうでもいい話を肴に酒を酌み交わし、僕は大変ご機嫌で帰ってきた。



夕方からずっと睡魔に襲わており、帰りの電車はほぼ気絶。
ボコボコにされながら (睡魔にね) ひとつ手前の駅で降り、
閉店間近の彼の店へ寄って十二分に酔っ払いっぷりをアピールした。



眠くて眠くてしょうがないのでカウンターにへばり付いていると、
むくんで脱げないブーツを彼が 「おおきなかぶ」 の絵本の如く引っ張って
脱がせてく れ、店内のソファをくっつけて、僕を寝かせて毛布をかけてくれた。


暖房の効いた店で電気も消されたなら、僕以外の酔っ払いだって爆睡するだろう。




「…ええ…ああ…そうですか…へえ…」
彼が一人でしゃべっている声で目が覚めた。
真夜中によく来る常連と電話でしゃべっているのだ。


僕は完全に寝ぼけていたので電話中にも関わらず彼の名前を大声で連呼していた。


「喉渇いた…なんじ?」

とカウンターの眩しさに顔をしわくちゃにしていると、
彼は僕に何も言わすお茶を出しながら腕時計を見た。

「ちょうど3時。帰りますか」




「靴はけないでしょ?」

彼は小さなサンダルを用意し僕に履かせ、ブーツを自転車の籠に、
僕を荷台に乗っけて帰った。



荷台で、彼の背中に張り付きながら疑問に思った。
果たして彼はいつ、このような気の利いた優しさを身につけたのか。



家に帰って水をがぶ飲みした僕は、すっかり目が覚めて彼に疑問を投げかけた。


「うーん…覚えてるのは…『俺ってダメだなあ』って思ったことかな」


なんでも昔勤めた会社で、先輩がものすごく自然な動きで
上司の煙草に火を着けたときにそう思ったらしい。


その後彼は、自分に優しく接してくれる人達からその温かさを学び続けた。
 
仕事のスピードが遅い彼に、ある先輩は半分を引き受け
「よーし、競争だ!」
とおどけてみせたという。

上下関係やこだわりの厳しい世界に身を置きながら、
そんな風に後輩に接することが出来る人はそう居ない。
気付いて、学んで、実践する…そういう積み重ねがあって彼は僕の知る彼になった。




「さて、寝るか」


ビールもそこそこに彼は立ち上がって空になった僕のコップに水を満たした。
酔うと、僕が夜中に起き出して水を飲むのを知っているからだ。





・・・どうよ。いい彼でしょ?

こんな愛情を僕は知ることが出来たのだから、、
いつかは僕が誰かに渡さなくちゃいけない。


ずっとずっと、そう思っていた。
でも未だに出来てない。


ケツの穴の小さい女と笑ってください。
こんなことならもっと拡張しておくんだった。