サンボアバー。

創業100周年を超える洋酒バー「サンボア」。大阪、京都、東京に14軒を構える由緒ある酒場だ。

いくつものサンボアで酒を飲んだ。もちろんハイボール。

そのレシピも店によって違う。

 

京都には三軒、サンボアがある。祇園、木屋町、寺町。

祇園は京都らしい華やかさがある。

木屋町はカジュアルで、いかにも繁華街木屋町の空気感がある。

寺町のサンボアは繁華街でなく、素人が気軽に飲みに行こうといった店ではない。だからといって常連以外を拒否しているわけではない。

私のように雰囲気のある酒場で呑みたい。こういった人間には堪えられない味わいが店の佇まいに感じる。

京都サンボアにふらりと立ち寄った。「さぁ、酒を飲もう!」というのではなく、陽も落ちたのでちょっとだけ喉を潤しておきたい、という気分。
外観もそうだが、中もバーとしては理想的な雰囲気を持っている。
 


早い時刻に訪れ、カウンターに着く。ハイボールをオーダーする。かなり濃いめのハイボールはウイスキーをしっかり味わうことのできる美味しいものだ。スパイシーな乾き物も合わせて提供される。店内はBGMもなく、エアコンの音だけが静かに流れている。マスターは寡黙で、黙々と仕事を続けている。


祇園や木屋町のサンボアはそれぞれの色合いを持っているが、個人的にはここが一番好きだ。
初老の常連さんが入ってきて、酒をオーダーした。マスターはカンパリソーダを作っている。客はそれを数回に分けて飲み、1000円札を置き、「ごちそうさん」と言って、出て行った。ほんの5分くらいの出来事だ。
そんな店だ。