年始、友人から封筒が届いた。
中を開けてみると、老舗乾物屋の福袋があり、「上質の昆布出汁をお楽しみください」とメッセージが添えられている。
近年、昆布や鰹節で出汁を取ることが疎かになっている。
早速、昆布で丁寧に出汁を取り、お吸い物を頂いた。
俄に自分が道場六三郎になったのではないかと思う年始。
福袋は初売りなどで色々なものを詰められる。中身は客寄せ目玉商品のほか、在庫処分品、売れ残り商品を組み合わせ、実販売価格を大きく下回る価格で売られるので、購入者は「福」を期待するわけだ。
ただ不要なもの、自分の嗜好と違うものが入っていることもあり、かつてのように「中に何が入っているか分からない」ものは好まれず、予め中身を公開していたり、商品券のように汎用性の高いものにシフトしているという。
年明け早々、ネットでいきなりステーキの福袋が話題になっている。
福袋の概要は次のようなものだ。
・3000円で販売
・中身は300円割引チケット×13枚、3900円相当。900円お得
しかも税込み
・使用は主要商品1食につき1枚使用可能
・使用は3/31までの期間限定
・使用は福袋購入店限定
まず率直に思うのは、割引チケットを販売するか? ということ。店舗利用し、会計時に300円び割引券を配布するのが常道ではないか。
無料で配布されたのなら、まぁ行かなくてもいいか… となるケースも多い。ただ割引券を購入するとなると、「行かなければ損する」となる。
使用は1食につき1枚とされている。1回で13枚全てを使うことは禁じられている。
13枚全て使うには13回、同店に行かねばならない。
13回となれば、例えば3/31まで、毎週1度は行かねばならない。
しかも利用できるのは福袋を購入した店のみだという。
因みに福袋の購入は現金のみだという。
これはどういうことか。
割引チケットといえど歩留まり、つまり購入したもののやっぱり利用しなかった客が一定数、存在する。すると利用しなかったチケットの価格(300円)は、そのまま販売店の利益となる。来店利用した場合、300円を割り引かなくてはならないために損失となるのが普通だが、このケースでは事前に300円の売上を現金で回収している。店は来店利用していない時点で、300円を売り上げている。
「買ってしまったからもったいない」という理由で、それほど食べたくはないが、毎週いきなりステーキで食事をしなければならず、毎食、1000円を超える代金を支払わねばならないという、不条理。
高利の消費者金融と変わらない。
期待を裏切る福袋を「鬱袋」「不幸袋」と言うらしい。
事実、「使い切れないので…」ヤフオクでこの割引チケットが出品されている。
これも気をつけなければならない。利用店舗が限定されているからだ。
かなり横暴なセールスプロモーション。
近年、いきなりステーキの迷走が指摘され、創業社長が退き、好転を期待していたが、年明け消費者の期待を大きく裏切った。