初めてのハプバー話が一段落したところで、
一緒にハプバーデビューした僕の彼の話をしたいと思う。


彼は残念ながら結婚していた。
僕に出会うまで浮気などしたことの無い、ごく真面目な人だった。


話は数年前、僕らが出会ったところから。




僕は夜になるとどっかに行きたくなるコウモリタイプの人間だ。
超音波を飛ばして今日もお酒とつまみの匂いを辿る。


1人で酒を飲む醍醐味は、知らないお客と仲良くなること。
意気投合したり、また会う約束をしたりして、
自分とは全く違うジャンルの人間と友人になれる。


僕はそんなことが無いと寂しくて寂しくて
洗濯に風呂の残り湯を使う気力もなくなってしまう、そんな弱い人間だ。
毎日の原動力ってことなんだろね。


探した店は自転車でいける程度の距離にあった。
そしてそこの「コック」さんと友達になった。


その店で遅くまで呑んでみたけど、コックは僕を追い出す気配が無い。
寂しい僕の心を知ってか知らず彼は

「俺も飲もうかな」

と一緒に呑んでくれた。


「恋人はいるの?」

「さあ、このところセックスセラピーみたいなことばっかだね」
そう僕が答えると彼は

「じゃあ今度俺も是非」

と冗談とも本気とも取れない顔をした。
ビールを飲みながら、黒縁の眼鏡を取った彼の顔は端正で驚いた。


すっかり朝方になり、僕は彼を家に連れて帰ったが、
同じ枕に頭を置きながら

「結婚してるんだ」


と聞かされた。



悲しくも辛くもなくなかったが、どうも僕はこういう男を釣っちゃうらしい。
毎度こんな調子なので見事というか空いた口が閉まらない顎関節症だし。
少し時間をくれと言ったものの、結局僕らは付き合うことになった。


まず食事には困らなくなった。
「ご飯食べにおいで」と彼が言う。
食べ切れなかったのは明太子と塩漬けの茎わかめを添えてお弁当にしてくれる。
そこにはおせんべいやカップラーメンがくっついていることもある。


彼のあったかい心とご飯が、僕の血となり、肉となる頃、
僕らは時間さえあれば一緒に居るようになった。




・・・でもこの頃まだ、

彼のエッチの趣味は
まったくわかっていなかったんだ・・・。



(彼と尻 性癖それぞれ その2へ続く)