京都での安産祈願を終え、
普段の生活に戻った2人。
これまでとは違う、ワクワクとした気持ちに
胸を躍らせていた。
「男の子かな?女の子かな?♪」
「名前考えなきゃね♪」
「ベビーグッズも揃えなくちゃ♪」
苦労を乗り越えて、ようやく妊娠した彼女。
これまでとは比べものにならないくらい、
会話が弾んでいた。
こんなに喜んでる姿を見るのは、
いつぶりだろう。
結婚式の時以来じゃなかろうか。
それくらい印象的だった。
とにかく、長年待ちわびた念願が叶って
僕もホッとした。
「あとは無事に産まれてきてくれれば」
そう思っていた。
しかし…
その淡い期待は、わずか3ヶ月で崩れ去ったんだ。
その日、僕は仕事中だったのだが、
彼女は定期検診を受けていた。
そこで悲しい結果を知らされたのだ。
「心臓の音が聞こえない…」と。
まさか…そんな訳ない。
彼女はずっと身体に気をつかっていた。
ずっとお腹に語りかけてた。
ずっと元気に産まれてくるのを願っていた。
それなのに…なんで…。
涙が止まらなかった。
いろんな感情が溢れてきて、ぐちゃぐちゃになってしまった。
その日からしばらくの間、
2人は深い悲しみにくれていた。
なにが奇跡だ。
結局は失うんじゃないか。
すべての苦労が水の泡だ。
そうやって、自暴自棄になりかけてた。
だが、この時の僕達は気づいていなかった。
本当の奇跡は、この後に起こる事を。
次回に続く…