2011.7.11 仕事とは、夢とは、人生とは
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カンボジア編 シェムリアップ
2011.7.11 仕事とは、夢とは、人生とは
ここ数日、ゆっくりした時間を過ごせたので
久々に出掛けてみることにした。
シェムリアップの街から10㌔ほど離れたところにある
トレンサップという名の湖。
ここには水上に家を建てて生活している人が多く、観光スポットの一つとして有名だ。
良いか悪いかは行ってみればわかると思い
いつもの様にチャリを借りてトレンサップ湖に向かった。
何にも縛られず、ゆっくり自分のペースで自転車をこいで、
気になる道や
気になる建物
気になる人がいれば寄り道をする。
タクシーやトゥクトゥクでは味わえない
お金では買えない良さがあるから好き。
肩の日焼けがひどく皮がズルむけ。
一時間弱で到着した。
すると、ゲートがあり、
トレンサップ湖をツーリングするボートのチケット売り場に案内される。
そしてチケット売り場に行ったのだがチケット代が25$(約2,000円)もした。
カンボジアでの25$と言えば相当な額だ。
トゥクトゥクやタクシーで来た外国人はみんな普通にチケットを買っている。
こいつらはたかだかボートに乗るのに25$も払うことに違和感がないのだろうか…
ふざけるなと思い、
俺はチープな旅人だから無理だ!と言って帰ろうとする。
すると、店員がオッケー、20$でいい。
と値段を安くする。
値切れるのかよ!
余計に信憑性を失って、足元を見てやがると思い帰ろうとした。
そしてゲートのやつに高すぎるから帰る!と伝えると、
もっと奥の方まで行けば安く行ける!
という事を言ってきたので、怪しいなと思いながらも駄目もとでチャリで突き進んでみることにした。
と、その時、自分以外にもう一人チャリに乗って中年男性がこっちに向かってくる。
どうやら日本人の様である。
チケット売り場で同じ様に言われ、同じ様にキレて帰ろうとしていた。
中年男性「トゥクトゥク代をケチって自転車で来ているのに25$も払えるかよ!」
うむ。ごもっとも!!
このおじさんに、奥まで行ったら安くで行けるかもしれないという事を伝えると、
おじさんも一緒に行くことになった。
数キロ自転車で舗装されていないデコボコ道を行くと行き止まりになった。
近くにいる現地人に安くでボートに乗りたい事を伝え、
おじさんと値切りまくって結局、一人7$まで安くなり裏ボートをチャーターした。
船の上ではその男性といろいろ話しをした。
お互いの旅に出るまでの経緯
そして身の上話など
男性の名前はフジイさん。
会社を退職し、今回期間は短いがベトナムとカンボジアを周っているらしい。
どうして訪れた場所がカンボジアなのかを聞くとこんな話しをしてくれた。
仕事を辞め、次の仕事を始める前に友人と旅行を計画したらしい。
その場所は四国の愛媛県。
どうやら友人と待ち合わせをするのに中間地点の愛媛がよかった様だ。
みんなバイクが好き。
それぞれが愛媛に向かっていた。
そして到着したので待ち合わせ中の友人に電話をした。
すると別の人間が電話に出た。
フジイさんは疑問に思い尋ねた。
フジイさん「~さんですか??」
相手「いえ、違います。」
相手「~さんは交通事故に遭い、先ほど亡くなられました。」
その友人はフジイさんよりもまだ10歳も若かったのだ。
フジイさんにとって友人の死はとても大きな出来事だっただろう。
フジイさんは言った。
今までサラリーマンをやってきたけど、本当にお金の為だけに働いてきた。
退職し、自分の社会的地位が無くなると、
みんな手のひらを返した様に態度が変わる。
退職や友人の死をきっかけにいろいろ考えた。
人生、本当にこれでいいのか。
このままでいいのか。
そして子供の頃から夢だったアンコール・ワットに行くという事を決意したのだそうだ。
会ったばかりの俺にここまで話してくれた。
でも、会ったばかりだからこそ話せたのかもしれない。
事情や環境は違えど転機を迎えた者同士やからね。
しかし同じアンコール・ワットに訪れたけれど、
心に秘めた思いは桁違いだった。
夢を叶えたフジイさんはとても輝いていた。
というより、とてつもなく輝いて俺の目には映っていた。
自分自身、旅に出ている人間としては決して若くないと思っていた。
しかし「君はまだまだこれからだ。」とフジイさんは言ってくれた。
確かに、若くして旅をすれば良い物を得られる。
なんて保証は一切無い。
旅をする人間自身が旅を形成していくから
これまでの人生が無意味でなかったことと
これからの人生を大切にしたいと思ったこと
考え方に勇気をもらえた気がする。
トレンサップ湖も良かったが、
こうやってフジイさんと出会えた事の方が個人的には嬉しかった。
これもお金では買えない何かだね。
そんな偶然が重なり
明日、フジイさんと遺跡巡りをする事になった。
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