核攻撃
ぼくの小学校には制服があった。
ズボンはなんでもいいんだけど、上はコンのジャケット。
ある参観日。
その日は、給食が終ったあとの5時間目が授業参観で、
授業が始まるまで、少し休憩時間があった。
なので、みんな外の池で遊んでいた。
池の真ん中に岩があり、そこに跳び移って向こう側に
渡るっていう遊び。ただそれだけのルーティン。
(いま考えると、何がおもろいんだろう)
なんせ1年生とか2年生だったので、親が学校に
来るっていうので、みんなテンション上がってたんだね。きっと。
で、水しぶきで、だんだん真ん中の岩が濡れてくるんだよね。
ちょうど滑りやすくなったところで、ぼくが跳んで・・・
ズルッ!ボチョン! で水びたし。
「うわー!ふーみんが池に落ちたー」
「せんせー、呼んでくるわー」
「待っときー、ふーみん」
みんな純粋でやさしい。
早く上がればいいのに、ぼくは先生が来るまで
岩に抱きついていた。下半身を池にひたしたまま。
けっこー運動神経に自信があったもんだから
まさか自分がはまると思ってなかった。
びっくりして、身動き取れなくてってる。こへんがアホ。小学生って。
先生 「ふーみん、保健室に行ってパンツはき替えてきなさい。
保健の先生には言うといたから、パンツ貸してくれるわ。
ほんで、今日、体操服持ってるやろ?それに着替えなさい」
授業参観が始まり、続々と親が教室の後ろに陣取り始めた。
子どもたちはみんな、コンの制服を着ているのに
自分だけ真っ白な体操服。でも小学生のアホさから来る無神経さで
ぼくはな~んにも気にしていない。
ただ、ほかの親御さんたちは、さぞかし不思議に思っただろう。
「あの子だけ、なんで体操服?どこの子?」ってね。
そんな中、うちの母登場。
パーマかけて、めかし込んでいる。よそ行きの服まで着て。
満面の愛想を振りまきながら、人の中に分け入って来たのだが・・・
ぼくを見つけた瞬間、母の顔が引きつった。
なんたって教室の中でぼくだけ
ま ・ っ ・ し ・ ろ ・ ププッ(笑)
「あの子、何したんや!」母はそう思って、あとずさりした。
自分があの 「全身白ずくめヤロー」 の母だということを
まわりに気づかれたくなかったのだろう。
必死に人ごみへもぐり始めた。しかし・・・
悪魔がささやいた。
「あっ!ふーみんとこの奥さん!こっち!こっち!場所、空いてるでー!
なんや、あんたんとこのふーみんだけ真っしろけっけやけど
なんかあったんか?」 幼馴染のトモちゃんのおかーさんの声はやけに通る。
母の懸命な避難活動はむくわれることなく・・・核が落とされたのだった。