ついに念願叶う!ハワイの寿司屋での出来事
私のB級グルメ道において前々からぜひ食べてみたい、と思っていたものがある。
それは日本人以外が握る寿司、である。
もっと詳しく言うならば、白人以外が握る寿司、できれば黒人の握る寿司が食べたい、と思っていた。
なにかこう黒い手の中で色とりどりのネタと白いシャリが握られていく姿は官能、ではないかと思っていたからである。
風の噂で新宿歌舞伎町の「野郎寿司」に黒人の板前がいる、と聞いたことがあり駆けつけたことがあったがガセだった、という苦い思い出がある。(ま、確かにあそこならいてもおかしくはないが…)
で、私が泊まっていたハワイ島のヒルトン・ワイコロアビレッジでその店と出会ったわけだ。
そこはレストラン、というにはほど遠い環境にある。
スタンドバー、と言った方がいいだろう。
スタンド寿司バー。
ファーストフードの国、アメリカらしいといえよう。
ネタケースを見ると赤身らしいもの、白身らしいもの(こいつはAhiというハワイの鮪である。ハワイでは魚と言えば赤身はAhi、白身はMahi-Mahiなのである)、穴子らしきもの、海老らしき…いや海老は海老だなどこにいっても。
とまぁ、いったような陣容だ。
そしてすくっと立つネイティブなハワイアンの板前一人。
(カメラを向けたらポーズを取ってくれた板さん)
いかにものハワイアン…
「いい…」思わずつぶやいてしまった。実にいい感じだ。
わりと小柄な感じだが、腕まわりは太く、がっしりとしている。
「この逞しい腕の中で繊細な寿司がどうにぎらていくのか…」
私の興味はその一点に絞られた。
寿司のような繊細な食物を外人、しかもパワー派の人間が握るとグチャグチャになるんではないか、
ネタに微妙な…いやこの発言は危険だ、やめておこう…
メニューを見ると手巻きと握りに分かれていた。
手巻きはお得意のアボガド、カッパ、Ahiなどが並ぶ
握りは盛り合わせの他に一品でも握ってくれるようだ。
巻物と握りがセットになった盛り合わせを注文した。
そして、板さんの握る姿をじっと凝視する。
まずネタを取る
然るにワサビを付ける
して、ご飯を握りながら米粒の量を整える
3手で形を整える。
ご飯をひっくりかえしてまた数手掛ける
むむむ、これはまさに本手8手握り…
「やるな、ハワイアン」と思わず心の中でつぶやいてみる。
はっきしいって下手な回転寿司屋よりもきちんと握っている。
いや、真面目に握っているその姿勢が良いのである。
(ちゃんと寿司しているのである)
味はやはりシャリがどうしてもベチョベチョになってしまっているので
寿司には及ばないが、横文字のSUSHIとしてなら十分に合格点をあげたい。
それにしてもこんがりと見事に焼けた肌の中で握られる色とりどりのネタのコントラストは予想通り見事。
握り姿に官能しましたとさ