ジュン
ここは火葬場。(もちろん実話です)
骨をみんなでひろっていく。
父は長男なので、いの1番にやり始めたのだが・・・
緊張していたのだろう。
右手首に数珠をダラ~ンとぶら下げたまま
骨をひろい始めてしまった。
当然、その数珠はあつあつに熱された台にスリスリと擦り始め、
何往復もしているうちに、灰で真っ白けになったあげく、
数珠のあの、毛がモワモワしてる部分が手伝って
火の粉が父の手首に大量にふりかかった。
「熱っ!熱っ!水、水~」
父は備え付けてあったバケツまで一目散に駆け寄り
手首を水に突っ込んで、なんとか事なきを得た。
どーしてくれる?この空気?
失笑というか、冷笑というか?なんていうの?これ?
だが、これだけでは終らない。
次のステージは、お墓。
新しいお墓で、足元にはキレイな砂というか小石?が敷いてあるのだが、
先日の雨風の影響だろうか、そのキレイな小石たちが、両サイドの敷地に
跳び散らかっている。
長男である父は、名誉挽回とばかりに、仕切り始めた。
「よし、みんなで、散らばった小石を拾って、こっちの陣地へ戻そう!」
けっこーな時間をかけ、みんなで地道にチマチマと小石を拾い集め、
キレイに整えた。立派な聖地の出来上がりだ。
そうこうしているうちに、そろそろお坊さんの読経が始まるそのころ、
最初に灯けたロウソクが小さくなって、火が消えかかっていた。
父がそれに気づき、先ほどの失態をかき消すため、さっそうと
墓石の前へしゃがみこみ、手際よくロウソク交換をやり始めた・・・
まず、ロウソクをカバーしているアルミ製の風よけを右手で取りながら
左手で新しいロウソクを燭台に差し込んで・・・
しかし運の悪いことに、そのアルミ製の風よけは、素手で持っていた父の右手を
水ぶくれでパンパンにしてしまうほど、熱されていたのだった・・・
父が叫んだ。
「熱っ!」
父は手に持っていた風よけを思いっきり、足元へ叩きつけた。
さっきみんなでキレイに整えた小石たちが、無残にも四方八方へ飛び散っていく。
父はしばらく、もんどりうった。足元の小石たちは
来たときよりも、さらに散らばっていく・・・
「熱っ!熱っ!水っ!みず~!」
と、親族の幼い子どもが持っていた墓石用の桶を奪い取り、
自分の右手を 中へ突っ込んで 「ジュン」 と水に浸した。
まさに電光石化。
しばらくして落ち着いたのか、遠くを見つめながら、
至福の表情でひとり、たたずんでいた・・・
もりろん この日、 2回目の失笑、冷笑の嵐が吹き荒れていたのは
言うまでもない。
どう?これ?
数珠真っ白けっけーの、手首燃やしーの、
リーダーシップが裏目に出ーの、カラまわりからーの、
水ぶくれなりーの、桶うばい取って 「ジュン」 って・・・
そりゃあ、オヤジもかわいそーだけど、
ぼくら兄妹の身にもなって頂けませんでしょうか?