東北道 ご当地ラーメンの旅 ~影の薄いご当地ラーメンを求めて~
お盆の時期、ちょいと東北方面へと出掛けてみる。
微妙に時期をずらしたおかげで行きも帰りもスイスイだったが、
東北道は渋滞の名所・矢板インターを抱えており、対向車線は大渋滞。
地獄のような行列が続いていた。
そんな中で憩いとなるのがサービスエリアの売店関係。
アメリカンドッグなんかは特に腹が減っていなくてもつい食いたくなってしまう。
で、最近はサービスエリアのメシが充実の一途をたどっており、土地土地の名物が人気を集めている。
ちなみに全国で一番人気があるのが、東名高速海老名SAのメロンパンである。
なんでも日に4000~5000個売れるらしい。
メロンパンねぇ…なんか高速だと気分じゃないですな。
二番人気が東北道佐野SAの佐野ラーメン。
影の薄いご当地ラーメンと言われる佐野ラーメンが2位とは驚きだが、メロンパンよりもラーメンの方が高速らしい。
というわけで、佐野SAに寄り道して、佐野ラーメンを食べてみた。
(このシンプルきわまりないラーメンが高速の2番人気)
そもそも佐野ラーメンとは新興のご当地ラーメンである。
昔から栃木県佐野市はラーメン屋が多かったらしいが、18年前に町おこし的に佐野ラーメンというブランドを確立したらしい。
青竹打ちという独特の麺製法で作られた麺に特徴があり、日本名水百選に選ばれた湧き水で作れたスープと相まって、味わい深い、となっているようだ。
さすがに高速SAの二番人気だけあってラーメン売り場には行列が出来ている。
どうやって客をさばくのかなと見ているとなんと1回に12杯分のラーメンを作っている。
ほほぉ、かなりの数をさばきますな。
しかし、盛りつけ担当1人ではノビノビのラーメンになるのも致し方なしか。
(ちょっと悲しいラーメンの作り方であったりする)
味はSAにしちゃまぁ良くできてる方か。
作り方からして期待していなかったが、「ほうこれが佐野ラーメンね」とわかるくらいの味であった。
しかし、自慢の青竹打ちの麺はノビノビでいまひとつ…つまりは影の薄いご当地ラーメンということなのだが。
気を取り直して、もう一つの東北の影の薄いご当地ラーメンを訪ねて福島県の白河へと。
ここにも白河ラーメンなるご当地ラーメンが存在している。
ここも那須連山の清流水をスープに使い、麺は手打ちの縮れ麺。
スタイル的には佐野ラーメンと似たものがある。
訪れたのは「田中屋」という老舗のラーメン屋。
手打ち麺にこだわるご主人がいる、とのことで訪れることにした。
福島県というとなんといっても喜多方ラーメンがあるだけに白河ラーメンの影は薄い。
町全体がラーメン村の喜多方に対して白河はシャビーだ。
そのシャビーさが味にもあらわれている。
なんというのかな…地味な喜多方ラーメン風、とでもいうのか
ま、これはこれでアリだと思うんですが、何か?
といった感じなのである。
(地味なご当地ラーメン THE白河)
味はまぁどうでもいいちゃどうでもいい。
なにせ影の薄いご当地ラーメンなのである。
微妙な美味さを狙っているのかもしれないが、記憶に残らないラーメンであることには間違いない。
全国ご当地ラーメンランキングなんてのがあったら、佐野と白河はいいライバルになるであろう、下位を争う部で。
しかし、田中屋のラーメンにもいいところがある。
チャーシューワンタン麺をオーダーしたのだが、ワンタンの出来がなかなかよかった。
ラーメンの味云々よりもワンタンが良かったなぁというのも影の薄いご当地ラーメンならではのものであろう。
(ワンタンは素敵な田中屋のラーメン)
ご当地ラーメンというからには、この影の薄いラーメンが白河の町のそこかしこにある。
バラエティ感やオリジナリティなんてのはほとんどない。
似たようなラーメンばかりがあるのみ。
「わざわざ食べには来ないよなぁ…」という影の薄い味だけにご当地ラーメンとしても細々と生きながらえていくことだろう。
ふと、影の薄いクラスメートを思い出した。
あぁいたいたあんなヤツ、でも名前なんだっけ…
そんな感じのご当地ラーメン。
きっと何十年かして「そういや、その昔、白河ラーメンとかいうの食べたっけなぁ…」と思い出すであろう。
しかしながら、あえて会いたいとは思わないのが彼らの存在感といえよう。
●「田中屋」
福島県白河市横町21
電話:0248-22-3054
営業時間: 11:00~14:00、15:30分~19:00
定休日:不定休